あの子と、
「マジでアイツ何考えてんのかなー…」
サークルで有名なおしどりカップル。
「ヤキモチにしたって非常識だろ」
学部が違うのに無理して講義を合わせたり、学食でもいつも一緒。
「男だけの飲み会だって言ってんのに、『心配だ』ってついてくるんだよ」
最近は半同棲状態らしい。
「男ばっかの所に連れてくとか、こっちのが心配だっつの」
ふたりの基本ポジションは、
「浮気なんか、絶対しねえのに…」
ヤキモチ焼きの彼女と、それに文句を言いつつまんざらでもない彼氏、という感じ。
「お前は付き合いだしても、そんな風にはならないだろ?」
何を根拠に言ってるのかな。
「そんなことないよ。ヤキモチ焼くよ。彼氏の携帯とか見たくなるもん。ワガママも言うよ」
優しい彼氏だったらなおさら。
「女はやっぱ、そんなもんなのかなー」
「そうだよ、みんな同じだよ」
みんな同じ。あの子と私も同じ。
「あ、電話だ。ゴメン」
「どうぞ」
同じなのに、なのにどうして私じゃないの?
「悪ぃ、ちょっと…」
「いいよ、行ってあげて」
「今度おごる」
「いいって」
それより、またグチりに来て。
「なぁ、この近くファミマあったっけ?」
「うん、バス停の逆方向ね」
あの子、ファミマの巨大エクレア好きだったね。いつもふたりで半分こしてるね。
「サンキュ」
「気を付けてね」
かなわない。
ホント、かなわないな。