真っ赤
嘘をついてはいけません。それは果たして、誰が決めたのかな。分からないから、神様が決めたことにしよう。
神様はいる。見たこともないし会ったこともないからどんな存在なのか分からないけれど。見えないものは信じないって? でもね、僕らが無意識に吸い込んでいるそれは確かにあるでしょ? 見えないけれどあるんだ。あるならば無くなることもない、消えることもない。
ただね、見えないものの変化には気づけないから。失ったことに気づけないから。 だからね、色をつけようと思うんだ。君と僕を繋ぐ糸を、赤く染め上げよう。運命の赤い糸で結ばれている、だけどそんなものは僕らには見えないね。
だけど、神様なら。きっと見えているよね。その糸を、いったいどうするかな? あの糸は他と違うと言って、一刀両断かな? でも残念、それは自分を否定することになりますよ。神様は全てを知っている、人の運命も例外じゃない。それを否定.....できますか?
まぁ。切っても切らなくてもどちらでもいい。切られなければ、運命のまま彼女を愛し続けられる。切ってくれたなら...
この世界ではなく、自分の気持ちに従えるのだから。
「大嫌いだよ、君のことなんか」
嘘をつくたびに、糸は赤く染まっていくだろう。
「勘違いしないでほしい」
もっともっと、染まってほしい。
「君なんか、好きじゃないよ」
もしかしたら、僕らの目に見えてしまうくらいに。君が、気づいてくれるほどに。
そしたらさ。こんな嘘、今すぐ捨て去って。
運命なんて気にせずに。君を抱き締められるのに。
終