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資源がない国のうそ (3)

 だいぶ前になるが、読者の方から質問をいただいた。日本に資源があると言うのならば、なぜ開発しないのかと。そこで、私はとりあえず思いついた8つのことを回答した。以下に紹介する。

①企業としては、海外から調達していればあとで労災や公害の訴訟を起こされる心配がないから。

②石油で裕福になると、サウジアラビアなどのように国民が怠惰になるから。

③資源まで国内で調達できるようになると輸出入のバランスが完全に壊れ、円高に歯止めがかからなくなるから。

④資源がないからとして推進してきた原子力関連事業が、霞ヶ関にとってとってもおいしい利権になったから。今さら口が裂けても資源がありましたなんて言えない。

⑤世界中の資源が枯渇するときまで温存しておきたいから。

⑥東シナ海を開発すると沖縄を返還したアメリカが嫉妬するから。

⑦決断できる政治家がおらず、だらだらと現状維持しているだけ。

⑧霞ヶ関のお役人にとって、資源開発という新しいことをやろうとして波風を立てるより、何もしないほうが出世できるから。

 私はこの回答からしばらくして、8つの中に1つだけ明らかに間違っているものがあることに気が付いた。読者のみなさんは気が付いただろうか?

 答えは⑥の「アメリカが嫉妬するから」だ。

 日本では資源は発見した者の所有物になる。たとえば、あなたの家のすぐ下に石油が眠っていたとしよう。しかし、それはあなたのモノではない。あなた自身が試掘して発見しない限り、それはあなたのモノにはならないのだ。

 私がまだ小学生のときのことだ。図書館でたまたま開いた古びた本には、沖縄周辺の海域をアメリカのオイル・メジャーが隙間なく試掘の申請をしていることが記された地図が載っていた。つまり、今さら日本政府が沖縄周辺海域の資源を開発したいと考えて試掘の許可を下ろしたところで、それはすでに試掘申請をしているオイル・メジャーに対してであって、日本企業に対してではない。つまり、沖縄周辺の資源は、外資に試掘の申請を出された時点でもう日本人のモノではなくなったも同然なのだ。(このまま開発しなくても、隣から全部吸い出されて中国人のモノになるだけだが。)

 アメリカ政府が沖縄返還を決断するときには、この「資源は見つけた者のモノ」イコール「試掘申請さえ出してしまえば勝ち」という日本の法律を詳細に研究していたのだろう。逆にもし日本の法律がそうなっていなかったならば、アメリカは今でも沖縄を占領し続けていたかもしれない。

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