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百人一首を学びませう

「あ~あ、忘れ物した。」



 藤原トオルが下駄箱で靴を履きかえようとして忘れ物をしていることに気づき、教室に引き返すと、そこには見覚えのある人物が…



「あれ? 笹塚先生」



 笹塚と呼ばれた男は、トオルの席に横向きに座って読書をしていたが、呼びかけに気づき、ゆっくりと顔をあげる。



「おう。トオルか。」



「てか先生、なぜ教室にいらっしゃるんですか?」



 生物教師で同準備室に自室を持ち、なおかつそこを腐海の森の如く書類や書類や書類を足の踏み場無く展開させている笹塚先生が教室にいる理由、それは



「え? 教室が広くて殺風景で落ち着く、から?」



どうやら生物教師笹塚は掃除ができないらしい。



「……いい加減部屋片づけたらどうですか?」



「んー、めんどい」






「ところでそれ、何読んでるんですか?」



 忘れ物を取りに戻っただけなのに、トオルはなかなか話を切り上げられないでいた。知りたくもないが、気になる人が自分の席に座って何を読んでいるかぐらいは聞いてもいいか、トオルの問いはそんな単純な理由で発せられた。



「あーこれ?」



笹塚先生はトオルに表紙が見えるように本を閉じる。



「『小倉百人一首』」



「……へー」



聞かなきゃよかったと、トオルはこの時になって後悔した。



「(なんか嫌な予感)」



「しょうがねえな。どっこいしょ」



楽しそうにそう言って笹塚先生は居直ると、トオルの顔を真正面から見据える。



「笹塚せんせいがかわいいトオルくんの為に解説してやんよ♪」



「え。いりませんよ?」

読みいただき、ありがとうございました。

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