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八百屋な少年は冒険者見習いになった

家族そろっての話し合いから数か月。

ジークは何故か冒険者見習いとして依頼を受けまくっていた。


「今日のノルマは5つじゃ」


「なあじーちゃん、何で冒険者なんてやらなくちゃいけないんだよ? 怪力の制御ならわざわざ依頼を受けてまでやる必要ないじゃん」


「ん? お前さんには鍛冶は出来ん。怪力の制御訓練だけだとすぐに飽きるじゃろうが!」


「・・・」


「それに依頼を受ける形にしておけば金儲けにもなるじゃろう?」


「うん」


「いくら貯まった?」


「銀貨16枚」


「それだけか? なら金貨に両替できるようになるまで依頼を受け続けるんじゃな。さあいったいった!仕事の邪魔じゃ」


「はいはい 行って来ればいいんだろ」


ここまでマズールがツッケンドンなのには理由がある。


始めの頃はジークに鍛冶師になる様に見習いの仕事をやらせてみたのだが、どれもダメだったのだ。

マズールが予想した以上の怪力で鍛冶道具を何度もぶっ壊してしまったのだ。


その日の収益がマイナスになりかけそうになったところでマズールは思い切った。

冒険者見習いをさせようと。


すぐにジークを冒険者ギルドへと連れて行き登録させた。

未成年だが元冒険者のマズールの推薦もあり無事に登録を済ませたのだ。


そっからというもの、マズールは少し・・・かなり放置気味だ。


「まーいいけどさ。自由にやれてるし」


意外と自由にやれているのでジークにも不満は無かった。

なによりお金を稼げるのだ。


ジークはしっかりと武器防具を装備してからマズールの店を出る。

マズールの店に陳列されてあったモノを半ば強引に装備してきたのだ。

鋼製のロングソートを腰に提げ、モンスターの皮で作られた胸当ての軽装に、山道でも余裕で歩けるブーツだ。


ジークは物語に出てくる英雄や勇者を頭で思い描いている。


しかし周りの見方は違った。美少女冒険者と陰で噂されている。

残念ながらジークは男と思われていなかったのだ。

装備がどれも女子供用に作られたものだからという理由もあるだろう。

鋼性のロングソードは普通のロングソードよりも細く短めで、胸当てに関しては女性用で少し膨らんでいる。ブーツも膝丈まであって男性冒険者が穿く様なものではない。


今もギルドへと向かう道すがら人々の視線を集めている。


「みんな優しいしさ。冒険者って荒くれ者で粗野なイメージだったけど。そこは良かった」


男冒険者は下心アリでジークに優しくし、女冒険者はそんな男共から美少女を守るがためにジークに優しくしていたのだ。

断じて冒険者が皆に優しいと言う訳ではない。


ジークがギルドへ入ると同時に大きな声であいさつすると、荒くれ者どもが一斉に返事してきたのだ。


「おはようございまーす!」


『おはようジークちゃん』


「みんな元気ですねー」


いつも元気よく挨拶が帰ってきてジークは面白がっているのだ。

ただため口は使わない様にしていた。一応先輩たちに失礼のないようにだ。


「おうよ朝からガッチガチのビンビンだぜ!」


先輩冒険者どもの下ネタに気が付かないニコニコのジーク。

アホどもはすでに鼻の下が全開に伸びきっている。


「さすがですね!」


「おうよ! 見て見ろって俺たちのこの筋肉をよ!」


見習い冒険者は先輩冒険者のサポートが無ければモンスター討伐の依頼を受けることができないのだ。

なのでジークはいつも近くにいる冒険者にお願いしてついて来てもらっている。


ただこれはジークだからなせることだ。

普通は見習いの付き添いなど荒くれ者たちは嫌がる。一銭にもなりゃあしないからだ。


「おおー!」


「がははは! 触ってみるか?」


「はい! うわぁ~ 硬くて大きいですね! これで突いたら敵なしですね!」


「おぉうっ そ その通りだぜっ」


しかし美少女の頼みとあらば吝かではないのだろう。

率先してジークを守りたがるのだ。いいところを見せるために。

最近では付き添いが取り合いになるほどだ。


「じゃあ依頼選んでくるので、また触らしてください!」


「ああ! いつでも触ってくれ!」


ジークが本当は男であることはギルド職員しか知らない。

職員たちはあえてそのことを黙っていた。


荒くれ者どもがジークの付き添いを求めて朝早く起き、規則正しい生活をするようになった。

付き添いできなかった冒険者もそのまま依頼を受けると言う好循環になっているからだ。


「今日はなんの依頼を受けたらいいと思いますか?」


見習いが受ける依頼は必ず職員が選ぶことになっている。


「そうですね。これなんていかがでしょう、コボルト討伐です」


「うーんまた討伐ですか?」


「ええ。依頼達成率がジークちゃんは100%ですから」


当然のように職員は討伐系依頼を選ぶのだ。

ジークの後ろに控えている本日の付き添い担当の鬼のような目線に負けて。

しいてはギルドの利益のために。冒険者のモチベーションを保つのは利益に直結するのだ。


「まあいっか! 受注お願いします」


「承知しました。討伐依頼ですので付き添いは・・・後ろの方たちでよろしいですね?」


「ん? みなさんよろしくお願いします」


ジークが職員の視線を辿って振り返ると、後ろに控えていた冒険者たちが自慢の武器や筋肉を見せつけるポーズをしていた。


「「まかせとけって!」」


「はい!」

ン? 急に閲覧数が増えた? なんで? 

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