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地下迷宮の悪魔

地下下水道に巣食う魔物はそれはもう可愛いと評判だった。

一目だけでも観てみたい。

そんな冒険者も中にはいるという。

フノスさんに限ってそんなわけが無い。

そう、西郷不知火サイゴウシラヌイは信じていた。

飛びかかって来た穴ウサギがポンポンとフッサフサの前足で俺を攻撃している。

痛くも痒くもない。


どうしよう、俺は可哀想で剣を振り下ろすなんて無慈悲な事が出来ないでいた。


「死の予兆と言われるカロットラビットじゃないの」


「リムさん博識ですね」


「可愛い❤」

フノスさんの眼はハートになっている。


「くっ、殺るしかない。ヤるしかないのよ。サイゴ…」

苦し気に言葉を吐き出すリム。


害獣指定Sランクのカロットラビットは雑食で何でも食べてしまうのと年中発情していて繁殖力が半端ないのが特徴だ。


涙を飲んで剣を振り下ろし…

殺生に対しての余韻を味わい苦悩する俺。


そこに、爛々と輝く瞳の数々が目に入る。


聖騎士の鎧の感知能力が起動する。

(熱源2483、敵性行動感知741、動体1762)


流石、死の予兆。


穴ウサギのカロットラビットだけではない。

ふわモコのまん丸な白鼠。

ホワイトラットは幼体の小動物丸出しのつぶらな瞳の姿で走り回り、暗所を好む。そして、カビや菌類だけでなく何でも食べてしまうのだ。


害獣指定Aランクのライスフィールドイーターでもある。


リムの説明にこの辺で穀物が育てられないなという感想しか出てこない西郷不知火サイゴウシラヌイ


「サイゴ、帰りましょう」

泣きの入ったフノスの悲鳴。


しかし、逃走するにも俺は逃げられる気がしない。


俺は空振りも多いが、剣を振り回しながら前進する。


違った意味で泣きながらついてくるフノスとリム。


「何でこんなに可愛いのが沢山居るんですかー」

後方で叫ぶフノス。


知りませんよ…


プニ。

え?

ぷにぷに。


俺は何かにぶつかった。


眼前に広がる広間いっぱいに良い臭いの肉が置いてある。


「フィンガス。スライムモルド!」


ん?

肉じゃないの?


「粘菌、キノコ、アメーバ、真菌、単細胞生物」

リムが淡々と語る。


「さっきの大増殖は、これが原因ね」

フノスが呆気にとられている。


奥には真っ白な笠に赤い丸模様のキノコ。それは植物と動物の中間の両方の性質を示していた。粘菌、変形菌として周囲の物質を取り込み吸収する暴食の怪物でもある。


「フノス、これが原因って事はこれが食い物ってことだよね?」

美味しいのかなぁ?

さっきの大群がこれを奪われると思って襲って来たのだとしたら、憐れに思えてきた。


「これが元凶…」

フノスが止める間もなく


「燃え盛れ」

と【ファイア】を唱える。


酸欠で死ぬぞ!

俺の意識が叫ぶが、俺はその爆風で吹っ飛んだ。


アラハバキで増強された【ファイア】を地下で使わないで下さい、お願いします。

………


しかし、スライムモルド。

無傷とかあり得ないから。

焼けた肉の良い臭いがする。


思念の波動が放たれ、内耳に直接響くスライムモルドの声。



我が造物主は人であった

世界の境界の炎に焼かれ

女神の恩寵を賜りしその御姿

瞳を閉じれば浮かぶ

蒼き月の様に酷薄な眼差し

我が兄を喰らいし大きな口

我を放り投げた醜い腕

我はその名を知らぬ…

だが我はその御方のために強者となる

さぁ、我の糧となれ!


ん…

知らぬ…造物主

主さま我は…


主さま?

臭いが…

変わり果てたお姿だが…

………


見上げるそのスライムモルドの姿。

フノスの炎の呪文が全く効いていない。


「な!話すとか信じられない」

リムの驚嘆の声。


リムが矢をつがえたと思うと、高速の閃光を乗せ矢を放つ。七色の光を放ちスライムモルドの中に消え消失していった。


「コイツおかしい。強すぎる」

リムが口ずさむ。


to be continue




お読み頂いて誠にありがとうございます。

ブックマーク、感想、レビューして頂けたら嬉しいです。

今後とも宜しくお願い致します。

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