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びのと覧、王子様に会う

2020年3月29日、誤字を訂正しました。

申し訳ないです。

 「ごめんなさい、ひげそり。ごめんなさい、ひげそり」


 とりあえず、謝っておく。英語で。


「どうして、ひげそりに謝っているのですか? 勇者様?」

 兵士に尋ねられた。


 いや、それは、英語だと、アイムソーリー、ヒゲソーリーだから?


「いや、僕は何もしてないです……って、え? 勇者って?」


「貴方様のことです。勇者様」


「ん? 僕?」


「貴方様以外誰がいるんですか?」


「どうして、僕が勇者なの?」


「何をおっしゃいます、勇者様。勇者様は、自分とまったく同じ絵を持って現れるという伝説があるではないですか」


「同じ絵……なんてあったかな?」


「多分、生徒手帳に貼ってあった写真のことだと思う」


 覧が助け船を出してくれる。


「あー、あれね。はいはい」


「勇者様、是非、我が城の王子にお会いください」


 良かった。牢屋送りではなさそうだ。


「くるしゅうない。案内せよ」


「びの君、調子に乗らない」


「はい、すみません」


「それでは、ついてきてください」


 多くの兵士に付き添われながら、検問所をすり抜け、門の中へと入る、僕と覧。


…………


……


「わー、灰色の石造りの道だー。家は、石造りなんだね」


 目に飛び込んでくるもの全てが新鮮だった。


「覧、見て。広場には木造の露店もあるよ。本当にゲームの中の城下町みたい」


「18世紀ヨーロッパくらいの文化か?」


「あ、馬がいるよ。ここにもいるんだね、馬」


「道の補装具合からみて、自動車は走ってない……うん、輸送手段は馬で間違いなさそう」


 興奮を隠せない僕と、冷静に分析をすすめる覧。


「こちらからお入りください」


「うわー、高そうな赤絨毯。ねえボク、本当にこの上歩いてもいいのかな?」


「兵士の人が歩いてるからいいんじゃない?」


「お二人はこちらでお待ちください」


 僕と覧は、兵士に促されるまま、王座の前に連れてこられた。


「王子様のおなーりー」


 宣言がされると、兵士たちはかしこまり、片足だけ跪く。


「びの君もマネして」


「うん」


 覧に促され、兵士のマネをする。これが最敬礼なのだろうか?


 ぶおーん


 

 ドラが鳴ると、1人の男の子が玉座の後ろからでてきた。


「おう」


 片手だけあげてふてぶてしく挨拶をする王子様。


 なんか、イメージと違う。


「あー、堅苦しい挨拶は抜きだ。とりあえず、大臣、人払いを」


 お付きの大臣が手を二回叩くと、兵士たちは機敏に部屋から出て行った。


 

「まずは、自己紹介だな。この俺が、次期王様のダウゴだ。よろしくな」


「僕は旅野びの」


「戻衛覧です」



「びのに覧だな? ところでお前たち、本当に勇者なのか?」


「えっと……あの……」


 改めて訊かれると言葉につまる。


「怪しい」


 目つきの悪い王子様に睨まれると怖い……


 とりあえず、視線を床へとずらそう。


「ボク達が勇者かどうかを確認する前に、勇者の伝説について確認をしませんか?」


「伝説? ああ、伝説な。なんだっけな、大臣」


「4体の魔王、ヨンキョウが現れ、民が貧するとき、いずこより自分と同じ絵を持った勇者たちが現れ、魔王達を全て倒し、ヨンキョウを倒した勇者はいずこかへと消えていくという伝説です」


「それって……」


 覧に小声で覧に尋ねる。


「魔王を全て倒すことができれば、家に帰れるってことだと思う」


「僕たち、ヨンキョウを倒します」


「頼もしいな、お前。でも、意気込むのはいいんだけど、本当にお前らが、勇者なのかよ?」


「もちろん」


「返事だけじゃ、信じられないだろーが。お前が勇者なら、自分と同じ絵を持っているはずだろう? それを出してみろよ?」


「びの君、写真、写真」


「え? あ、はい」


 覧に促され、生徒手帳に貼ってある写真をみせた。


「おー、本当のようだな」


「覧、お前は?」


「ボクはびの君のおつきの者です」


「びの、そうなのか?」


「え? そうなの?」


 覧は僕の大切な妹だよ? ……ってか、おつきのものってどういう意味?


「びの、お前に訊いてるんだよ」


 えっと……なんてこたえるのが正解なんだろう?


「そうだよね? びの君」


「いたっ、うん、そうです」


 覧が足を踏んだということは肯定しろということか……


「そうか、そうか。それなら、びののステータスと覧のステータスはどうなってるんだ?」


「ステータス?」


 ステータスって、ゲームのステータスだよね? ん? どうやって示すの?


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