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婚約破棄と解消と保留、そしてする予定はありませんけど?  作者: みのみさ
第二部 婚約するのも大変です

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第二回使用人会議、新メンバー入ります

 会議録だけのやり取りでは埒があかないと、第二回使用人会議がルクレール邸のある一室で開かれていた。手元以外は薄暗くして参加者の顔はわからないように匿名性を高めている。

 議長は前回に引き続き若執事と呼ばれる若様専属執事だ。

「えー、第二回めを開催いたします。今回は新メンバーもおりますが、遠慮なさらずに協議にご参加ください。それでは、そろそろ三ヶ月が経とうとしていますが、相変わらずの若様にお嬢様も愛想を尽かされてしまうのではと懸念されています。そこで皆さんの忌憚のない意見を聞かせてもらいたいと思います」

 深夜なので控えめな拍手があがる。

「若様は嫌っていないのは確実なんですが。だからと言って好意的かと言われると・・・」

「例のリボンはどうなりましたか? お嬢様がしているのを見たことはありませんが」

 一人の参加者から挙手だ。

「若様付きです。若様がもだもだしている間に旦那様が一緒に祭に行けなかった詫びだ、と髪飾りを贈られてしまいまして・・・。渡せなくなった模様」

「ああ、お嬢様が最近してる真珠の髪飾りかあ。あれ、規格外の形の試作品だからお値段は関係なしっていう話だったはず。若様、まだ子供なんだし、気にしなくてもいいんじゃ?」

「お主もまだまだじゃな。高い安いの問題ではない。あれだけお嬢様が喜ばれた後に渡せるものではないじゃろう」

「旦那様も悪気はなかったのですが・・・」

「おわっ! な、なんで、貴方様がおられるっんすっか⁉︎」

「そうっすよ、バスチ・・・じゃなくて、貴方様がこの会ご存じだとか、初耳なんやけど?」

「議長〜、サプライズはなしにしてくださりませや」

 驚愕のあまり言葉使いが乱れるのは護衛騎士たちだ。新メンバーは予想外の思いがけない人物であった。

 議長は申し訳程度に肩を竦めた。

「この邸内でこのお方に隠し事ができるとは思わないことです。黙認していただいたのですよ」

「うそお、聞いてないよ」

「ヤベー発言してないよな・・・」

「俺は無関係です」

「私のことはお気になさらずに。そこで、旦那様ですが、若君が奮起してくれればと思われたようでして。結果としては不発に終わりましたが」

 ルクレール邸・影の支配者と評される老執事が長々とため息をついた。

「うわー、侯爵様、何気に鬼畜。我が子を谷に突き落としてませんか」

「獅子か? 我が子になんの試練を与えようとしてるんですか、侯爵様は」

「若様、可哀想。頑張ってリボン渡そうとしてたのに・・・」

「ぐだぐだしているのが悪いのでしょう。お嬢様からリボンが欲しいと言わせたいとか、面倒くさい真似なさっているから」

「それって甘えて欲しいって事では? 気に入っている相手じゃないと仕掛けないですよね、そんなの」

「気に入ってるなら普段の態度を改めろって話ですよ。お嬢様、若様に無下にされるのに慣れてきちゃって『やっぱりね』って諦めムードなんですから。若様、お嬢様にも選択権があるってわかっておられますよね?」

「やっぱり、独身主義返上とまではいかないのでは・・・」

「不吉な事言わないでください。本当になったらどうします」

「旦那様はそれはそれで若君の人生だと悟っておられますが」

「やめてください、叔父上」

 若執事が本気で頭を抱え込んだ。彼は老執事の甥にあたり、ジェスターに様々な教育環境を整えていた。


 ーー若様の教育間違えたかな、と弱気にどハマりしそうだ。


「来月にはお嬢様の誕生日です。さらにその翌月には若君の誕生日とイベントが続きます。ここで挽回を図ってはいかがでしょうか?」

 甥を奈落に突き落とした老執事がすかさず回復策を授けてきた。さすがに影の支配者、手抜かりはない。

「若様にお嬢様へのプレゼントを選んでもらいましょう。若様付きは絶対に命じられたからと言って勝手に用意したりしてはいけませんよ。私から若様にも言い聞かせますが、何でも若様の言う通りにしないように」

「了解です」

「かしこまりました」

「お嬢様の好みをさり気なく吹聴しておきます」

 頼もしい返事を得て持ち直した若執事が大きく頷く。

「ほほほ、お嬢様にはいつももらってばかりですから。わたくしどももプレゼントしてもよろしいですわね?」

「え、プレゼントのハードルあげる気ですか? 若様が拗ねたらどうします?」

 焦った若執事の台詞に女性陣からは静かなブーイングが沸き起こる。

「あら、いいアイディアだと思います。若様も少しくらいお嬢様に譲歩しても構わないでしょう」

「そうですよ。いつもいつも、お嬢様の好意を無下になさって。お困りになればよろしい」

 得意な刺繍品を惜しげもなく配るエリゼーヌは年嵩の侍女に特に可愛がられていた。皆、ジェスターの塩対応にはあんまりだと憤っていたのだ。

 青くなる甥の肩を老執事は労りを持ってポンと叩いた。

「若君には勉学だけでなく、女心もご教授してあげなさい。まだ間に合いますから」

「・・・そういうアドバイスは婚約話前になさってください」

 若執事は深くため息をついて閉会の宣言を行った。

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