第一章 二十一話 『転入①』
チュン、チュン
「お嬢様〜。朝ですよ〜、起きましょう!」
「んぅ…。あっ、フィーレちゃん。おはよ〜…」
ふぁ〜。
とうとう今日から久しぶり(?)の学校生活が始まる。
とはいえ、普通の学校ではなくこの世界特有のスキルとか魔力とかに関する専門の学校だからどんな生活が待っているのか、期待と不安で胸がいっぱいだ。
「起きましたね!早速制服にお着替えしましょう!」
「はいはい」
「はい、は一回でいいですよ!」
「は〜い」
「もぅ、お嬢様は伯爵家の娘なんですから、もう少し自覚のある行動して下さいね!」
なんか入学日に近づいていくにつれて、どんどんお母さんみたいになってるよフィーレちゃん。
まぁ、この世界にお母さんはいないから、なんだかんだこういうくだりとか心が温まってオレ的にはすごく嬉しい。
着替え終え、部屋を出てロビーに向かうとお父様をはじめ、使用人の人達が皆揃っていた。
屋敷から魔力専校までかなり時間がかかるので、夜明けと共に起きたのにも関わらず皆がオレの為に準備して待っててくれている。
「おはようございます!」
「おはよう」
「「「おはようございます!!」」」
挨拶を交わしてお父様の元へ寄る。
これから魔力専校に行けばしばらくの間、家へは帰って来れない。
それも、魔力専校は寮制の学校だからだ。
「嬉しそうな顔をしているな」
穏やかな顔をしているお父様からそんな事を言われた。
「はい。久し…い、いえ、初めての学校生活に胸が躍る様です」
「ふっ、そうか」
「旦那様、お嬢様。お食事の用意が整っております」
「いくぞ」
屋敷のダイニングへとトルフェイさんを先頭にお父様と並んで歩き出す。
すると、お父様がオレへ耳打ちして来た。
(貴様、黒徒の件は忘れてないだろうな?)
(忘れてないって!わかってるよ)
そう、一週間程前のあの応接室での話の中でオレの魔力専校入学の話しに続きがあった。
どうやら黒徒の奴らはオレを狙っているらしく、ベルガドルム的には魔力専校の中にいれば『奇剣アルク』の在処のカモフラージュになると言っていたが、オレはルムード伯爵の娘“アル“として魔力専校の中に黒徒に関する情報がないか探って欲しいというものだった。
ヴィアナさんによると、黒徒達は人を操るという謎のスキルを使用するため、現時点で王国最高峰の魔力やスキルに特化している学校だから何か情報があるはずという事らしい。
(わかっていればいい)
(私からも、少しでも何か掴んでくれればいいんだ。その時はルムード伯爵宛の手紙とかでいいから連絡宜しくね!)
オレとお父様がこそこそ話していたら、トルフェイさんも小声で話してきた。
(わかりましたよぅ…)
「さて、着きましたので食事にしましょう」
朝食を摂った後、直ぐにオレとフィーレちゃん、馬車の御者としてトルフェイさんで出発した。
盗賊からの襲撃の件もあり出来るだけ被害者を出さない為、少数精鋭での行動となった。
特に何もトラブルなく、ルムード家から出てムルアを通り二時間程馬車に揺られ魔力専校に到着した。
と、遠かった….。
前の世界では二時間乗り物に乗るなんてそんなに苦じゃ無かったんだけど、やっぱり馬車っていうのがキツさを助長させてよね。
縦揺れに曲がる際の遠心力のかかり方とかね。
ちなみに、魔力専校のオレの扱いは転入生という事らしい。
魔力専校は、三年制で騎士クラス、魔術クラス、技力クラスの三つがある。
それぞれ、騎士クラスは王国の騎士を目指す生徒のため、武術、剣術。それに繋がる身体的なスキルを学ぶクラス。
魔術クラスはスキルの知識を学び、幅を広げて王国の後方部隊を目指すためのクラス。
技力クラスはスキルを使用し、武器へのエンチャントなどの王国の戦力を支援する為の能力を鍛えるクラスだ。
オレはその中でも魔術クラスへの転入となる。
実際に学校を目の前にしたらなんか緊張してきた!
どんな子達がいるんだろうか。
どんな授業を受けているんだろうか。
どんな学校生活が待ってるんだろうか。
オレには黒徒についてやらなければならない事があるけど、卒業したら自由になってスローライフを目指すっていう夢があるからいろんな人脈が欲しいところだ。
でも、そんな利己的な理由じゃなく仲良い皆でワイワイ楽しく過ごしたいってのが本心だけど。
とか何とか考えていながら校舎に入れてもらって職員室に向かう。
コンコンコン
「失礼いたします」
「どうぞー」
「…え?」
職員室に入るとそこには、つい一週間前に目にした黒髪で黒い瞳の少女が待ち構えていた。
「貴方がアル・ガル・シアンさんね!初めまして。私は貴方の担任の…」
…。
なんでこんなところに居るんだ?
勇者と一緒にいるんじゃないのか?
魔法少女…!
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