表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

1 プロローグ①

不定期投稿です。

 その昔、最強と言われた男がいた。


 当時無敗だった彼は、数々の伝説を残し、失踪した。


 世間では死んだといわれているが、それは違う。


 実際は、自然に囲まれて自堕落な生活を送っていた。


  ◇◆◇


 雄大な自然に囲まれた家が一つ。


 レンガ造りのオーソドックスな家である。 


 中には必要最低限の家具と、怪しげなオーラを放つ部屋だけだ。


 家の中央にロッキングチェアに座る男が一人。


 黒髪に青い瞳のいたって普通の少年である。


 だが、実はこの覇気のない少年こそ、その昔最強と言われた男なのである。


 そして、何も考えていないような顔で一言。


「………暇だ」


 暇、そう、暇である。


 この男、失踪した後は錬金術など色々なものに手を染めていた。


 不老不死になったり、若返ったり。


 人体錬成もしてみたりした(錬成した人は庭に埋めた)。


 だが、この男は遊びつくしてしまったのである。


 後は禁術でここら一帯を破壊しつくしかないのだ。


 もう、この時点で思考がやられてしまっているが。


「少し歩くか」


 手元に精製した水を飲みながら家を出る。


 少し歩くと、滝が見えてきた。


 何度も見慣れたこの滝、いつもと違う点は死体が流れていることだけだ。


「ん? 死体?」


 人を見るのも久々なのに、死体とは………。


 とりあえず持って帰って実験するか。


 思考が人のそれとは違っているが悪しからず。


 家に帰ってまずは観察だ。


 全裸で性別は女。


 死後数日は経っている。


 追い剥ぎというには傷が少ない。


 じっくりと()()みると、体に毒が回っている。


(死因は毒か。身体も変色しているし間違いないだろう)


 さて、男は考えに考えて、生き返らせることにした。


 そのための準備に必要なものを用意。


 身体を浄化して毒を消し、生き返らせる陣を身体に刻み、あとは唱えるだけ。


死者蘇生(リザレクション)


 簡単そうにやっているが、世界でこの男にしか出来ないだろう禁術だ。


 そうこうしているうちに、少女の死体が光り出し、肌の血色などが元に戻っていく。


「う、ん? ここは………」


 少女は目が覚めるとあたりを見渡し、男と目が合う。


 男は、顔立ちが整っている、世間では美人な部類に入るのだろう、と呑気なことを考えている。


「あ、あの………」


「ん? どうしたんだ?」


「ここは、どこでしょうか?」


「俺の楽園(エデン)だ!」


「???」


 話が通じない、と少女は戸惑うが、安心してくれ、男はちょっと頭がおかしいだけである。


 数秒見つめあい、少女は自分が裸だと気づいたのか、バッと手で局部を隠す。


 すると男は部屋にある箪笥から服を取り出し、少女に渡す。


「すまんな、男物しかないんだ」


 そう言いながらロッキングチェアを後ろに向けて座り、揺らし始める。


 この男は気が利くらしい。


 少女が着替え終わると、また二人は見つめあう。


 改めて見ると、綺麗だ、と男は思う。


 透き通った白い肌に整った顔立ち。


 白い髪に赤い瞳の可憐な美少女である。


「名前は?」


「エミル、です」


「エミルか、良い名前だ」


 ずっと聞きたそうにしているので、男はここに至るまでの経緯をざっくりと話した。


 当然、エミルは信じれない様子だった。


「あなたは?」


「俺か、俺は………」


 そこでピタリと止まる男。


 この男、錬金術の代償に名前を捨てた過去があるのだ。


 だが男は名前なんて気にしない。


「俺の名前は忘れた。まあ、強いお兄さんだ。好きに読んでくれて構わない」


「なら、敬意を込めて主君(マスター)と」


「それいいな。じゃ、お前の話を聞かせてくれ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ