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3 ワンちゃん、冒険者ギルドヘ行く

「ここが冒険者ギルドか〜!」


ユイは目を輝かせながら、大きな建物を見上げた。

木と石でできた建物。

入口には剣や杖を持った冒険者たちが出入りしている。

まさにファンタジー世界そのものだった。


「すご……ほんとゲームみたい」


「ゲーム?」


「あ、なんでもない!」


ノアに案内されながら中へ入る。

すると。

ガヤガヤしていたギルド内が、一瞬静かになった。


「……ん?」


視線が集まっている。

理由は明らかだった。

犬耳。

犬の尻尾。

もこもこの着ぐるみ。

どう考えても目立つ。


「なんだあの格好……」

「獣人か?」

「いや、犬……?」


ヒソヒソ声が聞こえる。

ユイは気にせず尻尾を揺らした。


「かわいいからヨシ!」

「ヨシなのか……?」


ノアが苦笑する。

そして二人は受付へ向かった。

受付のお姉さんは、最初ユイを見て少し固まったが、すぐ営業スマイルへ戻った。


「本日はどのようなご用件でしょうか?」

「これ売りたい!」


ユイはイヌの異次元ポケットへ手を突っ込む。

すると受付のお姉さんが首を傾げた。


「……ポケット?」


次の瞬間。

ドサドサドサッ!!

大量のウルフ素材がカウンターへ積み上がった。


毛皮。

肉。

牙。

魔石。

さらに丸ごとのウルフまで出てくる。


「うわ、まだ入ってた」

「…………」


受付のお姉さんが固まった。

周囲の冒険者たちも静まり返る。


「え、収納魔法?」

「しかもあの量……?」

「いや待て、ウルフ丸ごと出てきたぞ……」


ユイはそんな周囲を気にせず言った。


「これ買い取れる?」


受付のお姉さんはハッと我に返る。


「しょ、少々お待ちください!」


慌てて奥へ走っていった。

数分後。

今度はガタイのいい大男が出てきた。

傷だらけで迫力のある男だ。

周りの冒険者が小さく言う。


「ギルドマスター……」


「へぇ〜、ギルマスなんだ」


大男――ギルドマスターは素材を確認する。


ユイの犬耳がぴこぴこ動く。

周囲の冒険者たちはなぜかその動きに視線を奪われていた。


「……なんかあの犬の娘かわいくないか?」

「いや強いんだぞ多分」

「でも犬耳動いてる……」


ヒソヒソ声が聞こえる。

ユイはまったく気づいていなかった。

するとギルマスが聞いてきた。


「ちなみに誰が倒した?」

「私」

「武器は?」


ユイは少し考える。


「木の枝と石?」


ギルド内が静まり返った。


「…………は?」

「え?」

「木の枝?」

「うん」

「石?」

「うん」


ギルマスは頭を抱えた。


「意味分かんねぇ……」


すると受付のお姉さんが戻ってくる。


「査定終わりました!」


机へ革袋が置かれた。


「合計で銀貨十二枚になります!」

「ありがと!」


ノアが嬉しそうに笑う。


「すごいです!」


その時。

グゥ〜……

ユイのお腹が鳴った。


「あ」


そういえば異世界へ来てから何も食べていない。

ノアが小さく笑う。


「ご飯、食べますか?」


ユイは即答した。


「食べる!」


冒険者ギルドの食堂は、かなり賑わっていた。

肉を焼く匂い。

スープの香り。

冒険者たちの笑い声。

ユイは目を輝かせる。


「うわぁ……異世界飯だ……!」


ノアが少し不思議そうな顔をする。


「いせかい……?」


「あ、なんでもない!」


二人は空いている席へ座った。

しばらくして料理が運ばれてくる。

大きな肉。

パン。

野菜スープ。

かなりボリュームがあった。


「おぉ〜!」


ユイは早速肉へかぶりつく。


「おいしっ!?」


思わず尻尾がぶんぶん揺れた。

ノアが少し笑う。


「ユイさん、尻尾すごい動いてます」

「え?」


ユイは慌てて尻尾を押さえる。


「は、恥ずかしい……」


周囲の冒険者たちも少し和んだ顔をしていた。


「……なんか癒やされるな」

「犬だなぁ」

「かわいい」


ユイは全然気づいていない。

しばらく食べていると、ユイはふと聞いた。


「ノアって、いつも解体してるの?」


ノアはパンを小さくちぎりながら頷く。


「はい。たまに仕事回してもらってるんです」

「仕事?」

「お金が、必要なんです」


ノアは少し俯いた。


「お母さんが病気で」

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