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第一章 二十五話 『転入⑤』

「皆さんおはようございます」


「「「おはようございまーす!」」」


「それではまず授業に入る前に、以前から連絡していました。転入生を紹介したいと思います」


ざわざわざわ…




転入。

とうとうその時が来てしまった。

き、緊張する〜。

胃がキリキリするこの感覚久しぶりな気がする。

今までいろんな事があった。

剣になってた事から始まり、たくさんの人(?)達と出会って盗賊と命の危機を感じながら戦ったり。

けど、あまりにも現実味が無さすぎてこんな感覚を感じ取る余裕なんか無かったから。



そして、まさに今魔力専校魔術クラス一年の教室前の廊下に居る。

教室内ではシューカ先生が話し始めた。

クラスの生徒がざわつきをみせていた。



「静かに!では、入って来てくださーい」


よし!いくか!


「はい」


カチャリと前の世界とは違う洋風な造りのプッシュオープン式のドアを開ける。

先生の言葉に話し声が止みつつあった生徒たちのざわつきが、オレが入ると同時にしんと静まりかえった。


「私の隣に来て」


先生の言葉に従って教壇に乗って脇に立つ。

黒板には、オレのいや、私の名前が書かれていた。


「皆さん注目…はしてるわね。自己紹介お願いします」


「はい。えと、名前はアル・ガル・シアンと申します。」


「皆さんも知っている通り、アルさんはガル・シアン伯爵家のご息女です。ですが、我が魔力専校では貴族出の方も常民出の方も平等に接します。ですので皆さんもクラスの仲間として仲良くしてあげてくださいね!」


「私からも気兼ねなく接して頂けると嬉しいです」


ここで第一印象を良くする為に最高の笑顔をキメてやるぜ!

ニコリ。




「「「う、うおおおおおお!!!!(男子)」」」


「「「かわいーー!!!(女子)」」」




!?




おぉ…

これは好印象って事でいいのかな?




「こらっ静かに!アルさんも困ってますよ!」




「「「はーい」」」



「…ちっ」



ん?

今の舌打ち?



「すんません。どうでもいい事で無駄に時間使わないでもらっていいっすか?こいつがナンボのもんか知りませんけど俺にはどーでもいいんで」



「「「…」」」



机の上に足を乗せている、金髪をオールバックにしているいかにも不機嫌な様子の生徒。


…どこにでも居るんだな。こういう嫌なヤツ。



「ダメですよ。イリー君。これから一緒に過ごす魔術クラスの仲間なんですから」


「仲間?俺からすればそこら辺にある石ころと変わらんヤツらなんてどうでもいいんすよ。実力もなく群がってるバカ共には分からないだろうがね」


…イラ。


「なんだ、その目つきは?俺に喧嘩売ってんのか?」


ガタリと音を立てて立ち上がりオレを睨みつけてくる。

ベルガドルムをはじめとするいろんな相手の威圧を受けてきたオレには微塵も効かない。


「…ふん。ビビって何も言えねぇか?腰抜け」


ビビってねーよ。

初対面にそんな言葉をぶつけてくるお前に面食らっただけだ。


「私は、まだ魔術クラスの方達の事はわかりませんが、軽々しく人をバカにする貴方の行いは許せません」


「はっ。許せねーからどうしたっていうんだ?」


「ちょっと!二人ともいい加減にしなさい!イリー君、貴方はこれから職員室に来てもらいます。アルさん貴方も落ち着きなさい」


オレとイリーの間に立って止めに入ってくるシューカ先生。


ここは先生の顔を立ててやめておこう。


正直、これでわかった。

実力で言えばこのクラスにオレを超えている生徒は居ない。


「はい」


「…よかったなイリー。あまり出しゃばるようであれば、私がお前を吹きとばすところだった」


「んだと?そこそこやれる程度で俺に意見か?クソ野郎!」


…ズン!


居たわ。

両腕を胸の前で組み姿勢よく座っている男子生徒。

ジロリとイリーを睨みつけながら教室が軋む程の威圧を放つ。


この生徒は間違いなく強い。


あの大柄な盗賊には及ばないが、オレと同等かそれ以上に感じる。


「やめなさい。“ここ”にいる以上私闘は許されません」


「なら、実践学習だったら?」


「ああ、次の実践学習は私とイリーを組ませて下さい」


「そんなこと了承できま」


「いいんじゃあないか?」


え、誰?


“誰も”気がつかないうちにシューカ先生とオレの脇に立つ片眼鏡の男が先生の言葉を遮った。


「セドル学年主任。またそんな事を…」


「転入生の様子を見に来てみれば、面白そうなことが起きてるではないですか。実力主義の我が校では、こういう血気盛んな生徒が居る事は喜ばしい。そうではないですか?シューカ先生」


「それはそうですが、それで私闘をしていい理由にはなりません。私としてはそういった生徒は魔闘演舞でしっかりとルールに則って行われるべきです」


「それは選ばれし強者のみが出場できる催し。一年生で四聖賢にも選ばれん程度の生徒が出れるわけがありません。それか、四聖賢からの推薦があれば別ですがそんな事もないでしょう?」


「…」


「ならば実践学習しかありませんね?」


「しかしこのような喧嘩の延長線上で行って、両者ヒートアップして何か事故が起きてからでは遅いのですよ!」


「では、私もその実習につけば?」


「!」


セドル学年主任の言葉に何も言えなくなるシューカ先生。




「…フ。決まりですね」




「おい。死んでも後悔すんなよ?」


「イリー。貴様にその言葉をそっくりそのまま返そう」




いやぁ、バチバチです。

もうみんなオレのこと頭にないんじゃないの?



「それでは、よろしくお願いしますね?シューカ先生」


「…はい」



はっはっはと大きく笑いながら教室から出ていくセドル学年主任。



「はぁ。…ごめんなさいねアルさん」


「い、いえ。私はなんとも…」


「おい。何安心した面してやがる腰抜け。テメェはこの野郎をぶっ殺した後に遊んでやっから覚悟しとけ」






…絶対ぶっ飛ばしてやる!





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