第一章 五話 『スキルと襲撃』
「違う結果ですかぃ?」
さっきまでデカい口を開けて笑っていたリューズが、ポカンとした顔で尋ねる。
「此奴は世間知らずで馬鹿だが、流石は第一界域の秘宝ということだ」
「まさか、すげぇスキルでも?」
少し期待した目で言うリューズ。
「そういうことだ」
えっ!オレにそんな凄いスキルなんてあんの?
今もこの間の戦いの時も、全くなんかやってた実感無いんだけど。
「まぁ、貴様のことだ、自分の事でさえよく判っていないのは織り込み済みだ。説明してやる」
まーた説明だよ。無知って大変だよ。そもそもここの常識なんて知らんもんね。てかこの黒トカゲ口悪すぎ!本当に貴族か?ベーだ。
「貴様はこの間の戦闘で二つのスキルを発動させている。どちらも先天性スキルだろう。」
「二つたぁ流石だなぁ!」
感心した様子でオレを見るリューズ。おいおい照れるぜ!っていうか、あれオレのスキルで変わってたんだ!
「まずは、私が流した魔力と願いに応じて剣の形を自在に変えたスキル。恐らく、スキル『自在』というものだ。何処にでもある、レア度的には低めのスキルだな」
おい、何とも言えない気持ちになっちゃったじゃないか。リューズの言葉にちょっと自信出てきてたのに。
「重要なのは二つ目のスキルだ。これはかなり使えるスキルだ。」
なんか、ドキドキするなぁ。どんなスキルなんだ?もったいぶって無いで早く言ってくれ!
「このスキルは、使用者の魔力を奇剣アルクに流した際、流した魔力を100%使用することができる。」
「!!」
かなり衝撃を受けてオレを見るリューズ。
それって凄いの?
「こいつは驚いたぜ。基本的に秘宝とか武器に魔力を流すと、どんなに良くても約20%は何処かにロスが生まれて消えんだよ。それだけでかなりのアドバンテージだぜ!」
凄い勢いだな。確かに20%のロスが無いのはデカいんだろうな。オレは実際に魔力を使っった事がないから威力の差なんて分からんけど。
「威力だけではない。魔力消費量も抑えられる事になる」
節約にもなんのか。確かに使用者はすげぇ嬉しいんだろうな。
「今までこんなスキルは存在していない。何か名称が無ければ不便だろう」
「名前ねぇ…」
むむむと二人がスキル名称で悩んでいる。
「いやいや!スキル名なんか後でもいいよ!早く人化のスキル教えてくれよ!」
「あ、ああ。そういえばそういう話だったな」
こいつらやっぱスキルに夢中で本来の目的忘れてたな!
「正直なところ、一からやり方を教わるより先にかけてもらった方が何となくコツ掴めると思うぜ!」
そうだな!やって貰おう!
「いや、待て。勝手に話を進めるな。理由はもう一つある」
「何だよ?」
「いいか、貴様は魔力伝達率が100%なんだ。」
いや、それはさっき聞いたよ。だから何だってんだよ。
「そういう事ですかぃ。だから旦那は逃げないかどうかが問題だって言ってたんだなぁ。それなら結果も変わってくらぁ」
リューズ!?もうわかったの!?
「ちなみに、俺の魔力伝達率は76%ってとこだ」
リューズってベルガドルムの愛刀って言ってたから、そこら辺の能力ももっとあるもんだと思ってた。
「いいか?76%でこの見た目だ。100%だったr 」
ーーーーずずうぅぅぅんんん!!!!!
「「「!!!」」」
ゆ、揺れた!!とんでもなくデカい爆発音と衝撃だ!!
この前のダンジョンの戦いなんてもんじゃないぞ!
「っちぃ!!」
フェインたちとの戦闘でも余裕を見せていたベルガドルムが、かなりの焦りを見せる。
ブワッと、瞬時に身体へ黒煙の様などす黒い魔力を纏わせる。
「やはりバレたか!とはいえ早すぎるぞ…」
「旦那ぁ!!」
呼びかけるリューズ。気迫が伝わってくる。
急いで赤い大剣『龍頭真刀』(りゅうずしんとう)を背中に着け、オレに向くベルガドルム。
「貴様も行くぞ。」
木剣のオレの柄を掴み、おもむろに左腰の黒いベルトに差し込む。
「えっ!」
「二度目の戦闘は本格的になりそうだ。気を引き締めろ『アルク』」
き、気を引き締めろって。また、あんな痛いことさせられんの!?
「大丈夫だ!お前さんなら!それに今回は俺もいるんだぜ!」
そ、そうだな!リ、リューズは愛刀だもんな!一番使うでしょ!
ははは…。
そんなこんな、やりとりをしていたオレたちのいた部屋の天井が音もなく、真横にズレた。
巨大な建物が崩れる音なんて気にならない程の圧力がオレたちを襲う。
オレたちの周りだけ重力が倍になるような。
ドンッ!!!!
青く澄んだ空の彼方から男が降り立つ。
恐らくコイツがこの状況の原因なんだろう。
無くなった心臓が高鳴っている。
無くなった全身の汗腺から汗が噴き出る。
「それが第一界域の秘宝。それは、お前には勿体無いのではないか?なぁベルガ」
赤く光るベルガドルムに似た縦長の瞳孔。
赤黒く艶のない逆立つ髪の毛。
動物の毛なんだろうか、鳩尾から肩口、首の後ろまで続くファーの付いている赤い革のジャケット。
見える胸元は、まるでフィジーク選手のような磨かれた無駄の無い肉体。
腰にも動物の毛の腰布が巻かれ、黒く大きめのズボンをくるぶしで絞って履いている。
靴は金で作られたカンフーシューズの様な感じだ。
「これはこれは、随分と御耳が早い。バルグリアズ殿下」
ベルガドルムは臆すること無く、不適な笑みを浮かべた。
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