第五話:眠れし力
エレナと始が行ったのを見送った後、元治が「俊吾、雪、付いて来なさい」と言って、元治の部屋へと二人を誘導した。元治は入るとすぐに目の前にある大きな本棚に向かい、その内の分厚い本二冊を一気に押し込んだ。すると、本棚が横にスライドして地下へと続く長い階段が現れた。元治は「行くぞ」と一言喋ってさっさと降りていった。唖然としていた二人はすぐさま元治の後を追った。
「この下に何かあるんだろうか?」
「俺にも分かりません」
俊吾が疑問を投げかけてくるが、俺に答えられるはずもなかった。でも、一つだけ分かることがあった。それはこの地下が、そしてその先にあるであろう空間が馬鹿でかいであろうということだ。
「着いたぞ」
先頭を歩いていた元治が声をかけて来た。三人で自動ドアをくぐる。その向こうに広がっていたのは、
「うわ・・・ぁ・・」
「これは・・・・!?」
雪と俊吾はさっきからただただ驚くばかりだ。そんな二人の様子を見て元治がふふん、と鼻を鳴らして
「これは私がここに住み始めて少しずつ作ってきたものだ」
そこはよくアニメなどで出てくる司令室のような感じだった。正面に大きな画面、いくつかのパソコンが置いてあった。元治は正面モニターのところで機械を起動したようで、画面には外の戦闘の様子が映し出されていた。そして今、エレナの乗ったアークエルスが映っていた。俺はいつの間にか画面の前まで言っていた。
「エレ・・ナ・・・」
「大分苦戦しているようじゃの」
力的には、こちらが勝っているようだが向こうは数で押し切るつもりらしい。回りはすっかり囲まれていた。そして、とうとうアークエルスが押し切られて山に落ちていった。俺はその映像を見ながら無意識のうちにこう思った。
力が欲しい・・・・と。
なぜかは分からない。けど、俺にとってエレナは大事な人なんだと思う。今の俺になにができるかわからないが、それでも急いで彼女の元に行きたかった。
俺はいつのまにか壁に拳を叩きつけていた。そんな俺の肩に置かれた手があった。後ろを振り返ると、元治が真剣なまなざしで俺を見ていた。そして、
「行きたいかい?雪・・・いや、彼女らが現れた以上もう遊里と呼ぶべきかな・・」
最後の方は寂しげな思いが伝わってきた。元治の眼を見つめ返しながら、
「あなたにとって俺が雪なら、そう呼んでください」
「・・・・・分かった」
こう言うと、元治は元のシャキッとした表情に戻って頷いた。そして、
「付いて来なさい、雪」
元治に促されて奥にあった大きな扉を抜けるとそこには、
ー・-・-・-・-・-・-
エレナは怒っていた。それは遊里との再会を邪魔されたからでもあるし、もう遊里は失わせないという思いが体を支配していたからであった。その雰囲気が伝わったのか、艦長の荒井が始めに通信を送った。
『何か今日は一段とすごいけど、下で何かあったのかい?』
「やっと、見つかったんですよ!遊里がっ!」
『えっ・・・・』
荒井は唖然とした。いや、荒井だけじゃない、会話を聞いていた乗組員全員が唖然とした。死んだと思われていた遊里が生きていた、この事実は遊里のことを知っている人にショックを与えるには十分だった。艦が被弾してようやく時が動き出した。
『そうかい・・生きてやがったのかい。あの暴れん坊・・』
「えぇ、それで、エレナ・・・今度は自分が守るからって・・」
『・・・・よしっ!なら、お嬢ちゃんの王子様をみんなで向かえに行くかいね!』
荒井の声と同時に船内のいろんな場所で歓声が上がり、こちらの士気が一気に上がった。
『さぁ!気合いれていくよ!!』
次で本当に最後になると思いますので、よろしくお願いします。
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