53話。2万5000の敵軍に勝利する
ドドドドドドッ!
大挙して押し寄せてきた獣魔旅団のモンスターたちが、敵軍を切り裂いた。
「な、なんなんだっ、こいつら!?」
ダークエルフを怪力自慢の熊型モンスター、スモウベアーが次々に投げ飛ばす。
バットを持った野球好きモンスター、ベースボールゴリラが、敵兵を次々と空のかなたにカッ飛ばした。
敵兵が魔法を発動させようとするも、ウサギ型モンスター、ビックラビットが、その足に齧りつく。
「あっ、ぎゃぁああっ!?」
ビックラビットは草食だが、その歯は硬い巨木を倒してしまうほど強靱で、噛まれと超痛い。
「こ、これは王宮で飼われているハズの獣魔旅団! なぜシレジアに!?」
近衛騎士シリウスが素っ頓狂な声を上げた。
「バカな!? 王国に援軍を頼んでいたという話は本当だったのかっ!?」
ダークエルフの王ゲオルグは、この奇襲に泡を食っていた。
人間の軍隊の接近には注意を払っていたが、モンスターについてはノーマークだったようだ。
「アルト! 救援! 救援に来た!」
人語がしゃべれるオウム型モンスター、デンレイオウムが、僕のそばに飛んできて叫んだ。
「ああっ、みんな……! ありがたいっ!」
僕は感極まって叫んだ。
王宮に残してきた彼らのことは、ずっと気がかりだった。
もし暴走して人間を手に掛けたりしたら、殺処分にされる。
恐らく暴走して、檻を破壊してここまで来たのだろうが、欠けた者はほとんどいないようだった。
「アルトの教え通り。人間と遊びはしたけど、みんな誰も殺してはいない。アルトの教え守った!」
デンレイオウムは戦場で、必要な情報を正確に伝えるのが役目だ。
その言葉に嘘偽りはない。
「偉いぞ、みんな! みんなは僕の誇りだ。もう一度、僕に力を貸してくれ!」
「「「がぉっ!(もちろん!)」」」
異口同音の肯定が返ってきた。
モンスターたちは、みんな再び僕のテイムを受け入れた。
召喚士としての僕は、MPを奪われたことによって無力化された。
だがテイマーとして、モンスターたちと築いてきた絆が、僕をギリギリのところで救ってくれたのだ。
―――――――
テイマースキルがレベルアップしました!
【テイマーLv12 ⇒ Lv13(UP!)】
使い魔の全能力値を2〜2.5倍にアップできるようになりました。相手との信頼度によって上昇率が変わります。
―――――――
3000ものモンスターをテイムしたことで、テイマースキルがさらにレベルアップした。
モンスターたち全員の能力値が、2.5倍と大幅にアップする。
「にゃぁーん!(ご主人様の敵は全部やっけるニャン)」
炎を操る猫型モンスター、ファイヤーニャンニャンたちが、火炎放射を敵兵に浴びせる。
「猫が火を吹いたぞぉおおっ!?」
火が着衣に燃え移ったダーエルフたちが地面を転げ回り、混乱に拍車をかけた。
ファイヤーニャンニャンはレアモンスターなので、その能力を知らなかったようだ。
援軍に現れたモンスターたちは、混乱するダークエルフを一方的にたこ殴りにしている。
「アルト、【世界樹の雫】よ! これでMPを回復できるわ!」
シロに乗って、ルディアが僕のとなりまでやってきた。
「僕が受けたのは強制的にMPをゼロにする呪い……いや、そうか!」
「そうよ。私のスキルはあらゆる状態異常を回復するわ。魔法的な呪いであっても、例外ではないの!」
どうやらルディアのスキルの真価を、まだ正しく理解していなかったようだ。
これを伝えたくて、ルディアは危険な乱戦の中、残ってくれたのか。
ダークエルフたちは、このことに気づいていない。これなら一気に形勢逆転できるぞ。
ルディアが僕の手に触れて【世界樹の雫】を発動させる。すると身体の底から力が溢れ、空になっていたMPが満タンになった。
「さあっ、アルト。やっちゃって!」
「ああっ!」
僕はカードを取り出して、バハムート、巨神兵、アルフィンを同時に召喚する。
「ガガガガガッ! 巨神兵、再起動しました! 殲滅、再開します!」
「一騎打ちを違えるなんて、剣士の風上にも置けないヤツラだわ!」
「慈悲は必要ないな。すべて滅してくれよう!」
巨神兵が雷撃で、敵軍を黒焦げにする。
バハムートのブレスが、ダークエルフたちをまとめて吹き飛ばした。
「まさか!? ゲオルグ陛下が召喚獣を封じたのではなかったのか!?」
「無理だ! 退け! 退け! こんな化け物どもに、かなう訳がない!」
「命あっての物種だ!」
戦況は一気に僕たちに傾き、敵軍は潰走を始めた。
「貴様ら、敵前逃亡は死罪だぞ! 戦わんか! それでも誇り高き魔族か!?」
ダークエルフの王ゲオルグが、顔を真っ赤にして叱咤するが効果はない。
敵兵は無秩序に逃げ出していく。
「で、マスター。コイツは、私が叩き斬ってしまって良いかしら?」
アルフィンが大太刀の切っ先をゲオルグに向けた。
「いや、コイツは僕が相手をする」
「おもしろい! 小童が、超越者であるこの俺に勝てるつもりか!? 俺は魔王様より、神獣にも勝る力を与えられているのだぞ!」
ゲオルグが剣を構えて、僕を威圧する。
だが、もう先程のような凄みは感じなかった。
「ああっ、お前は策士ではあるが、武人じゃないからな。
自分の力に絶対的な自信があるなら、一騎打ちを汚したりはしないだろう?」
「劣等種が、ほざけぇええっ!」
ゲオルグが渾身の力を込めて斬りかかってくる。焦りと怒りで、雑になった一撃だ。
その剣ごと、僕はヤツの身体を真っ向から叩き斬った。ゲオルグは驚きの表情のまま地面に倒れる。
「敵総大将は討ち取った! みんな勝ち鬨だ!」
天高く剣を掲げて叫ぶ。
勝ち鬨が轟くと、抵抗を続けていた敵兵も恐れをなして逃げ出した。
僕たちは2万5000近い敵を撃退したのである。
これで『第三章が終了』となります。
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