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第一章 三十三話 『動き』


これって、どういうこと...?


オレって薄紫色の髪の毛だったよね?

なんで水色になってんのよ。


...まぁ、細かいことはいっか!

こんな魔術だなんだ色々ある世界なんだ、髪の色だって変わることもあるさ!

そんなことより、お風呂♪ お風呂~♪


お風呂も上がって髪を乾かしたりケアを行って、既にベットに潜り込んだオレは今日の事を振り返っていた。


こっちの世界にきて数か月もうこの身体も、振る舞いにも慣れた。

だけど、屋敷の中だけで過ごしてきた為、まだこの世界の人達とはあまり交流する機会がなく不安ばかりだった。


そんな中急遽ベルガドルムがオレを黒徒調査の為、魔力専校へ転入させると言い出した。

それから制服を作りに行く途中で盗賊に襲われたり、勇者御一行と鉢合わせたり。

転入の事前説明で学校に来てみれば、担任となるシューカ先生の正体はその勇者の仲間の一人、このレリグシア王国の筆頭魔術技師であるラフィーネアの母親であったり。


そして、今日に限っては怒涛と言っても過言ではないくらいの一日だった。


… 振り返りはこれくらいにして、はやく起きて今日の授業の補習しないとな。





「こんな時間にお出かけですか?」


細かい装飾の施されたスーツの上に着ている外套を翻し、外へ出る大きな扉の前で声を掛けられる。

ガル・シアン家執事のトルフェイだ。


「ああ。少し気になることがあってな」


「同行しても?」


「…。そうだな、共に来てくれ」


そういうと私達は屋敷前に既に用意された馬車に乗り込む。

おそらく私の様子を見てトルフェイが手配したんだろう。


「どちらへ?」


私専属の御者でゼムという名の男が尋ねてくる。


「デガム平原を通ってムルアまで頼む」


「遠回りですが?」


「構わん」


「かしこまりました」


もはや深夜と言ってもいいような時間だ。

静かに走り出すと同時に指を鳴らし馬車に結界を張る。


「さて、詳しく説明してくれるかい?」


ちら、と私の外套の下に隠しているリューズを見て顔を険しくするトルフェイ。


「どうやら、招かれざる客人が近くに来ているらしい」


「…黒徒が侵入でもして来たのかい?」


「いや、そんなもんじゃない。もっと厄介な奴らだ」


「奴らっていうことは複数人いるのか」


「おそらく二人。一人でも一個大隊なぞ一瞬で殲滅できる程の力を持つ」


「!…まさか」


「おそらく察しの通りだぜ。トルフェイ殿」


「い、一大事じゃないか!だからリューズ君を持ち出して…」


「戦闘になれば私達も無事では済まない」


「だろうね…。それに君は今王国の伯爵として身を隠している。その状態ではまともな勝負にはならないだろうし、その時は明かすのかい?」


「無論だよ。私がどうなろうとアルクを失うわけにはいかない。ソーディリムのダンジョンでたまたま出会ったとはいえ、奴の存在は私達の計画には必要なんだ」


「君のそんな顔は初めて見たよ」


トルフェイが引き締まった顔で私を見つめている。


「それに私にはアルクだけじゃない。貴方も必要なんだ。多少覚悟は必要だろう?」


「!!…それはお互い様だろう?まさk」


自らの口元に人差し指を置き感情的なトルフェイの声を遮る。


「私と貴方はただの同志。最終的な志は違えど、そこまでは同じ思想を持っている。天はどちらを救うか見物じゃないか」


「君は…」


トルフェイは私の顔を見た後、何か思うことがあるのだろうがこれ以上口を開くことは無かった。


そろそろデガム平原に入る頃かと窓から外の風景を覗く。



——— 窓に映る私は獰猛な笑みを浮かべている。





デガム平原より少し離れた上空。

輝く星々の光を遮るように赤と緑の閃光が疾る。


「まさか御自ら出陣なさるとは思いませんでしたよ…」


「バハハ!!欲しいものは我が手で取りに行くに限る!!」



赤と緑の閃光は高速で移動しながら会話をしていた。



「いやしかし、何処にその探し物とやらがあるか見当無いのでは…。闇雲に探すのですか?」


「見くびるな!我がそんな面倒な事する訳なかろう!!…感じたのだ」


「感じた?」


赤い長髪を靡かせながら深緑色の騎士の様な甲冑を全身に身につけている男性に語りかける威厳のある女性。


「我らの同胞によく似た力だ。だが、本人の力では無いだろう」


「似た力?本人では無い?」


どういう事だ?と深緑色の甲冑を着ている男性は少し首を傾げて聞き返す。


「察しの悪いやつだ!よくもまぁそれで我の右腕に就いたもんだよ!」


「貴女様が指名したのではないですか!!実力が全ての我々だから良いと!!」


「…まぁ良い。話を戻すぞ。似た力で本人では無いとすると考えられる事は二つ。その力を持つ本人からどうやったかはわからんが、借りた又は奪ったかのどちらかだろう」


キリッと少し太めの眉毛をした女性はハの字に曲げて説明を続ける。


「秘宝の力でしょうかね?」


「か、秘宝そのものかだ!」


「そのものって…。どういう事ですか?」


「はぁ…少しは自分で考えたらどうだ。我が感じた力はおそらく単独行動をしている可能性が高い!」


「えぇ?そんなまさか!秘宝は魂自体宿ることはあるとしても、流石に自力で行動できるとは考えられないですよ!」


「今までの常識ならばな!だが!伝承として残されていた奇剣アルクが実際に見つかった今ならば分からんぞ!」


「なるほど!…あぁそういう事ですか!それで言うと我々に似た力というのは」


「うむ。十中八九、アルクを持ち去ったベルガドルムであろうな。それであれば辻褄が合う!」


「ベルガドルム卿ですか〜。はぁ、苦手なんですよね。あの人ぉ」


「バハッ!緑と黒は昔から相容れぬものな!」


「実際何度も戦っていましたが、結局決着つかないし私は滅茶苦茶悔しかったのに、ベルガドルム卿はスンッとしていてなんかムカつくんですよね!」


思い出に耽りながらギリギリと歯を鳴らす。


「奴はそういう性格よ!まぁ、今回は私情は挟まずアルクを頂くぞ」


「ベルガドルム卿がいる場合はどうしましょう?」


「バハッ!そんなものは決まっているだろう!我ら龍族であれば邪魔する者は叩くのみよ!」


「流石我ら龍族の長でございます!リンドナルク王女殿下!」


深緑色の甲冑の中から輝くエメラルド色の瞳を細め笑顔を浮かべる。




リンドナルクと深緑色の甲冑の男性は、まだ会話を続けながら魔力専校へと向かっている。





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