第一章 二十八話 『 vs ②』
だいぶ遅れまして申し訳ありません!
「さすがシューカ先生だ。接近戦もさることながら、多彩な攻撃を振り分けている。素晴らしい」
セドル学年主任がシューカ先生の動き、戦闘方法を評価する。
「さらに言えば、ああいった多種多様の攻撃をする事により、アル・ガル・シアンの総合的な能力を図ろうとしている。君たちもこのような戦術ができるようにしっかり目に焼き付けておくといい。そうだろう?ディエン、イリー。君たちの動きは単調すぎるのだよ」
「ちっ」
「はい。勉強になります」
「おっと、あれは避けられんな。さぁ、どうする?アル・ガル・シアン」
セドル学年主任の言葉に、生徒たちは二人の戦闘に集中する。
(うまく避けられない状況にすることができた。さて、見せてもらうわよ。さっきのイリー君とディエン君のスキルをかき消した種明かしを!)
「ぎゃっ!!」
「「「「えっ」」」」
「お、おい。普通にくらったけど…」
静まりかえった空気の中で生徒の誰かが言う。
誰もが先の状況から何らかのスキルにより当たらない、もしくは“スキルキャンセル“という高等技術が観れるという期待感から固唾を飲んで見ていたのだが計算が違った。
「いや、どうやら違うらしい」
セドル学年主任だけがただくらっただけでは無いと気づく。
い、いてぇ…!
当たる瞬間ギリギリで見様見真似のディフェンシング・ウォールを発動させておいて良かったぜ!
炎による熱傷がないとは言え、スキルの突進力自体は残っていた為か吹っ飛ばされた。
「し、死ぬかと思いました…」
「今のは…ディフェンシング・ウォール…?」
「え?そ、そうですが…」
何だ何だ?
オレの返事を聞くと突然シューカ先生が深く考えだした。
「成る程。アルさん、貴女は思ったよりも優秀な生徒のようですね。では、一つギアを上げていくとします」
何かを考えていたシューカ先生は考えを自己完結させてオレを見つめる。
「え…と?」
「おい!」
シューカ先生の言葉に疑問に思っていたら、脇の方からイリーがヅカヅカ近づいて来ながら声を挟んできた。
「なんでs」
「腰抜け、テメェ今使ったスキルがディフェンシング・ウォールつったか?」
「そうでs」
「ふざけんのもいい加減にしろよテメェ!」
はぁ?
オレがどうしたってんだよ!
オレに突っかかりたいだけなのか、何なのかわからないがすごい形相でオレに詰め寄ってくる。
「いいか!ディフェンシング・ウォールってのはな、四聖賢レベルのスキル修練度が必要なスキルなんだ!」
へ、へぇ〜?
「ぽっと出のテメェなんかに…!」
「はいはい。イリー、落ち着きたまえ。アル・ガル・シアン」
手を叩きながらオレ達の方へ歩いてくるセドル学年主任。
「邪魔をしてすまないな。イリーは私と共に戻りなさい。これではアル・ガル・シアンの実力がわからない」
「…」
「返事をしろ。イリー・デフ・レリグシア。私に楯突くのはあまり関心せんぞ。いくら王族といえどもな」
驚いた。
イリーは王族だったのか。
でも、現国王はアーダンテ・ギル・レリグシア。イリーはセカンドネームがギルではなくデフだからおそらく直系では無いんだろう。
イリーがプライド高い理由が少しわかった気がする。
「…俺はイリーだ。レリグシアはやめて欲しい。いくらセドル学年主任とはいえ」
セドル学年主任の目つきが鋭く変わる。
「ふん。生意気な。私に意見しようとは、四聖賢にでもなってから言うんだな。…そんなことはどうでも良いか、続きお願いしますよ、シューカ先生」
「はい。では、ひと休憩できましたし、気を取り直して始めましょう」
(ディフェンシング・ウォール…。あれは娘の得意技。娘と会ったと言ってたけど教わっていたのかしら?)
「はい。今度は油断しません!」
「油断…ね。手を抜いていたのではなくて?」
「油断です。シューカ先生」
「一つ言っておかないといけないわね。わかっていると思うけど、この試合は貴女の今の力を測る為のもの。出し惜しみは無いようにね」
「もちろんです!」
だったら、もう出し惜しみなんかしない。
お父様、ごめん!
今更かもしれないけど、オレ無難な学園生活は諦める事にするわ!
どうせ魔闘演舞で優勝なんかした日にはいつか目立っちゃうし。
「では、始め!」
セドル学年主任の合図に合わせて、一瞬でシューカ先生との距離を詰める。
「なっ!!」
驚くシューカ先生を正面に腰を深く落とす。
「ふっ!!!」
下からシューカ先生の腹部をめがけ本気のストレート。
「ディフェンシング・スフィア!」
シューカ先生は急いで、全身を纏う球体状のガードスキルを発動させる。
が、
先程のイリーとディエン君の魔力を吸収したオレのスキル『リベンジ・エミテッド』を足に込めて推進力にして瞬時に移動し、更に拳に纏わせて放つ一撃だ。
簡単には防げないぞ!
—— バゴン!!!
オレの拳とシューカ先生のガードスキルが衝突する。
「「ぐぐぐぐぐぐっ!!!!」」
お互い一歩も引かないまま耐えている。
くそっ!
ディフェンシング・ウォールと違って球状だから殴った拳が僅かに滑ってズレてきた。
これじゃあ折角の突進力がいなされる!
さすが魔術クラスの先生だ。
一瞬でオレの技の対処方法を見極めてる。
「お、驚いたわ!さっきとは比べ物にならない程のスピードと威力ね...。」
「私も驚きました...!あの一瞬で対処されるなんて!」
「伊達に先生やってないもの!」
「では、更にもう一押し...!!!」
「!!」
ガードに押し付けている拳と両足に更にリベンジ・エミテッドを上乗せしていく。
「もっと上がるの...!?」
「うぎぎぎぎぎぎぃ!!!!」
およそ貴族のお嬢様とは言えないような呻きを上げながら、ガードをぶち抜く事を期待して思い切り拳を振り切る。
「うぁっ...!」
声と共に後方へ地面を球状に抉りながら吹き飛ばされる。
残念ながら、ガードをぶち抜く事は出来なかったらしい。
これは、まだまだ終われなそうだ。
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