Life Re:6 The story of et cetera related to TV games. 私はゲームが好きかもしれない。
ある日、彼女は昔僕が貸したゲーム「ときめきメモリアル」について尋ねます。僕はPS3でダウンロード版を購入し、彼女は初めてのダウンロードゲームに驚きます。彼女は「ゲームで卒業を体験したい」と語り、ゲームに熱中。僕はそんな彼女の姿を微笑ましく見守ります。彼女はゲームを通して、現代の技術や価値観、そして「プロゲーマー」という新たな職業に触れ、時代が大きく変わったことを実感します。
念願のゲーム機とコスプレ
バイト仲間の影響で「Fall Guys」というゲームにハマった彼女は、より快適なプレイ環境を求めてPS4を購入します。僕がゲーム機の設定や配線を担当し、彼女は「やっぱり機械のことはオトーサンだね」と感心します。
そんな中、僕が好きなキャラクター「渋谷凛」の話になり、彼女は「コスプレ衣装を買って着てみたい」と言い出します。彼女の女子高生姿に、僕は少し照れながらも「可愛い」と褒め、二人の距離はさらに縮まっていきます。
夜の葛藤と温もり
コスプレ姿の彼女に僕は少し動揺しつつも、あくまで「父と娘」の関係を崩さないように努めます。しかし、彼女は僕に「もっと触ってほしい」と甘え、僕は彼女の気持ちを汲み取りながらも、一線を越えることはありませんでした。
結局、彼女は興奮を落ち着かせてから、いつものように僕の隣で眠りにつきます。世話の焼ける娘ですが、僕は彼女の無邪気な姿や、時に見せる大人びた一面に、愛おしさを感じているのでした。
「昔、ゲーム貸してくれたことがあったじゃない。あのゲームって、まだあったりする?」
ゲームを貸したことなんてあっただろうか。僕と彼女は、中学の3年生だけ同じクラスだったわけで、さらに言えば急速に近づいたのも半年ぐらいだ。
その彼女にゲームを貸すということはあったとして、何を貸したのか、見当がつかない。
「ゲーム貸したことあったっけ?全く記憶にないんだけど。」
「う~ん、ほら、テレビの横にあるフィギュアみたいな子が出てくるゲーム、なんか貸してくれたことあったじゃん。」
...うーん、冴えカノやデレマスのフィギュア見て思い出すゲーム、やるドラとかなら分からないでもないんだが、辻褄が合わないし、出したら普通に遊びそうだ。
「あ、思い出した。ときメモだ。なんか女子でたらい回しにされて、私にも回ってきてたんだよね。」
ちょっと思い出した。僕の中学時代、ときメモが人気で、ソフトそのものが手に入りづらい状況だったんだけど、たまたま持っていた僕が誰かに貸したら、半年ぐらい帰ってこなかったということがあった。
なんだかよく分からないが、僕が学校に持ち込む漫画やゲームは、僕の手を離れて、女子が持ってるなんてことも普通にあったりした。ナメられてたのか、出どころがよく分からなかったのか、今となってはもらい事故含めていい思い出だ。
「ときメモねえ、普段動かしてないPS3で買ってやってみようか。」
「え、本当に持ってたりするの?物持ちいいね。」
「違う違う、インターネットの発達で、ゲームも今や時間を問わず、買ってダウンロードして遊ぶことが出来るようになったの。」
言ってる意味が分かってない顔をしているが、まあ、それも仕方ないだろう。
「どうせ大した値段じゃないだろうし、買って二人でやってみよう。面白そうだし。」
「文明の利器というか、本当に20年で時代が変わるんだね。カセットからCDってだけでゲーム変わったなあって思ってたのにね。」
確かに。SFCがスタンダードだった人間が、いざPSを買ったときは、知ってたとは言え、なかなか変わったものだと思った。
「ちなみに今のPS4では、ダウンロード販売が基本で、ゲームはBlu-ray Discに収まりきれないものも多いぞ。」
「ぶるーれいって何?そもそもまだDVDもよく分かってないのに、また違うCDみたいのがあるの?」
そうでしたね。20年で、VHSはDVD、そしてBDへと移り変わっていました。それを説明するのも、もう面倒だ。
「まあ、それは後々教えてあげる。あ、売ってるな。さすがアーカイブ出るぐらい人気のゲームは違うね。628円か。」
「すごいね。600円でときメモ買えちゃうなんて、本当に20年後の時代に来たって実感する。」
そんなことで実感されても困ると言えば困るんだけど、たしかにわかりやすいたとえにはなるよなあ。
「ところで、買うはいいけど、ゲーム遊べるの?見てるだけだと単にクレジットカードで通販してるみたいな感じだけど」
「ああ、それは、ゲーム機の中に保存出来る場所があって、そこから読み出して遊ぶんだよ。ゲーム機と言っても、PS3はPCみたいなもんだからね。」
数十分のダウンロード時間がある。割と、こういうところが買う気を失せさせるんだよなあ。
「さてと、インストールも済んだみたいだから、俺はもう寝るよ。明日も仕事だからね。」
「眠れるかな?オトーサンにも付き合ってもらおうかな。色々知ってそうだし。」
「家主がゲームで徹夜して仕事に出ないってのも問題だろ。そこは一人で...バイトのシフト考えてゲームやるんだぞ。」
「はーい。ヘッドホン着けてやるから、うるさかったら言ってね。おやすみなさい。」
黙々とヘッドホンを付けてやってる彼女を見て、寝床につく。
翌朝、僕が仕事に行く時間にも起きなかった。何時までやっていたのかはちょっと分からないが、多分バイトギリギリまで寝る算段なのだろう。
「行ってきます。」
耳元で囁いてあげたが、寝息を立ててスースーと寝ているので、もういいかと思った。
その日のLINEで、彼女はときメモの話を延々としていた。起きて、バイトの休憩で、そして家に帰ればプレイしながら色々聞いてくる。
まあ、それはいいが、自分が男子高校生になって、ゲームの女の子から告白されるというのは、面白いものなのだろうか。
「え、それ聞いちゃう?だから乙女ゴコロがわからないんだよ。」
ニシシと笑いながら、彼女は言う。
「男の子もそうかもしれないけど、女の子の告白は、もっと特別なモノなんだな。私が散々軽口で結婚しようって言ってるのは半分冗談みたいなもので、本気で結婚を申し込むなら、もっと色々覚悟して伝えるはず。」
まあ、軽いノリで付き合ってしまうのも悪くはないのだろうと思うけど、男からすれば婚約指輪も必要だろうし、なかなか的を得た答えだと思う。
「高校さ、卒業出来なかったじゃん。だから、卒業するってどういう感じなのか、ゲームでやればわかるかなあって思ってるんだけど、やっぱりゲームだからかな。なんか実感沸かないや。」
「それにしちゃあ、何人もクリアしてるよね。実は、結構ハマってる?」
「んー、そうかもしれない。ゲーム機自体、あの借りた時以来触ってるけど、案外ゲームやり込むのは向いているのかもしれない。」
「そういうところは僕には似なくて...まあ、俺もゲームが好きなわけではないか。なんなんだろうな。」
「スマホのゲームやってるじゃん。アレはゲームに入らないって感じなのかな?」
「ソフトとして完結してないからね。延々とサービス終了までやってる感じだから、そこはちょっと違うところかな。」
「ねえ、ゲームやってる女の子に告白されたら、考えてくれる?」
「考える考えない以前に、そこでやっている女の子の姿を見たら、100年の恋も一気に冷めるだろ。」
おなじみ、ノーブラでTシャツ。下はショーツ1枚でときメモやってる女子なんて、ここにいますけど、せめてもう少し恥ずかしがるぐらいのことはして欲しいんだよなあ。
「ま、もっとも、今や女性プロゲーマーなんて職業もあるんだから、それぐらいになったら、考えてあげるか。」
「プロゲーマーって?今ってゲームでお金もらえる時代なの?」
「まあ、君がやってるようなゲームにはプロはいないから、プロゲーマーには多分なれない。僕が恋人なら、なって欲しくないかな。」
「例えばプロゲーマーって、どんなゲームをやってるの?」
「FPS、う~んと、一人称視点でプレイするゲームね。おおよそアクションゲーム。反射神経とかが必要。それからパズル。ぷよぷよやテトリス、パズドラみたいなやつ。そして格闘ゲーム。分かるかな。ストIIみたいなやつだね。」
「う~ん。ぷよぷよぐらいしか出来そうなやつがないね。」
「まあ、いいんじゃないかと思う。でも、今の君がトップに追いつくには、本当に苦労すると思うよ。無理な世界だと思ってる。」
「そうなんだ。でも、いい時代だよね。私の年齢でゲームをひたすらやって、うまくなれば、生計を立てることも出来るわけでしょ?」
「そこまで行くのには、大学に入るぐらいのお金と、ひたすら技術を磨くだけの努力が出来るか。努力は、そんなに問題ないだろうと思ってるけど、基礎がそもそもにね。」
「やっぱり不利?」
「ちょっと難しい話をすると、瞬時に最適な動作を選択出来るだけの冷静さと、負けない気持ちを同居させなきゃいけない。君が高卒認定試験を今受けるのより、圧倒的に難易度は上がる。そして状況を判断する、もしくは反射的に行動出来るといった技術も持たなければ、おそらくトップを目指せないと思う。」
「なんか、君ってそういうところ、ちゃんと理屈で説明出来るのは偉いよね。まあ、ゲームだし、私は基本的に楽しく遊ぶことを選ぶよ。」
しかし、彼女のゲーム熱は下がるどころか、上がって行ってしまった。
バイト仲間がPS4を持っていて、Fall Guysにハマっているそうだ。そのせいもあり、彼女に渡しているノートPCでやってみているのだが、いかんせん動きがついていかないらしい。やはり、Intelのオンボードグラフィックでは、そこまで動作するものではないようだ。
とは言え、ゲームやる時ってのは、だいたいいつもの時間。僕もさすがにPCは貸せないので、そういうわけで、我が家にもPS4がやってきた。
「ニシシ。これで、Fall Guysが快適に遊べるはず。ねえねえ、PS3とつなぎ直してよ。」
「はいはい、ちょっとまっててねっと。」
我が家のHDMI端子はレコーダー用に2つ、ひかりTV用に1つ、それとゲーム機用に1つなのだけど、現状はPS3がつながっている。
他にも、古のHD DVDプレイヤーとか、サッカー見てた頃に録画してたHDDレコーダーなんかもあるんだけど、それは多分使わないからという理由で外している。
つなげるにも、TV側ではなく、機器側を抜いたほうが圧倒的に速いので、今回はPS3から抜こうとしているんだけど、その上にはフィギュアケースが2個重なってる。
とりあえず慎重にフィギュアケースを移動させて、PS3の上にPS4を置いて、HDMIをつなぎ直して、コンセントをつなげて、で、フィギュアケースをまた元に戻すと。
「出来たよ。」
「よーし、最初の電源は、私が入れますよ。」
ボチッと。
なんか、新鮮な起動音。まあ、聞いたことがないだけで、これからはしょっちゅう聞くことになるんだろう。
あ、僕もガンダムのFPSみたいなの...バトオペか。やろうかな。
「あ、そうだ。PS STOREのアカウント入れて。」
「はいはい。コントローラー操作だと、ちょいと面倒なんだよなあ、っと。これでログイン出来るかな。」
ん?接続しないぞ。
「アカウントが認識されませんって。これっていつものと一緒じゃないの。」
「いや、多分同じだと思う。うーん...あ、ネットに繋がってないのか。」
「そういうの詳しい人じゃないんだっけ。君ってそこまで忘れるタイプ。」
「新しい機械をいじる時って、なんとなくイージーミスするんだよね。まあ、無線LANで大丈夫だろう。」
っと。
「繋がった?」
「うん、ネットワークテストもOKみたい。これでログイン出来るんじゃないの。」
ガチャガチャとコントローラー操作する。手のサイズに対して、コントローラーサイズが明らかに大きい気がする。
「ね、もっかいパスワード。」
「はいはい。」
「ほれ、これでログイン出来た。いいか、クレカ直結してるから、お金かかるソフト買う時はちゃんと事前に言う事。」
PS3のときにPS1アーカイブをガンガン買われた記憶が蘇ってきた。
「Fall Guysっと。出てきた。これをインストールすればいいんだよね。」
「多分。インストールして、ゲームの中で普段使ってるアカウント入れれば、今まで使ってたキャラが使える、と思う。」
「珍しく自信なさげ?」
「だって、PS4持ってないからわからないけど、多分そういう感じじゃないかって。」
........
「インストール、遅くない?」
「ダウンロードはそんなに問題なさそうだけど、HDDか。」
「ハードディスク?」
「パソコンとかにも入ってるんだけど、今はパソコンはSSDっていうもっと速い速度の記憶媒体が入っているんでね。」
「なんか、遅いのが付いてるのか。でもインストールだけ我慢すればいいんでしょ。」
「さすがにSSDに変えるとして、君がお金を出すなら僕が交換するけど。」
「ゲームできるなら別にいいや。このまま使う。」
数分後。
「おお、Fall GuysのOP画面が出てきた。これでやりたい放題だね。」
「そうだね。んじゃ、僕はもう寝るから、差し支えないようにヘッドホンして遊んでね。」
「たまには一緒に遊んでくれてもいいのに。でも、休みになったら一緒にやろうね。」
なお、一緒にプレイすることは出来なかった。なぜって?コントローラーが1つしかないからだよ。
そういうわけで、次の休みに買いに行きましたとさ。案外高いのね。初めてやったFall Guysは意外に面白かったけど、3D酔いするなこれは。
「これもFPSの一種だけど、一人称視点ではないから、微妙に違うのかな。なんか、マリオ64を思い出した。」
「こんなに快適になるとは思わなかった。PS4も安く買えたし、これでしばらくはゲーム環境は安泰かな。」
「でも、PS3じゃないとときメモとか、買ったゲームは出来ないんだよ。」
「え、そうなの?じゃあ、PS3とPS4を両方使えるようにするにはどうしたらいいの?」
「HDMI切り替え機でも買おうか。そんなに高くないし、HDDレコーダーも使えるようにしたいしね。」
「ポンポンとアイディアが出てくる。君はそういうところ、本当に感心するよね。」
「単にモノを知ってるだけだよ。伊達に君より長く生きてない。」
「いや、生きてても、多分HDMI切り替え機なんてものがあるのを知らないと思うよ。」
「そういうものかね。まあ、でも必要だと思うし、買っておいたほうがいいよね。」
「即決即断だね。機械ものは、やっぱりオトーサンだね。」
「はいはい、それじゃ...う~ん、案外するけど、4ポートの切替器がいいか。HDDレコーダーも2台あるし。」
「HDDレコーダーって?」
「昔のビデオデッキだね。テレビ台にAVアンプがあって、ヘッドホン端子があるだろ。その上に、見えないけど2台乗っかってる。」
「じゃあ、私もTV録画してもいい?」
「いいよ。あとで使い方教えてあげるよ。」
「なんか、知らないことがまだまだ多いね。特に機械周り。」
「知らなくていいよ。僕がそこは全部いじるし、必要なところだけ教えてあげるからね。」
そうしてHDMI切替器を取り付けたその日。
今日も僕の右側により掛かる。手元には大きめのマグカップに、ココアが入ってる。
あんまり寄りかかられてる状態で、飲み物は持ってほしくない。バランス崩せば、ふたりとももう一回お風呂入らないと駄目だしね。
「ねぇ、やっぱり女子高生って憧れる?」
「憧れる?ってのは何?色々意味があるぞ。」
「いやいや、君さ、スマホにもキャラのマスコット付けてるじゃない。よく見るとあれも女子高生だし、好きなのかなあって思って。」
「このキャラがね。僕のお気に入りなんだよ。」
僕のスマホをひょいっと持って、まじまじとマスコットを見る。
「この子、なんて名前?」
「ん、渋谷凛って子。アイドルマスターに出てくる女の子。」
「ふぅ~ん。」
突然であるが、僕は渋谷凛が好きである。
あ、そういうガチなことを言っているんじゃなくて、キャラクターとして好き。
ご存知、デレマスのアイコンというべき存在。普遍的な女子高生のキャラクターとしては、日本でベストの一角に入ると思っている。
当然、好きなキャラだけあって、部屋の中にあるフィギュアの数は、出してる/出してないにかかわらず、NO.1である。
まあ、もっとも他のキャラでかぶりがほぼないし、そういう意味で数が突出しているとも言える。
なにかに興味津々なのか、それとも女子高生ってのに引っかかるのか、いずれにしても、ちょっと注意したほうがいい感じはする。
「なんか、いかにも女子高生って感じ。お手本みたい。制服の着崩し方とか、なんとなくクールな感じとか、昔は絶対注意された方の子だよね。」
笑いながら聞いてくる。
「そうだなあ。君も女子高通ってたとき、私立だったし厳しかったでしょ?あんまり周りと違う子って少なかった気がするし。」
「そう、女の子はちょっとした個性で違いを出したいんだよね。でも、風紀を乱すとかなんとか。」
「風紀ねぇ。なんであの頃はいちいちうるさかったんだろうな。」
「あ、珍しく私の時代の話をしてない?」
「本当だね。いや、あの頃はマジで地獄だったからさ、あんまり話すことはないんだよね。」
「確か進学校だったんだっけ。でも、あそこの制服って、この凛ちゃんみたいな感じじゃなかった?」
「そう?少なくとも紺色のカーディガンなんて着てたら、指導室に連行されちゃうようなところだよ。」
「中学のときの友達で、紺色のセーターだったら規定の制服があるって聞いたことあったよ。」
「え、そうなの?僕はてっきり無視して紺色のセーター着てたんだけど、あれって学校指定のやつがあったんだ。知らなかったな。」
「で、現役とは言わないですけど、私も制服取ってあるよ。いかがですか?」
「いかがとは?」
「いや、男のロマンみたいなものなんでしょ。彼女のコスプレって。」
「誰の入れ知恵だよそれ?」
「バイトの外国人の子が、日本の男の人は、コスプレを彼女にさせるのが普通なんだって言ってたよ。」
「そんな普通があるかよ。しっかり、普通じゃないって言ってやれよw」
と、珍しくこの時間にスマホをいじり始めた彼女。
「ねーねー、6,000円でコスプレ衣装売ってるよ。似合うかな。」
客観的に見てみよう。見栄えする黒のミディアムボブ、身長もジャスト160cmぐらい。胸のボリュームも、それほどあるわけでもない。
何よりちょいちょいパーツがだらしない感じだけど、全体的にはスラッとしてる。完全再現とは行かないけど、彼女なりに可愛い感じにはなるだろう。
「悪くないかなぁ。え、いや、だからと言って、そうしてほしいとかじゃないけど。」
「ニシシ。わかってるわかってる。自腹で払うから、コスプレショーしていい?」
「そんなに気に入ったの?まあ、コスプレイヤーってのは女性の方が断然多いし、着てみたい願望は生まれやすいのかな。」
「よっし、じゃあ注文するぅ。届いたら、君から抱いてもらうぐらい興奮してもらおうじゃない。」
内心、楽しみ半分、怖いもの見たさ半分。コスプレイヤーの知り合いはいないから、実際に同居人がコスプレしてみたらどう感じるのか、ってのは少し楽しみかも。
...数日後
「うわー、届いたよ。ほらほら。」
「うん、届いたね。」
「すごいよこれ、現役の子が普通に着てるような制服に近いじゃん。本当にコスプレ用品なの?」
「最近は中国で簡単に作って輸入されるらしいからなあ。作りはともかく、雰囲気が出てるなこれは。」
いつもの時間。今日はコスプレをするとかで、先に僕がお風呂に入って、いつもの場所で待ってる。
と言っても、普段となんら変わらない。まあ、普段はTシャツにショーツ1枚とかでウロウロしてるんだから、それに比べたらコスプレといえど、真っ当なカッコなのだけで安心する。
ガサッと音がした。脱衣所のカーテンが開いた音。そっちの方向に目をやると、微妙に間違いさがしはあるけど、コスプレしてる彼女が出てきた。
「...ちょっとサイズが大きかった。」
反省の弁か。まあ、でもサイズが大きければ、まくればいい。それはそれで雰囲気が出る。
「え、スカート短。さすがにしぶりんだったらもうちょい長めな気がするけど。」
本当に来たコスプレセットをそのまま着た感じなのだろう。黒い靴下に短めのスカート、ダボダボのカーディガンに、うまく締められてないネクタイ。
彼女のオリジナルな渋谷凛コス。なんかこういう服着ると、いかにもって感じで罪悪感を覚える。似合ってるとかじゃなくて、そのまんまだもんな。
「ぶぶー、残念でした。これは私なりのアレンジです。どう、似合う?」
「まあ、とりあえずはネクタイの結び方を教えようか。」
そうして、ネクタイを結んであげた。
「お、これで...うん、ちょっと髪型が違うけど、これはこれで、すごく可愛い。」
ちょっと笑いがこみ上げてきた。なんなんだろこの感じは。
「え、なんで笑ってるの?もしかして似合ってないとか?」
「ははは、そうじゃなくてさ、なんていうか、やっぱり女子高生なんだなって思ってさ。」
「え、そっちを言われると思ってなかった。元だけど、女子高生に近いですよ私。」
「うん、コスプレ...というとちょっと違うけど、そういうのも似合うよ。いつものセンスとはまた違う感じで新鮮。」
「可愛い?」
「うん、可愛い。これは、たまには見てみたいと思うぐらいには、可愛いよ。」
座って、目で訴えかけてくる。
「こんなに可愛いカッコしてて、なんにもしないの?」
「するわけないでしょ。買う前に興奮するわけないって言ったような気がしたけど。」
「ぶぅ~。」
いつものことだけど、そういう反応と表情が君はいいってこと、自分じゃ気づいてないのかな?
「よく出来ました。たまに着てくれると、嬉しいぐらいには僕も喜んでるよ。」
頭をなでなでした。別に褒めることじゃないけど、僕ができるご褒美はこれくらいしかない。
「えへへっ。たまには、こういうのもいいでしょ。たまにしか出来ないんだよ。ねえ、我慢しなくていいよ。」
腕に抱きついてきた。あ、この感覚、さては。
「ノーブラだろ、君。あとで大変なことになっても知らないぞ。」
「いつものカッコと同じ感じで着てたけど、もしかしてまずい?」
「届いたときに言ったけど、あのブラウスをそのまま肌に身に着けたってことだろ。安いってことは、そんなにいい生地使ってるわけじゃないんだよ。」
「そう言われてみると、なんとなくちょっと痒いかも。」
「...早く着替えたほうがいいんじゃない。せっかくのコスプレが似合うのはわかったから、いつものカッコでおいで。コスプレはまたしようね。」
そう言うと、また脱衣所に戻っていく彼女。なんか、さっきのワイシャツ、手触りが変な感じだったからなあ。肌がキレイだから、傷でもついたら可愛そうだ。
「じゃじゃーん、寂しかった?」
「はいはい寂しい寂しい。人恋しいよ。」
冗談のつもりだけど、なぜか今日は本気にしたらしい。いつものハレンチな格好で抱きついてくる。
「どう?人肌恋しい?」
「...のなあ。さすがに、ああいうカッコしたあとで、そのカッコで戻ってくるってのは、彼氏としてもどうかと思うよ?」
「ははーん、さては、さっきの格好で興奮したね。興奮が抑えきれなくなってるね。」
「興奮...まあ、いいものは見せてもらったって気がしてる。そうだよなあ。何か間違えたら、やっぱり制服着た娘がいる可能性もあったんだよなあ。」
「そういうときのオトーサンモードはずるいです。でも、なんかちょっと興奮してるかも。」
「君が?あ、そういうときもあるんだね。珍しいこともあるもんだ。」
「あ、ちょっと、今は駄目なの。んんんんーー。」
後頭部をなでなでしてあげた。
「どうしたの、落ち着かない?」
「知ってて言ってるでしょ。そういう気持ちになるときもあるんだよ。君だけじゃないんだから。」
「一応理解してる。聞かないようにもう寝るから、スッキリしてから寝たらいいんじゃない。」
「そうやって知らんぷりしてずるい。ねぇ、もっと触ってほしいの。お願い。」
「ダーメ、いつも言ってるでしょ。僕と君はどんな関係?」
「愛し合ってる恋人同士でしょう。」
「残念でした。父と娘の関係です。惜しかったけど、一線を超えるようなことは、やっぱり親としては出来ないからね。」
「興奮が収まらないからトイレ行ってくる。恥ずかしいから聞くなよぉ。」
「そこまでデリカシーのない親じゃないよ。落ち着いたら寝よう。」
何でスイッチが入ったのかさっぱりわからないんだよなあ。そんなに興奮するような出来事あったかな。
たまのことで高ぶったのだろう。これがコスプレの力?いやいや、そんなことない。
「でも、たまにはまたして欲しいかな。」
なんとなく聞こえないところで独り言。見てるこっちも、やっぱり恥ずかしいことがわかったよ。
で、その後はスッキリしたのか、また布団にもぞもぞと入ってきました。
何でも、一緒に寝たいと言ってきたので、そこは一緒に寝てあげましたとさ。
世話の焼ける娘だけど、コスプレ、似合ってたなあ。また、弱みを握られちゃったかな。
しかし、ここまで彼女がどっぷりゲームをやる人、そしてノリでコスプレしてくれるような人だとは思わなかった。
絶対嫌がると思ったんだけど、案外、そういうのが性に合ってるのかもしれない。そう言えば、アニメも一緒に見たりしてるしね。
彼女がだんだん僕の好みの女性に変化してる?いやいや、これは、彼女の好奇心だと思いたいかな。
今日はこの辺で。また次の機会に。