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第一章 三十二話 『魔力補充』

あけましておめでとうございます。

皆様いかがお過ごしでしょうか。

投稿長らくお待たせして申し訳ありません。

また今年も気ままに投稿続けて参りますので、今後ともどうぞ宜しくお願いします。



「じゃあ、気をつけて帰るのよ~」


「はい!ありがとうごうざいました!」


あの後、シューカ先生は直ぐに職員室に戻ってプリントを持ってきてくれた。

オレも三十分くらい休ませてもらって今から寮に戻って受け損ねた授業の補習をするつもり。


...はぁ。

登校初日からかなりハードな一日だよ。

帰ろ。


帰り道の廊下をとぼとぼ歩き始める。


「やぁ」


「...」

てくてく


「や、やぁ」


「...」

てくてく


「やぁ!!」


「...きゃぁ!」


な、なんだ!?

急に黒い壁がオレの目の前にそそり立ったぞ!

しかもなんか叫んでた!

無いはずの心臓が高鳴っている感じがする。


「ああ、驚かせてごめん」


...男子生徒?


蒼い瞳に白い髪の毛。センター分けミディアムヘアに長い後ろ髪をうなじのところで一つに結んでいる。

肌も少し青白いためか、神秘的な感じがする。


身長は190cmくらいあると思う。でかいな。


それにしても誰だ?

記憶を探っても身に覚えがない。

オレに何の用なんだ?


「な、なんでしょうか?」


「そうだね。まずは自己紹介しようか」


え~...。

オレはやく寮に戻りたいんだけど...。


「僕は二年魔術クラスのヴェクター。君の事はガルシアン伯爵様からいろいろ聞いているよ!」


へ?


「お父様からですか...?い、いろいろ?」


「うん!いろいろね!あと、頼み事も賜っていてね」


「...なんでしょうか?」



オレが問うと、うなじで一本に結んでいる白く長い髪の毛を揺らしながら耳元に顔を寄せて来る。


何事か!?と身体をこわばらせて黙り込んでいると衝撃の言葉が聞こえてくる。



「ベル兄...ベルガドルムさんからの言伝で君の補助を頼まれていてね。特に魔力に関して」


「!?」


驚愕に飲まれ、こわばっていた身体が硬直に変わる。


ヴェクター先輩は身体を元の場所に戻し、見開いたオレの目をジッと見つめて微笑む。


「驚くのも無理はないよね。こんなところに繋がっている者が居るとは思わないしね」



「ど、どういうご関係なんでしょうか...?」



「そうだね。関係性としては親戚って感じかな!前は結構可愛がって貰っていたんだよ。叔父さんも”ああ”見えて面倒見はいいからね。君もわかるでしょ!」


親戚ぃ!?ってことはこの人も種族的には龍族ってことか...。

...確かに言われてみれば龍族の独特な高貴さみたいなのを感じる。

気がする。


「成程、そういうご関係で。面倒見がいいというのは、まぁ...ははは」


「フフ。...とそうだ!疲れているところ呼び止めてしまって申し訳ない!さっそく僕の手を握ってくれるかい?」


「手をですか?」


仲良くしようって事?握手かな?


「あ~、大事な事言うの忘れてた!君の使い果たした魔力の補充だよ...」


ぼそ、と周りに聞こえない程の小声で話すヴェクター先輩。


あ、なるほどね!


ベルガドルムの言伝ってそういうことね!


「あ、はい!ありがとうございます!」


出されている右手を握る。


と、瞬間。


ヴェクター先輩は微笑みはそのままに眉を少しひそめて切れ長の目を見開くと、握る互いの手の間から微弱な水色の光が漏れる。

少し冷たさを感じる。

ベルガドルムとは全く異なる感覚だ。ベルガドルムの魔力には気分的な高揚感のようなものを感じた。

空っぽだった活力が漲ってくる。


「よし!こんなもんかな!」


ふぅ、と息を吐き少し疲れた様子の先輩。


「やっぱり君は規格外だね!こう見えて僕も龍族だし魔力量には自信がある方なんだが、三分の一くらい持ってかれちゃったな」


「す、すみません!」


ベルガドルムに頼まれているとは言え初対面でこれは申し訳がない。


「いや、いいんだ。直ぐ補填できるからね、僕たちは。それより気分はどうだい?」


「はい。おかげさまで元気になりました!」


「フフ。可愛らしいね、君は。戦っている姿はまるであの人みたいにスマートで激しいんだけど、ギャップがいいよ!」


へぇっ!?いきなり何言ってんだこの人!!


「フフ。そういうところだよ。じゃあ、時間取らせて悪かったね。また会おう、アルくん」


言うだけ言って身体を翻し歩いていく先輩。


「そうだ、そうだ」


急に何か思い出したかのように、振り返ってにこやかな笑顔をオレに向ける。


??


「勘違いさせて悪いんだけど、こう見えて僕、雌ね!...フフフ」


クスクスと肩をすくませて悪戯な笑顔に変わる。



なんかオレ弄ばれてる気がする...。



「またね!」



元気よく手を挙げ、気分よさげに向こうへと消えていくヴェクター先輩。



「...寮に帰ろ」


オレは何事も無かったかのようにとぼとぼ寮へと戻って行った。




はぁ~。

今日は一日でいろいろありすぎて疲れたぁ。

転入して、戦って、負けて、弄ばれて(?)...。


もう、これから授業の補習なんかできる気力はない。

朝早めに起きてからやろう。

もう無理。


あ、その前にお風呂お風呂!

男だった前の世界では一日くらい入らなくても別に気にしてなかったんだけど、この身体になってからは入らないと少し気分が悪い。

これもガル・シアン伯爵家の教育のたまものなのかもしれない。


ここ魔力専校の寮には、前の世界でいうビジネスホテル並みのバスルームが各個室に備えられている。

寮の設備には何も文句の出しようが無いほど整っている。


脱衣所に入りふと鏡を覗く。



そこにあるのは、姿、形は一緒だが少し異なるオレの姿。




「髪の毛、薄い紫色じゃなくて薄い水色に変わってる...?」




オレは鏡に写る自分の姿を見て驚愕した。





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