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第一章 四話 『ベルガドルム』

「私は確かに、秘宝を求め第一界域に侵入した。まぁ、正直見つけられる事ができれば奪うくらいの大した望みではなかったのだがな」


言うに、期待はしてなかったらしい。


「じゃあ一番の目的は何だったんだよ」


「旦那はただの暇つぶしのつもりだったのさ。俺を持って行って無いあたりそう言う事だと思うぜ」


あっベルガドルムのやつ目逸らしやがった!マジだ!


「第一界域って危ないんじゃなかったか? そんなとこに気軽に暇つぶしがてら行けるもんなんかよ」


「別に気軽にではない。難易度はより高く、難しい方が何でも攻略しがいがあって面白いだろう」

ドMかよっ!


「何だそれは?」

やべっ口に出してた。何でもないよ!


「まぁ。旦那は面白い事が好きなんだ。退屈が世界で一番嫌いなのさ」

リューズが笑う。こいつら似たもの同士なんだな。あの顔、多分リューズもそうなんだろう。


「何より」

謎の含みを持たせた顔でベルガドルムはこちらを見つめる。


「?」


「アルク、貴様を持つことで私は退屈にならずに済むだろう。貴様は、いや私たちはこれから世界中の者たちに狙われるのだから」






オレたちの衝撃の出会いから二日が経った。


オレたちは、ずっとベルガドルムの部屋の壁に並べて置いてある。

この二日間リューズとは、世界とか龍族について話をした。結構仲が深まったと思う。


ちなみにまだこの部屋から出たことはないが、使用人らしき人(龍族?)が出入りすることを見るくらいで、他の龍族やガルナーデ国内を見た事はない。

実際、この部屋は窓もなくかなり厳重な作りのようだ。

当の本人は貴族の仕事があるとかで、ガルナーデ中をグルグルしてるらしい。意外と忙しいんだな。

それはともかく、


「なぁ、リューズ」


「何だぁ?」


「リューズはさぁ、元は剣だ、とか言ってたけど、よく思い返すとその半透明な姿の説明は聞いてないんだが?」


「おお、確かに言って無かったかもなぁ」


「オレもリューズと同じ秘宝なんだからさ、もしかしてスキル使ったら人化できんの?」


「多分なぁ。だったら少しスキルの話もしなきゃなんねぇな」


「スキルの話!待ってたぜ!」


「ガハハ。いいか?スキルってのは、この世に存在する生物。他に俺らみたいな知性、意識のあるものに宿る。あと、重要なこととしてスキルは二種類存在すんだ。一つ目は、先天性スキル。」


オレの嬉しそうな反応に、ノリノリで説明し始めるリューズ。

このオッサン剣まじでいい奴だ。怖い顔はもう慣れた。


「この前にベルガドルムが言ってたやつだな!」


「だな。先天性スキルは、個人的に生まれ持ったスキル。もう一つは後天性スキル。これは、誰かに教わったりして身につける事ができるスキル。」


「なるほど。ちなみに先天性スキルは、誰でも持ってるものなのか?」


「残念ながら、持たないものもいる。そもそも、先天性スキルは遺伝で受け継がれるものが殆どだ。だから、中には遺伝されない者もいるな。生き物の父親似か母親似かで、どちらが持っていなければどちらに似るかで変わる。」


「そうなんだな…って」

ちょっと待って、そういえばオレたちって親とかいないじゃん!


「どうやら気付いた様だな。俺たち秘宝はな、そのダンジョンの中にある魔力が、死んだ生物の念や強い魂と融合されてそこにある波長の合う物に宿るんだ。その中、ごく稀にだがオレたちのように意思や知力を持つ秘宝が生まれるんだ。俺にも条件はよくわからねぇ」


「で、話はスキルの話に戻すぞ。この俺の体が存在している事についてだが、これは旦那の人化のスキルによるものだ。龍族は素の状態だと体大きすぎて不便なんだとよ。だから、みんな人化のスキルで人間に化けてるんだとさ。ちなみに後天性スキルだから安心しな。お前さんもかけて貰うか、自分でかければこのぐらいにはなれるぜ」

そう半透明な体を叩くリューズ。


「!!」

ってことは、オレもスキルで人間の姿(半透明だけど…)戻れるかも!


「ただし!俺たち秘宝は生き物じゃねぇ。だからどうも肉体的に人間に作り変わる事ができないみてぇだ。そのせいかはわからねぇが、幽霊みてぇな精神体として人化される様だな。物に触れる事はできるっちゃあできるが、ポルターガイストっぽくなっちまう」


やっと半透明な理由がわかったな。精神体か、幽霊ってより良く言えば精霊的な?


「てぇ事で、旦那が戻ってきたら頼んでみるといいぜ」


やったーー!!!




ーーーガチャ

木で作られた、いかにも高級そうな扉が開く。


どうやら、ベルガドルムが帰って来たようだ。


「ふぅ」

首を回しながら入ってくるベルガドルム。

あの様子だとかなり疲れてるな。しかもよく見ると服の所々がほつれていた。

オレが話しかけるのを躊躇っていると、


「どうした?何か用があるんじゃないのか?」


「いや、疲れてそうだから…」


「気にするな。貴様には関係のない事だ」

スーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩ませながら椅子にドカッと座り込む。


「じゃあ、遠慮なく」

本人が気にするなって言うんだからいっか!


「人化のスキルの事なんだけどさ」


「リューズに聞いたのか」


「ああ!なぁ、頼む!オレにもさ教えてくれよ!人化のスキル!」

身体はないから実際にではないが、前のめりに頼み込む。


「ふむ…」

手を顎に当てて悩む様子のベルガドルム。


「何だよ。勿体ぶらないで頼むよ。」


「旦那ぁ、そんなに悩む事なのか?」

リューズも気になるようだ。


「理由としてはそうだな、一つ目は此奴が逃げないかどうかだ」


「「…」」


「ガハハハハハ!旦那ぁ!そんな事ねぇですよ!」

リューズのやつ爆笑ですよ。


確かに。いくら人化のスキルで人間の状態に近づいたところで半透明だし、自由に移動できる距離もそんなに遠くないはず。

しかも、結局のところ本体は剣だしな。正直諦めてるよ。


「恐らくだが、違う結果だぞ。やればわかると思うがな」





おいおい、なんか怖ぇ反応が返ってきちゃったぞ…。

さっきまでワクワクしてたんだけど…。



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