唯side 2
少しの沈黙。その時間はとても長く感じられた。
「あのね……、今年のバレンタインから、私
とひろ君、付き合ってるんだ……。言えなくてごめんね、本当はもっと早く言うつもりだったのに……。」
「……。あ、そーなんだ……。」
隆貴の悲しげな表情が唯の目に焼き付いた。
「うん、わかった。わかったよ。じゃあね、唯ちゃん、引き止めてごめんね!どーせ祐武は過保護だから一緒に帰るんでしょ?待たせちゃ悪いもんな!早く行ってあげて!これ言ったからって気まずくならないでよ?俺、唯ちゃんのこと好きになれてよかったから!楽しかったから!今まで通りで良い幼なじみでいてよね!そうじゃなきゃ俺、救われないっしょ?」
「うん……、ごめんね。」
「何言ってんのさ!謝るなって。ほら!早く早く!」
「あ、うん……。ありがと!私もたか君のこと幼なじみとして大好きだから!」
そう言い残し、唯は1人教室を後にした。
(くっそ……!振られちまったなー………。)
1人教室に残った隆貴は胸が締め付けられているかのごとく痛かった。
押さえきれなかった感情が溢れるようにまぶたから涙がこぼれ落ちた。
(カッコ悪りぃな……。)