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第一章 十話 『おでかけ①』

ベルガドルムとオレ、若い女性のメイド三人(?)は馬車に揺られていた。


目的地はレリグシア王国国内にある、ルムード・ガル・シアン伯爵が統治している領地『ムルア』の街だ。


ベルガドルムいや、ルムード・ガル・シアン伯爵がオレのために服を用意してくれるらしいが不安で仕方がない。


「いきなりすまんな。ティーマ」

出発して30分程経っただろうか、ルムード伯爵がメイドの女性に話しかける。


しっかりメイドさんがついて来てくれていた。

これなら安心かもな。


「いえ、私どもは旦那様の意思に従うのみですので。しかし、驚きました。まさか“あの“旦那様が養子を迎えると仰られるとは思いもよりませんでした。しかも女の子とは…」


雇い主に対して“あの“なんて強調して言うなんて本当に意外だったんだろうな。

ルムード伯爵としても性格的にはあまりベルガドルムと変わらないらしい。


「ましてや女性が苦手で婚姻もしていないお方が、いきなり養子として娘を迎えるなんてありえませんもの」


作戦とはいえやはりかなりのゴリ押しだった様だ。

今の言葉を聞けばオレもかなり無理があったんだと何となく分かった。


「そろそろ後継の事も考えねばならん。効率的に考えた結果、養子をとった方が良いと判断したまでだ。深い理由は無い」


これは、人としてどうなんだ。ベルガドルムさんよ。

まぁ、龍なんだけども。


「はぁ。そうでございますか」


ほらメイドのティーマさんも呆れてるよ。


とかやってる内に街が見えてきた。

レンガ造りの建物が建ち並んでいる。

人の往来もかなり多いしかなり活気がある。

結構な規模の街のようだ。


「ここで待っていろ。件の娘を呼んで来る」


返事を聞く間もなくルムード伯爵が馬車から飛び出す。


「っ!?お待ちを!」


馬車から手を出し掴もうとするが、そこにはもう姿はなかった。



ーーーひと気の少ない路地裏に来た。


大通りに背を向け路地裏が人から見えない様に立つルムード。


「アルク、人化しろ。今ならば他には見えていない状態だ」


えっ、人化すると裸になっちゃうんですけども!

見えていないとは言え外で全裸っていうのはメチャメチャ嫌なんだが!

しかも女の子になるんでしょ。 


「時間が無い、ティーマが追いかけて来ているんだ。早くしろ、一応外套は持っている。」


ジャケットの内側へ徐に手を入れると何処からとも無く暗い緑色の外套を取り出す。


あんな貴族服のジャケットの何処にそんなもんを隠し持ってんだよ。


とりあえず急いで習得していた人化スキルを使用する。

人としての感覚が戻ってくる。


「そら、早く着ろ」

おっとっと、いきなり外套を投げてくんな!普通に渡せよ!


人から見つかる前にサッと着込む。

頭から被っているので誰かもわからない格好だ。

ただ、出ている足は裸足だし下から入ってくる空気が寒い。


「早く服が欲しいぜ…」

ボソボソ小言を言っているうちにルムードが路地の方に歩いていた。


「おい!待ってくれよ!」

急いで追いかけると少し先の方から走ってくる人が見えた。


「やっと見つけましたよ!旦那様!!」

かなり急いで追いかけて来たのだろう。メイド服のスカートをたくし上げ、ワイン色の髪の毛も振り乱しながら駆け寄ってくるティーマ。


「すまんな。流石に娘一人を一人だけの状態にしてはいかんと思ってな」

ベルガドルムの奴、思っても無い事言ってやがる…。


「この娘が言ってらっしゃった子ですか?」


外套を頭から被っている状態の為か、こちらの様子が伺えず少し不審感のある目でこちらを見る。


視線が足元に移る。

オレが裸足ということに気づいたみたいだ。


気にしない様子でオレに近づいてくる。

そして、オレの目線に合わせて腰を屈めながらニコリと笑みを浮かべる。


この世界の女性の中では、オレは平均よりも背が低いようだ。メイドの女性とは、頭の三分の二程下だ。

多分145cm程だろうか。元々は170cm位だったから結構縮んじゃったな。


前に人化した時はそこまで気にしている余裕が無かったから気づかなかった。


「初めまして。私、ティーマと申します。ルムード・ガル・シアン伯爵様の元で働かせて頂いております。」


オドオドしているオレを見て気を利かせてくれたのだろう。

あちらから挨拶をして、手を伸ばすティーマ。


「はじ…」

「ゴホン。…ここではなんだ、場所が悪い。馬車に戻ることにしよう」


オレの挨拶を咳払いで阻み馬車に戻ろうとするルムード。

別にここでも良いのに。


「お嬢様。こちらへ」


「…」


ティーマが握手のつもりで伸ばしたのだろう手を握り返すとオレ達三人は足早に馬車に戻る。


お嬢様か….。



「さて、ここならば良いだろう」


執拗に周りを確認しながら話すルムード。

一体何を気にしているんだ?


「フードをとって挨拶をしろ」


そう言われ外套のフードを取った。

淡く紫色に輝く銀色の髪が肩に落ちる。


挨拶しそびれたから改めてしないとな。


「初めまして。オレはアr」


「アル」


…ん?


「アルだったな?」

ルムードがオレにどこか威圧感のある笑顔で言ってくる。


危ねぇ!アルクって素直に言っちゃうとこだった!

なんやかんやあって、バレちゃうといけないしな。


どうやらオレはこれからアルとして生きていく事になるようだ。


「アルって言います。よろしくお願いします」

久しぶりに人になったからあんまり表情筋が動かないな。

ぎこちない笑顔になった。


「  」


…..あれ?

ティーマさんの反応がない。

改めて顔を見る。


大きい目を一際大きく開かせこちらを見ている状態で固まっていた。

どうしたんだろうか?

頭を傾げてティーマさんを見つめていると、


「旦那様!!なんて娘を連れて来られるのですか!!」


ルムードの顔寸前まで顔を寄せて声を荒げ始めた。


「な、なんだというのだ…」


珍しく押され気味のルムードだ。


「本当にこの娘は孤児なんですよね!!」


「あぁ…間違いない」


うん、間違いないな。それは。

というかこの感じだと、ティーマさんとかにはオレのことは孤児だという事にしてあるっぽいな。


急に体の方向を変え、今度はオレをまた見つめる。

なんなの?

はっ!

もしかしてオレの人化に何か欠点が…?


「なんという事でしょう…。美しすぎますわ!!」


「なんだ。そんな事で驚いていたのか」



……ん?

今のオレの話だよね?

美しいって言ってたのか?オレが?

確かに、この身体になってから自分の事なんてよく見てなかったけど。



「こうしては居られません!!早く馬車から降りてお召し物を探しましょう!!」

す、すごいやる気に満ちている顔なんだけどこの人…。


読んでくださりありがとうございます!

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