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モルファス現る

その姿は恐怖が形をとって現れたかの様であり、生来の警戒心と素早い攻撃は他に類を見ない。

身軽なその動きは忍者を想起させ。

禍々しいまでの八脚のフォルムと八つの眼が、身を竦ませるのだ。

土蜘蛛に狙われた獲物に、未来は無い。

モルファス討伐へ向けて、湖畔でしばし休息をとる。明るい日射しはあるが日は傾き始めていた。

フノスはこの場所でサイゴに【ファイア】と【ヒール】を連撃れんげきしてしまったのを思い出していた。

今となっては素敵な思い出だ。


フノスは背嚢を開くと携行食、クレバーエイプの保持していた知恵の実、街で買った林檎を取りだし、サイゴに渡して一緒に食べる。


森で手を繋いでくれたサイゴに淡い恋心は抱いているが、今一歩先には進めていない。

大胆にも宿で初夜を過ごしてから、全くそれらしい行動もない。

私をうやうやしくベッドに寝かせ、そそくさとサイゴはソファーの隅で仰向あおむけに寝てたりする。

大切にしてくれてるのだろう。


「サイゴ、そろそろ進みましょう」

思考を切り替えたフノスがサイゴに声をかける。


果物と未だに格闘していたシラヌイは直ぐに準備をする。

奇妙な形のまだ食べた事無かったのを先に食べ、林檎にかぶりついていたのでさまになっていないが、そこはご愛敬あいきょう


湖の水で手を洗おうとして凶悪な魚に指を食われそうになったのには閉口へいこうしたが、籠手を装着して準備完了だ。


湖畔を離れて密林を進み続ける。モルファス(大土蜘蛛)の巣の場所はフノスが熟知している様で、卓越した技能と知識で案内人を勤めている。


聖騎士の鎧は起動しているが索敵に感応は無い。

それでも、進むに従って脅威が増している。

周囲と景色は同じなのに空気が張り詰めて、緊張感が高まってゆく。


「サイゴ!」

フノスの金切り声。


突然、ヌッっと背後から姿を現すモルファス。



(ちゃんと仕事しろよ、聖騎士の鎧!)

肩口にガブリと喰いつかれ鎧がゆがむ。

振り向くと、抜き放ったつるぎでそのまま下方から斜め上へと一閃。

それは空を斬った。


まじかよ…


「フノス、危ない!」

駆けつけて、フノスを庇う様に背にし蜘蛛の糸を切り裂く。直ぐにも第二撃があると予想し周囲を満遍まんべんなく警戒し、視線を向ける。


〈索敵再起動、標的喪失。熱感知、標的喪失。動体感知、標的喪失。索敵再起動〉

使えねーよ、こいつ。


「ビリビリいくぜ」

〈雷撃チャージ、全方位放電導線範囲、友軍あり。後方を除外します。〉

唸りを上げる聖騎士の鎧。

稲光いなびかりが放射状に走り、主な放電路は3万℃という高温に上る、空気が急激に膨張した事により衝撃波が響き渡った。


〈目標捕捉失敗、標的喪失〉



「逃げた、のか…」


まじかよ、モルファス。

電撃をかわしやがった。
























お読み頂いて誠にありがとうございます。

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