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同級生、娘、恋人、奥様、そして僕 セルフリメイク版  作者: R32+0
同級生、奥様、恋人、そして僕
10/30

Life 10 Middle-aged couples don't like dating 中年カップルはデートが苦手

中年カップルのデート事情


僕は、本来の「彼女」である同い年の女性と、ちゃんとしたデートをすることになりました。しかし、今まで娘に合わせていたため、同世代の女性を連れて行く場所に悩んでいました。娘に相談しても「二人とも受動型だから、縁側に座って話しているのが似合いそう」と言われ、結局、桜の散る上野公園を散策することに決めます。


空白の時間を埋める


公園のベンチで、僕たちは空白の時間を埋めるように語り合います。彼女は、僕が約束を守って待っていてくれたこと、そして「娘」という存在が僕と彼女の縁を再び結んでくれたことに感謝を伝えます。


彼女は、僕との関係を「あの頃出来なかったドキドキを、今体感すればいい」と表現し、年齢を気にせず、15歳の頃の気持ちでデートを楽しもうと提案します。僕はその提案に乗り、お互いの気持ちをストレートに伝え合うことで、ぎこちなさが解けていきます。


娘の複雑な思い


その後、僕は彼女と鶯谷方面へ向かい、娘にはできないようなしっぽりとした時間を過ごします。しかし、娘は僕に「おねえちゃんとは仲良くできるのに、私とはできないんだ」と寂しさをぶつけてきます。


僕は、彼女を「娘」として大切に思っているからこそ、性的関係には応えられないと伝えます。それでも娘は、「いつかはそういう関係になりたい」と僕への強い思いを語り、僕はその複雑な感情に悩むのでした。

さて、どうしたものか。

今までは娘に付き合うような感じで色々なところに行っていたけど、今の僕の彼女を連れて行くような場所なんて、正直思いつかない。

いや、お互いもう少し若ければ、もうちょっと若者向きのところへ行って、ちょっと浮いてる感じを味わうぐらいで良かったんだろうけど、さすがにお互い40にもなってるからね。



「おねえちゃんの好きそうな場所?」

この人に聞いても無駄だとは思うんだけど、一応参考までに娘にも意見を求めてみる。

「うーん、ほら、おねえちゃんも大概見た目が幼いからねえ。あんまり思いつかないよ。」

「あの見た目なあ。本当にどうやったら君に瓜二つな40歳のお姉様ができるんだって話だよ。本当に歳取ってるのかあの人?」

「そういう点で言うと、やっぱり枯れたようなデートスポットじゃない気もするんだよね。いや、色々落ち着き過ぎてるんだよね。」

そこはおなじみ年の功ってやつだと思うんだけど、いかんせん若い娘には合わせられても、同世代デートの知識なぞ持ち合わせていない。情けないというか。

「オトーサンもそうだけどさ、私だけテンション高めで色々連れて行ってもらってたからさ。ふたりともそういう感じじゃなくて、なんか、こう、縁側に座って適当な話をしてるのが似合いそうなんだよね。」

「今までだったら、娘が可愛いからと君の行きたいところへ行ってみたけど、まあ、ここ何年かは、アレはアレで新鮮だったから、楽しかったけどね。」

「そっかぁ、おねえちゃんとデートかぁ。よく似た二人が行って楽しめそうなところねえ?」


結局、結論は出なかった。僕も彼女もそうなのだが、受動型なのだ。積極的に動く人間をフォローする生き方をしているから、いざ二人きりになると、そういうところに困ってしまう。


「じゃあ、せっかく春だし、人出も多いだろうけど、上野公園あたりをぶらぶらする?」

「大人のデート、必死に考えてくれたんだよね。ありがと。もちろん、そういうデートはありかな。」

「いや、すんなり受け入れてもらえると思えなかった。退屈させないように頑張るよ。」

彼女はニコっと笑う。これが自分の将来の奥さんになるであろう人の笑顔なんだよなあ。見慣れすぎてるぐらいそっくり。本当に凍れる時の秘法でも使ってるんじゃないかと思うほど、娘と変わらない表情。


桜も散り際、ちょっと強い風でも吹けば、花びらが舞うような時期。別れの時期とも言われるし、出会いの時期とも言われる。そんな時期を静かに寄り添いながら散策している中年カップル。

「なんだろな、やっぱり落ち着かない感じがする。いつもは牽引役がしっかり役割を果たしてたんだなって思っちゃうね。」

「そうね。あの娘、やっぱり私達の中心となってしっかり動いてる。おねえちゃんうれしいな。」

「やっぱりうれしいもの?」

「だって、私だよ。歳は違えど、同じ私。あなたに性格はポジティブにしてもらえたけど、やっぱり同じだって思うときばっかり。」

「そう言ってもらえると、育ててる甲斐はあるかな。」



ちょうどベンチが空いていたので、ちょっと飲み物でも飲みながら語らうことにした。

「9ヶ月前まで知らなかったとはいえ、あの時の約束を守って、待っててもらえたの、私はすごく嬉しかった。」

「ひっくるめて、モテてなかったことと、あの娘を育てることになって、なんとなくまた信じてみたってのが正解なのかな。」

「忘れてはいなかったけど、多分あの娘がいなかったら、そんなことも忘れちゃってたかもしれない。ごめんなさい。」

「ふふ、素直でよろしい。私も私で、やっぱりしっくり来る相手とお付き合い出来なかったから、ここまで歳を重ねちゃった。」

横顔が可愛らしい。齢40にもなる女性に、可愛いというのは失礼じゃないのかな。なんかその辺、変に気を使う感じだ。

「僕はラッキーだったんだよ。どうであれ、またあなたを探し出せた。というか、僕を探してくれた。それで、あの時の思いを、改めて取り戻せるから。」

「そうねぇ。私も、なんであのときに会いに行ったのか、今でも不思議に思うんです。だけど、あの時の思いが後押ししてくれたから、会いに行けたのかもしれない。」

「お互い、若いつもりで、まだ青春を謳歌してるってw」

「そういうことにしときましょ。そうしないと、お互いに変な感じで緊張が解けない理由にならないでしょ?」

「ごもっともだね。本当に、歳を取って、娘には大人として接して来たけど、あなたとはあの頃の感じで接してみたいって気になる。」

「そういうところですって。もう大人って体裁をなくしたほうが、私達らしく付き合って行けると思う。」

そういうと、僕の手をぎゅっと握って来た。不意を突かれた恰好だ。


「いま、ドキッとしたでしょ?」

彼女がいたずらっぽく笑う。よく見る顔だけど、本家はもっと確信犯的な表情がある。さすがに大人だ。

「うん、した。スタンスの違いで、こんなに気持ちが揺さぶられるって、人間の感情って歳じゃないのかもね。」

「そうでしょ。私達は私達。あの頃出来なかったドキドキを、今体感すればいいんです。それだけで、楽しいでしょ?」

「かもね。やっぱり、かなわないなあ。」

「好きって色々あると思うの。あなたがあの娘に向けてくれていたように、娘として愛してあげることもあれば、15の頃にストレートに気持ちをぶつけ合ったこともある。全部同じく、相手を好いた想い。」

「ねぇ、今日はあの15の時の気持ちでいよう。多分面白いよ。」

彼女の提案に、僕はのることにした。あの頃の想いは、もっと狭い範囲だけど、本当に好きだったと言える想いだろう。

「...僕さ、緊張しちゃって、何をすればいいかわからないかも。」

「うん、私も同じ。歳を取っちゃうと、愛情表現を覚えちゃうし、かと言ってあの頃って本当に何を考えてたのか、それだけで緊張しちゃう。」

思ったことを口に出してしまうと危険だが、想いは伝えておきたい。

「多分あの頃考えてたことをやると、昼間から恥ずかしい思いをしちゃうからやらないけど、本当はただ抱きしめて、キスとかしてたかも。」

「あら、そんなこと考えてたんだ。意外と覚悟を持って告白してくれてたんだね。知っちゃうと、なんであの時そうしなかったのかなって。」

「でも、あの時の出来事があったから、今があるんだよね。今はそれでいいんじゃないかな。」

「はい。そういうことにしておきます。だから、もう、私から目をはなさないようにしてよね。」

なんかおかしくなって、つい笑ってしまった。つられるように彼女も笑ってくれた。



そのあとを聞いちゃう?

お散歩デートしながら、なんとなく鶯谷の方面に。

そりゃあ、娘には出来ないようなことをしっぽりと、ね。

本当だったら、彼女は娘ともそういうことをしてあげてほしいらしい。でも、僕は親の立場を崩せないので、未だに一切していない。

そういうときだけ、「もう、いくじなしなんだから」って言われる。彼女公認とは言え、不倫だと思わない?普通。



「で、おねえちゃんとは仲良くできるのに、私とは出来ないんだ。」

「娘になるんだから、さすがに娘を傷物にしちゃうのは、やっぱり親心が許さんよ。」

「あーあ、おねえちゃん公認で、私のほうが20歳も若いのにね。今なら抱き心地いいと思うんだけど。」

「それを自分で言うなって。普段、スキンシップしてるんだから、それぐらいで許してもらえない?」


「考えとく。でも、私も君のこと、ずうっと好きだったんだから、いつかはそういう関係になりたいのも、忘れないで。」

「子供として見てほしくないの。おねえちゃんいても、私のことは恋人としてみて欲しいの。」

「ごめん。君のことは本当に大切だから、もう少し覚悟する時間をください。」



悩みは悩みだけど、本人了承でも、気持ちがついていかないよね。

3年も親をやってると、そういう感情しか浮かばないんだよ。突然、娘だった女性に「抱いて」って言われる経験なんて誰もしたことないだろって。



今日はこの辺で。

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