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第一章 九話 『新たな人生』

おい!

これってどういうことですか!?


オレの身体が…..


「とりあえずこれを着ておけ」

スーツの上着を渡してくるベルガドルム。


気づくとオレは裸だった。

理解した瞬間、一気に恥ずかしさが限界突破する。


「…….うっ…」

身体中が茹で上がるようだ。

これ絶対、顔赤くなってるよ。


渡された上着を奪うかの様に素早く羽織る。


「い、いやぁ。驚いたぜ、まさかお前さんが女の子だったなんてよ」


リューズが発した言葉が飲み込めない。


……オレは健全な17歳の男子高校生だったはずだ。


「私も話し方的に男になると思っていたんだがな。」


リューズもベルガドルムも驚いているがそれどころではない。


焦るな、落ち着け落ち着け….。

出来るだけ平常心に戻るように心掛ける。


少しだけ平常心を取り戻した。

思考が回り始めて気づいた。

一つ確認しないといけないことがある。


「なぁ、人化した時の性別ってどう決まるんだ?」

そもそも人化スキルの詳細がわからん。

条件によっては、性別が変わること自体ありえないことも無いだろうし。


「元から性別のある種族はそのままだ。だが、貴様たちの様な存在は性別と言うものは存在しない。説によれば、『魂の形』に則って作られるらしい」


「らしいって、分かってはないのか?」


「そもそも貴様の様な存在が稀有なのだ。真相はわからん」


「今からでも男にできないのか?」


「無理だ。人化のスキルはそんなことまではできん。」


「というか、お前さん男になりたかったのか?」


「だって、元々オレは男だったし…」

一縷の望みにかけて聞いてみたが無理なようだ。


「いやいや。そんなこたぁねぇだろ。『魂の形』ってのは決まってる。絶対に変わったりはしないんだぜ?」


「そうだ。いくら魔力と混ざり合ってできた魂だとしても『元になる魂の形』はな」


「それと気になっていたんだが、貴様が言う元々男だったって言うのは前世の記憶があると言うことでいいか?」


「そうだけど…」


「それもおかしな話だよな。少なくても俺は前世の記憶なんてものは持ってねぇけど、人化した時の性別に違和感を感じたことなんてねぇし」


オレだけなのか…。

やっぱりオレだけ特別ってことなのかな?


「まぁ、なってしまったものは仕方がないだろう。とりあえずは半年後、貴様は私の娘として魔力専高に通って貰うぞ」


そ、そんなあっさり心切り替えれねーよ!!

あぁ…お先真っ暗だ。

どうしてこうなっちゃったんだ。




あれから一日経った。

あの後、人化した状態での生活は気が気では無くなりそうだったので剣の状態に戻って過ごした。


日が明けると、ベルガドルムは朝の支度を済ませゆっくりとした時間が流れていた。


「お前さんは、これからどうするつもりなんだぃ?」


「予定というか、作戦自体は決まってる様だからなぁ。なるようになるしかないと思ってるんだけど…」


なんてリューズと他愛の無い会話を続けていたところ、ベルガドルムと目が合った。

ふとオレを見た、ベルガドルムは椅子から立ち上がる。

掛けてあったジャケットを羽織り、何処か出かける様子だ。


「行くぞ」

オレに話しかける。


こんな状況で何処に行くというのか。


「決まっているだろう。街だ。貴様を裸のままにはして居られんだろう。服を買ってやる。」

不安でいっぱいのオレには気にも止めない様子だ。


くそっ!

こんなんだったら剣のままの方が良かったのかもしれない。


「ってか、街ってオレどうすんのさ!」


行ったところで、今着る物がないんじゃあ行けないじゃないか!


「考えがある。とりあえず剣の状態で連れていく」


流石にね。少し安心した。


一応、人化のスキルも習得したし、元に戻る方法も昨日の夜に教えてもらった。


身体に廻っている魔力を止めながら元に戻るよう願う。

その説明通りにしたら戻ることができた。


これで一応自分で人化してから戻る事が自由にできる様になった。


そんな事を考えている内に、ベルガドルムはオレを腰に収めると若いメイドを一人従え、足早に屋敷を出た。




「また俺は置いてけぼりですかぃ?旦那ぁ…。」


龍頭真刀は綺麗に布に包まれ、キングサイズのベッドの下に隠されていた。


「それにしても、奇剣アルクってのはやっぱ伝説級の秘宝だな。人化しても伝説級の見た目だったもんなぁ」







ーーーーーー果てしなく続く程の白く何もない世界。 


そこに一人女性が佇んでいる。


女性は白金に輝く長い髪に、古代ギリシャのキトンに似た服装をしている。

まるで誰もが思い描くような女神の様だ。

女性の前には金色のレリーフに彩られた姿見の様な大きな鏡がある。


女性はその鏡を喰い入る様に眺めていた。


「フフフ…。思った通り面白いことになっているわね。」


完璧に形取られた顔に子供の様な笑みを浮かべ呟く。


「さて、これからどんな物語になっていくのか楽しみだわ。….ね、進道しんどう あるく君」


「っと、私も準備急がなくちゃ。もっと面白い人生にしてあげるからね!」


鏡に向け話しかける女性はしばらく何かを考えていたが、思い出した様に慌て始めた。

急いで大きな鏡を消すと踵を返し後方に歩き始める。


するとスゥ…と、その白い世界に在ったものが全て消えていった。ーーーーーー


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