召喚
「あ~毎日毎日こんなことををうぐぐ…帰ってゲームして寝たい…」
朝食を食べ学校に向けて歩く俺と華凛。
「ま~たそんなこと言ってるしかも言ってること完全にダメ人間のそれだよ!?」
「世の仲そんな甘く無いか…」
「何悟った顔していってるの…ほらシャキッとして!かっこいい顔が台無しだよ?」
「カッコイイとか言うなし!」
あ、ちなみに俺のスペックなんだが至って普通だ!身長176で髪をちょっと長めにしてる。顔はうんいや…まぁ良いほうだと信じたい…。
他愛もない会話をしつつ学校に着きいつものようにドアを開ける。
「おはよ…」
「おはよう!」
どんよりしてるのが勿論俺元気な方が華凛だ。
「おはよっす、ま~た二人で登校か羨ましい限りだなぁまったく」
「本当ね、羨ましい限り。おはよう」
ニヤニヤしながら近づいてくるこいつが宮原 俊
顔は普通に整ってて短髪ちょっと小さいながらも一部の女子には人気らしい。
もう片方が橘 楓
髪の毛を後ろでポニーテールにしていてキリッとした顔立ちをしている。スタイルは剣道部をしているのか引き締まっている。一部ではお姉様と慕われてるらしい。
「うるせーぞ俊、楓…あぁなんで学校なんて来てしまったんだ…」
「おはよう楓ちゃん、宮原君」
そんなこんなでゲームの話やらテレビの話やらで朝のホームルームの時間が来たが5分10分たっても担任の教師が入ってこない。
「先生遅いね?どうしたんだろ?」
「先生もたまにはサボりたいんだろそっとしてやろう」
「それ双ちゃんだけだからね?ちょっと先生呼びに行ってくる」
疑問に思った華凛がドアの前まで移動し開けようとしたが…
「あれ?開かないよ!?」
「へ?んなバカなちょっと貸してみ」
そう思いドアを開けようとするが
「まじだ!ピクリともしねぇ…」
「どうした!?どうした!?痴話喧嘩か!?」
「何があったの!」
俊と楓もおかしいと思ったのかこっちに向かってくる。
「ちげーよ!扉があかねーんだよ」
「嘘だぁ」
「そんな訳ないでしょ?」
二人もそんなこと言いつつ扉を開けようとするが結果は同じだった。
クラスの皆も異常に気がついたのか騒ぎ始めてきた。
「なんだよ!?どうなってんだ!?」
「窓もドアも開かないよ!」
「誘拐!?」
周りが落ち着きなく狼狽えていると。
「皆静かに!大丈夫だ落ち着いて!きっとすぐに助けが来るはずだから!」
声を出して皆を落ち着かせようとしたのは
天王寺 明
天王寺財閥の跡取り息子でイケメン成績優秀スポーツ万能で皆からの信頼も厚い。
全て兼ね備えたような超人だ。
「いいか!こういう時だからこそ冷静に落ち着いて周りを見るんだ!」
さすが!イケメンよくやった!皆少しづつ落ち着きを取り戻してきた。
「うぅ…どうなっちゃうのかなぁ…」
いつも元気華凛も今はかなり怖いのか少し怯えている。
「大丈夫だ心配ねーよ」
華凛の頭に手を乗せゆっくりと撫でる。
(相変わらずサラサラしていて撫でているこっちまで癒されるな…)
「双ちゃん?」
「どんなことが起ころが必ず守ってやる」
「双ちゃん…うん」
自分の頭に乗ってる俺の手に自分の手を重ね嬉しそうに微笑む。
(やっぱ華凛は笑ってる顔が似合うな…)
「俺等は蚊帳の外だな…」
「そうね…いつものことだし…今更よ…」
俊と楓がなにか言ってるが気にしない気にしない。
(…!?魔力反応これは!…空間魔法か!)
その時教室の床全体に魔法陣が生まれた。
皆唖然とその光景を見て固まっている。
(くそ!こんな簡単な魔法になんで気が付かなかった!…この形状からして転移魔法…俺だけなら弾けるが全員だと少し時間が足りない!)
魔法陣が一層輝き視界を埋め尽くした。
(しょうがねぇ…向こうで何とかするか…この世界での暮らしに慣れすぎて思考速度が遅くなったか…)
光が収まり素早く周りを見たらそこはどこかの部屋なのだろう。広くそして白い部屋だった地面にはさっきと同じ魔法陣が刻まれていた。
そして…
「成功か!?」
「やったぞ!」
「ハハハ!これでやっと!」
白いローブを纏った男女が嬉しそうに喜んでいた。
「静かに」
そういった瞬間周りの男女静かになりクラスの皆がそこを見つめた。
「私はシグルト帝国第二王女 シルビア・シグルトと申します」
そう言いながら優雅におじぎをする。
「そして…ようこそ、我が国に勇者様方」
そこだけが別世界のように思えた。
周りと同じように白いローブを羽織り黄金を溶かしたような金髪を腰辺りまで伸ばし顔は人形のように整っている美少女がそこに居た。
そしてこれが異世界に召喚された俺達の物語の始まりであった。