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くず

作者: 黒楓

今日は短めです(^O^)





 そのお姉さんは添えられた櫛切りのライムをちょっと傾けて、キスをしたグラスの縁を確かめた。

「グラスに跡を残すのも久しぶり……」


「えっ?!」と聞き返した私に、“お姉さん”は物憂げな視線を投げ、グロスで艶増しした唇を舌先でチロッ!と割って、その“本能”を垣間見せた。


 “喪女”な私は背中に薄氷を入れられた様にゾッとするだけだけど……その吐息に身震いするオトコ共にとっては最高の“シズル”なのだろう。


「ああ、この(ひと)は……またダメになるんだろうなあ……」


 予想してしまえる“未来”を口の端に載せるわけにもゆかず、私はカラリ!とグラスを鳴らし、それを喉の奥へと流し込む。


 さっきまでは甘味を感じていたウィスキーも今は苦く、隠し涙がスノースタイルの味を付与する。

 なのに、本当にバカげた質問を、つい私はしてしまう。

「優しい人なんですか?今度は?」


 お姉さんは少し目を伏せて、グラスに付いた“キスマーク”を人差し指で延ばしながら答えてくれる。


「いけないのはいつも私!

 みんな普通に優しいのに、優しかったのに……

 私が求め過ぎて

 欲しがり過ぎて

 押し売りしちゃうの! 

 それは……尽くす事には当たらない。

 今まではそんな私に相手が愛想をつかしたの」


 私の口の中はますます“塩味”が増していく。

 ()()()()代わりにオトコ共がする噂話の中で……“お姉さん”がどんな風に扱われているのかを知っているから。


「今度のカレはね!『頑張って稼いで、二人で小さなお店を持とう!』って、言ってくれるの! その“お店”ってなんだと思う?」

 私は一瞬考えて、カノジョの望む答えを言う。

「やっぱり、スナックとかですか?」


 彼女は満面の笑顔で(かぶり)を振る。


「それがね!『お弁当屋さんをやろう!』って!! カレ、シェーカー振ってる方がよっぼど様になってるのにね!」


 そのくだらないオトコの嘘に、私は心の中で泣き濡れながら明るく冗談を返す。


「えーっ! じゃあ、ドレッシングをシェイカーでシェイクすれば『映える』かも!ステーキ屋のパフォーマンスみたいに!」


「本当ね!」


 初めてあどけなく笑った“お姉さん”の顔は……どこか泣いている様に見えた。




                     おしまい



やっぱり今日も(-_-;)なお話で……長くすると益々落ちてしまいそうで、切り上げました(^^;)



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― 新着の感想 ―
[一言] ……ああ。“お姉さん”も半ば気付いて、分かっていそうなのが、一層切なく辛い  (´;ω;`)
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