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ドラゴンの血の呪い

龍の血を浴びた英雄は裏切りによって逝った

女の嫉妬と高慢

それ以上に己こそが最も強いという自惚れと油断

身に余る力は人を滅ぼす

猛き者も終いには滅びる

ゆめ々、慢心する事なかれ


フノスの瑞々しい透明感と躍動する四肢、憂いを帯びた眼差しと強さを感じさせる動き。

だが、発している言葉は残念至極だった。


「なんで、何でなのよー。聖騎士の鎧をもっと貰って行きましょうよー」

駄々をねるフノス。

4つも残して行くのが名残惜しいらしい。

あれ、クリスタルに収まってるからね。

聖騎士の鎧。

そのままの方が格好良いし俺の聖騎士の鎧はまだまだ修理したら現役だ、たぶん。

ドラゴンの収集物は後で回収すれば良いだろう。

持てても1つだ。

帰りの道中もモンスターに襲われる事が予想出来る以上、余分な重荷を背負うのは危険だ。


バッサリとクリスタルの根本から切り取った聖騎士の鎧を、夜営用に用意したハンモックと綱で俺が担いでいた。

嵩張かさばる。

要はクリスタルをつるぎやナイフで砕き削ぎ落とすのは、得物が痛むと考えたのだ。

アラハバキ重装甲は見映えがもっさりしてても、一部の嗜好家は喉から手が出るほどに収集癖を刺激すると聞き、虹の谷製の聖騎士の鎧を選択した。


道中、俺は装備している聖騎士の鎧をいじくり廻していた。ひょんな事から回線が復旧した聖騎士の鎧。肩の凹み辺りで接触不良を起こしていたようだ。


ビリビリ鎧さん頑張って下さい。あなたが頼りです。


鞘に収まらなくなったつるぎを抜き身で持ち歩き、道なき道を突き進む。

やっぱりと言うか当然、ウンディーネ湖へと着いた頃にはとっぷりと日が暮れていた。

なんだかんだで三回目の湖のほとり


フノスは未だ興奮冷めやらぬていで、聖騎士の鎧を熱く語っている。

にも関わらず、何故かモンスターには一度も襲われていない。



この間この湖で手を洗っていて魚に指をもがれそうになったので、警戒しながらタオルを水に浸し、濡れタオルを用意した。


俺はフノスに手伝って貰い、鎧を脱ぎ傍に置く。

身体を拭くためだ。

シラヌイは上着を脱ぐ、するとフノスが哀しげな声を漏らす。

「サイゴ、やっぱり身体が…!?」

俺が自分の身体に目をやると、腐肉だったはずの肌が、現世の人間だった時と同じ様な見た目に変化していた。

フノスしてみれば、傷が治って消えてしまっていると思ったのだろう。


フノスのヒールでも手遅れという事で癒せなかった傷なのに、どうして治ってるんだろう。理由はわからないが治って良かった。

でも、感覚は以前と変わってない。

聖騎士の鎧がピリピリするからこんなになってるとは思ってもいなかった。


フノスに灯りの魔法を唱えてもらいよくよく己の身体を観てみたが、見た目はほぼ完璧に普通だ。


もう、腐った死体から卒業だ!

「フノスさん、俺に癒しの魔法をかけてくれないか?」

そして、痛くもない腕を差し出した。

いぶかしそうに俺を眺めるフノス。

そりゃ、意味がわからないだろう。

それでも、理解できないなりにやってはくれる。マジ天使だぜ。

フノスは両手を天に掲げ、【ヒール】を唱えた。

「癒しよ」

ゔがあぁぁ

俺は悶絶し痛みに身悶えする。

わかってた。

わかってたんだよ。

必死に嗚咽を堪え歯を食い縛る。

この身体は呪われている。そう中身は前と変わりないらしい。


「ドラゴンの血の呪い…」

フノスが独り言の様に漏らしたのを、俺は聞き逃さなかった。

お読み頂いて誠にありがとうございます。

ブックマーク、感想、レビューしたい方、是非するべきだと…。

今後とも宜しくお願い致します。


前書きについて

文章が引き締まりますね。

あった方が良いと感じます。


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