第一話 ちくわトースト
現役学生で自炊する筆者がレシピをメモるついでに書いたものです。
「さて、冷蔵庫には何が残ってたかなー?」
まぶしい朝日に照らされて活気づく街とは裏腹に冷蔵庫は閑古鳥が鳴いている。ここから一体どう食事の形を成せばいいのかと私は考える。
私の名前は美味と書いてミミ。大学受験で実家を出て上京、都内の大学に通いながら一人暮らしをしている。毎日の講義とバイトに追われながらもサークルに参加し、足りない仕送りを何とかやりくりしている生活だ。世間的に見ればまぁ充実している方だとは思う、、思うけど、、、
「でも、それは日々の節約と時短を積み重ねた自炊の賜物なのだー!」
と誰にも届かない文句が部屋に消えていく中、パン派の私はひとまず食パンを手に取った。すぐ食べられるお手軽さが気に入っている。
(まぁ、お米を前日に炊飯器にセットするというそのひと手間ができないがゆえにパン派を名乗っているだけのずぼらなのは黙っておこう。)
付け合わせをどうするか食材を見つめているとふとこの前安くなっていて買ったちくわと目が合った。
「ふむ、ちくわくん、今日はキミを食べてやろう。でもちくわとパン、どう組み合わせよっかな。」
こういう時雑に調べてそれっぽいものを作るのが正解だとスマホを開いてみる。ヒットしたのは明太マヨちくわトーストだった。
「明太マヨ、絶対おいしい!でも明太子なんて常備してるわけないだろー!」
でもこれを何とかごり押しするのが私流自炊術である。早速ちくわを手に取って作業に取り掛かる。
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【ちくわトースト】
食材:ちくわと食パンだけ
1. ちくわは適当にちぎってパンの上にのせる。私の中で洗い物削減法案が可決されているため、手でちぎるのは基本だ。
2. 上からマヨネーズをかける。絞り出したマヨが最後までつながっていたあなたは大吉です!
3. 七味唐辛子を振ってトースターで3分焼いたら完成~
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チーン。ときつね色に焼きあがったトーストの上にはこんがり焼けたちくわに、ふつふつとはじけるマヨネーズとそこから香る七味のかおりが私をつつんで食欲を刺激する。
「いただきまーす」
とかぶりついた一口目、カリっと焼けたパンの食感にマヨネーズのコクと七味の辛さのアクセントが最高だ。肝心のちくわは溶けたマヨがうまく絡んでうまみを口いっぱいに届けてくれる。あっという間に半分食べてしまった。半分は胡椒で味変をしてみたがこれも我ながらいいセンスだったと思う。(ドヤ顔)
「ふーう、ごちそうさまでした!」
台所で食べたため、洗い物もゼロで済み、少し時間に余裕も生まれた私は満足しながら大学に向かう準備をしていった。ちなみにできた時間でちょっとヘアアレンジをこだわっているうちに時間を忘れ、私は5分遅れで講義室に駆け込むのだった。




