第三話:自分の正体
「遊里っ!やっぱり生きていたのねっ!!」
そう涙ながらに言ってその女性は、俺に抱きついてきた。俺は何がなんだかわからないが、この女性を知っている気がする。よく見ると開いたままのドアには他にも二人の人物がたっていた。片方は、今頃の若者のような服装だが派手すぎず、地味すぎずな服装で。髪はツンツンにたっていて、整った顔立ちにピッタリだった。そしてもう片方は、少し汚れた作業着を着たおじさん。がたいが良くて、いかにも「おやっさん」って感じの人だ。この二人も俺を見てやはり驚いていた顔をしている。まぁ、そんなことはいいか。今はこのひとが誰かをはっきりさせないと。
「え・・えと、あなたは誰ですか?俺を知りあいなのですか?」
「え・・・・遊・・里?」
まただ、この人は俺のことを遊里と呼んだ。ということは、それが俺の本当の名前なのか?記憶を呼び起こそうとすると頭痛がしてきた。
「遊里・・・・それが俺の・・名前?」
「遊里・・・まさか、記憶が・・・?」
俺の言動に女性と男二人は、さきほどよりも驚きを深くしていた。そんな場の雰囲気を見かねてか、元治が出てきた。
「その通りじゃよ、エレナ・キャンベルさん」
「え、私の名前を知っているの?」
「もちろんじゃ、その辺の情報はちょくちょくそこの俊吾が頼みもしないのに知らせて来ていたからの」
元治の言葉にエレナと呼ばれた女性が俊吾(おやっさん風)の方を向いた。俊吾は黙っていたことを反省しているようにゆっくりと頷いた。そこで、落ち着いたかのように見えたエレナが再度俺のほうを見て問いただしてくる。
「ねぇ、本当に何も覚えていないの!?私のことも!?この始のことも!?特殊部隊のみんなのことも!?エターナルで一緒に戦ったことも!?」
アルビス・・・エター・・ナル?その言葉を聴いた瞬間、一瞬過去の記憶と思われるビジョンが脳内に映った。苦しい・・・大量の情報が一気によみがえってきて、頭が割れそうだった。俺は頭を抑えて軽くふらついた。
「あ・・・あぁぁぁ!!??」
「遊里!?」
「いかん!それ以上はやめるんじゃ!こいつは今まで十分苦しんできたんじゃ、無理に思い出させようとするな」
元治が俺を支えながら、エレナを叱った。元治が俺を気遣って部屋で休むように促した。俺はもっと話を聞けば記憶が戻るかもしれないと思ったが、今の状態では無理だったので素直に従う。そんな俺のことをエレナたちは反省と名残惜しさの表情で見送った。俺が部屋に戻ったのを確認すると、元治は三人に座るように言って、自分は対面に座る。
「エレナさん、さっきはいきなり怒鳴ってしまってすまなかった。まさか、君たちが今日ここにくるとは聞いていなかったものでな」
そういって元治は、軽く責める視線を俊吾に送る。それだけで、俊吾は蛇に睨まれた蛙のごとく固まってしまった。エレナは心から反省しているような顔でうな垂れていた。
「いえ・・・私こそいきなり・・・すみません」
「いやいや、君の気持ちは良くわかるつもりじゃ。お互いに信頼しあっていたパートナー同士だったのじゃろう?」
「はい・・・・そうです」
信頼しあっていたパートナー。その言葉は盗み聞きしていた雪の心を震わした。胸を押さえながら俺は思った。やっぱり・・・俺はあいつを知っている。多分、他の二人のことも・・・
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