赤い蓮
姉さんたちが修行に出てからは、たいくつだった。
たいくつしのぎに、紅蓮の目をぬすんで、人間の里へ…よくおりていた。
『ぐえーん(※紅蓮)、あれ…なぁに?』
『ん? ああ、あれは人間の里だ。』
『ねぇねえ。いってみたい。』
『駄目だ。』
『えーなんでー?』
『いいか、お前はまだ幼い。その強力な魔力をまだ制御しきれてねぇんだ。だからな…
まだあの人間の里に行くなよ! 絶対だぞ!! …分かったか?』
『…うー…わかった…』
『よし、いい子だ♪』
なんて昔、言われたけど…理由がよく分からなくてあえてムシした。『ヒデェなおい…(汗)』
でも初めて下りた時…わかった。
『にんげんなんて…にんげんなんて…(超涙目)』
『…人間不信になってんなコリャ…だから言ったんだがな…(- -;)』
数日はそんなことをなげいてたけど…やることがなくて…しかたがなく下りてる。そんな感じ。
「…誰も…見てない…今のうちにっ…」
「おい! またアイツが来たぞ!!」
「!!」
また来た…わたしの大っ嫌いなただの人間…
「こっちに来るな化け物め!!!」
「や、やめてよ…っ…わたし…ばけものじゃ…」
わたしのこと…いじめるんだもん…
わたしより…ちょっとお兄ちゃんの癖に…
「じゃあ何だよ! お前に憑いてるその人魂はよ!!」
「そ…それは…」
「お前が化け物だっていう証拠だろ!?」
「お前なんかさっさと消ええればいいんだ!!!」
「うっ…」
この魔力のせいで…普通じゃないってからかわれて…いつも泣かされて…
正直、そんな自分が嫌い。それ以上に、人間が一番大っ嫌い。
けど…
「コラ――――!!アンタ達――――――!!」
「うわぁ!鬼婆が来た――!!」
「逃げろ――!!」
「なっ…誰が鬼婆ですって!?待ちなさ――――い!!」
ただの人間のはずなのに…
「おいっ大丈夫か?…こんなに怪我して…」
「ったくも――う!! こんな可愛い女の子に小石投げるなんて~!!」
「落ち着けって…(-_-;)」
「…どうしてそんなに優しくするの?
人間にも妖怪にも…成りきれない…こんな化け物に…どうして?」
そしたら、あの人間たちはこう答えた。
「…俺達がお前に対して、普通に接する理由なんてないさ。」
「ただ魔力が極端に強いだけの、あたし達と変わらない、ただの女の子だもん。ね♪」
満面の笑顔で、そう──
「……う…ううっ…」
周りの人間たちとぜんぜんちがう反応をしてくる、あの人間たちだけは…
「あっ! Σ(゜△゜;) 春樹がこの子泣かせたっ!!」
「何で俺っ!? Σ(゜゜;)!?」
あの人たちだけは…姉さん達が修行に出てから…唯一本音が言える…『トクベツ』な人たち。