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核実験は偽装できるか

 北朝鮮が実施した3回の核実験のうち、最初の核実験以外では放射性物質が検出されなかったそうだ。このことから、一部の専門家の間では2回目と3回目の核実験は通常の爆薬を使った偽装ではないかという見方も出ているようだ。

 そこで、ここではやっていない核実験をいかにもやったかのように偽装するにはどんなことをする必要があるか簡単に考えてみよう。

 3回目の核実験の爆発の規模はTNT換算で6~12.5キロトンと推計されている。仮に10キロトンとすると、これをTNTで偽装しようと思えば、その呼び名のとおりTNT火薬が10キロトン、つまり10,000トン必要になる。10,000トンと聞いてもその量の多さはピンと来ないかもしれない。10トントラック、砂利などを運搬するダンプカーを想像してもらいたい、あのサイズのトラック1,000台分のTNTを地下の実験場に運び込んだことになるのだ。

 これを想像しただけで、核実験をTNT火薬で偽装することは容易なことではないと感じることだろう。さらに、テクニカルな問題として、これだけの量のTNTを同時に爆発させようとすれば、たぶん何万個にもなるであろう電気信管を、コンマ1秒の誤差もなく爆発させる技術が必要になる。これは、単純に長崎型の原爆を実際に爆発させるよりもはるかに高度な信管の制御技術を要求されることだろう。

 3回目の核実験の規模について40キロトンという極端な推計もあった。地下で行われた核実験の爆発の規模は、その実験によって引き起こされた人工地震の大きさから推計される。ところで、地震の規模はどの程度の精度で推計できるのだろうか?いや逆に、どれほどの誤差が生じることがあるのだろうか?

 地震のエネルギーの大きさを算出する難しさを世に知らしめたのは、あの3月11日の東日本大震災だろう。なにしろ、気象庁の第一報ではマグニチュード7.5であったのが最終的には9.0まで引き上げられたのだから。マグニチュードは「0.2」大きくなると地震のエネルギーは概ね2倍になる。したがって、「1」大きくなれば、2の5乗の約32倍になる。つまり、あの時気象庁は自国の地震の規模ですら180分の1に過小評価してしまっていたのだ。(32×2×2×1.414)言い換えれば、地震の規模の推計においては桁2つぐらいは誤差としてありうるということだ。

 北朝鮮の核実験の爆発のエネルギーを仮に2桁過大に算出していたとすれば、TNTは100トン程度で済むことになる。ただし、これでもなおすべての爆薬を同時に爆発させることは至難の技に違いない。

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