覧、王様にステータスを見せる
「それじゃあ、まずは、ボクのステータスから」
覧は、スクロールなるものを王子様から受け取り、目を瞑った。
覧の持っているスクロールを覗き込むと、文字が浮かんでくる。
さすが、異世界!
えっと……
戻衛 覧LV1 身長:129cm 体重:秘密
HP:12
MP:12
天職:科学魔法発明家 レア度:☆☆☆☆☆
筋力:12
体力:12
耐性:12
敏捷:12
魔力:12
魔耐:12
運 :12
技能等:言語理解【日常会話、読み、書き、計算】 レア度:☆☆☆
魔法知識 レア度:☆☆☆
科学知識 レア度:☆☆☆☆
魔法と科学との融合 レア度:☆☆☆☆☆
「ステータスがほとんど12? これはいい数字なのか、大臣?」
「覧様、ちょっとステータスを拝見させてください」
大臣は、ははーんと得心がいったかのように頷く。
「どうしたんだ、大臣?」
「いえ、なんでもないです。12ですか……ステータスの数字は体調や状況よって変化しますが、この世界の平均的な子どもが10ですので、平均より少し上くらいですね」
「大臣、それは、つまり、そんなにすごくはないということか?」
覧に不審な目を向ける、王子様。
「ですが、星5つの超絶レアな天職と技能がそれを補うでしょう」
「おお、覧、天職と技能がそれを補うってよ、良かったな。大臣もそう思うだろ?」
大臣に話をふった。
この王子様、覧のスキルのことよく分かってないな。
僕も、分からない時は、人にふるから、よくわかる。
「ええ、超絶レアの技能など、生まれてこの方、見たことございません。それに、成長期の12歳ですし、今後期待できるでしょう」
「そうか、そうか。超絶レアな技能があるなら、期待できるな。それに、せいちょーきだもんな。期待してるぞ」
ころころ態度が変わる、王子様。
うん、一番信用されないタイプ。
多分、成長期の意味もよく分かってないのだろう。僕もよく分かってないけど。
「この次期王様のために、活躍しろよ、覧!!」
「はい、もちろんです。王子様」
建前上、お辞儀する、覧。うん、一番、面倒くさくないタイプ。
「そうだ、良いことを思いついた。覧、お前をこの次期王様が、王宮で雇ってやろうか?」
「それには及びません。ボクは、びの君についていきますから」
覧、嬉しいこと言ってくれるじゃないか。
「そうか。残念だ」
「さあ、次は、お前の番だ!!」
「僕?」
「お前以外に誰がいるんだよ? とっとと、紙を受け取って、ステータスよ出ろって念じろよっ」
「あ、王子様、ステータスを持ったまま、ステータスよ出ろなんて発言なさったら……」
大臣が注意喚起するが、時すでに遅し。
渡されたステータス紙にはすでに文字が浮かび上がっていた。
ダウゴ LV15 身長:180cm 体重:90kg
HP:615(+200)
MP:10(+0)
天職:大将
筋力:50(+10)
体力:50(+10)
耐性:35(+5)
敏捷:5(+0)
魔力:5(+0)
魔耐:5(+0)
運 :30(+0)
技能等:火事場のアホ力 レア度:☆
自己中心 レア度:なし
「そのスクロール、高価なのに……」
大臣がつぶやく。
「ぷぷぷっ。天職が大将って何? 敏捷・魔力・魔耐が5だって。覧より下じゃないか。あーはっはっはっ、超うけるー、な、覧」
笑いながら、覧を見てみると、ものすごく青ざめている。
ん? 覧、なんで、そんなに怯えているの?
僕のことを指さす覧。
自分で自分を指さして
「ん? 僕の顔に何かついてる?」
尋ねると、覧は、首をブンブンと横にふり、視線を僕の背後に向けた。
「ん? 僕の、後ろ?」
こくこくと頷く覧。
おそるおそるゆっくりと振り返ってみる。
そこには、真っ赤な顔をした王子様が立っていた。
「次期王様のステータス、そんなに面白いか?」
僕は、恐怖で頭が真っ白になった。
バゴン。
僕の目の前に稲妻が走り、視界は、真っ暗い闇の中に落ちていった。