表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミスター・ブルーズ 〜命運を握る背中のあざ〜  作者: マフィン
脱出と真実とダイナソー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/131

休息

 薄暗いジャングル。陽はもうあと数分もすれば、完全に落ち切って真っ暗闇になってしまうだろう。


 今、目の前ではスピノサウルスが、不意に攻撃を仕掛けてきたティラノサウルスとの戦闘に没頭している。ティラノサウルスは意図せず、こちらを助けてくれたようだ。


 今のうちに、逃げた方が良さそうだ。大迫力の恐竜同士の戦闘を見たいのは山々だが、のんびりしていたら、せっかく彼女から逃げてきたのに、また捕まってしまうかもしれない。


 だが、どこへ行けばいいのか?こんな時代に果たして、安全な場所がこの施設以外にあるのだろうか?


 そういえば・・・。


 ふと、恐竜の卵だと思われていたものが、彼らの宇宙船?だと言う事実が頭をよぎった。もしかしたら、状態の良い宇宙船がこの近くにあるかも。そしたら、そこで一晩を過ごすことができるかもしれない。

 

 できなかったとしても、行くしかない。


 もう陽の光を頼りに、ジャングルを歩くことはできなくなってきた。二体の大型肉食恐竜の戦闘はさらに激化した。


 このまま巻き込まれないように、とにかくこの施設から離れすぎず、ちょうど良い場所まで卵を探すことにした。


 お腹が空いてきた。


 コンビニのイートインでコンビニ店員の彼女と話して以来、何も食べていない。あれから僕の体はどれほどの時を刻んでいるのだろうか。


 そもそもタイムトラベルをしていると、2025年を旅立ってから今まで、どれくらい経っているのかわからなかった。食事は要所要所で摂っているが、睡眠は満足に取れていない。


 ヴァインズ姉妹の事件前の労働者になって潜入した期間の方が、満足な睡眠時間が確保できていたのではないかと思う。


 足元を探ってみても、卵らしきものは見つからない。と言うより思っていたい以上に、ジャングルは暗く、メガホンレーザーの光があっても、目の前を青く照らすだけで、歩くだけで精一杯だ。


 卵を見つけるなんてもってのほかだ。


 安全な場所は諦めた方がいいのかもしれない。


 だが、いろんなことを意識し始めた結果、今までの疲労が一気に体にのしかかってきている。まるで、鯨を背負っているかのように、体が重い。


 やはり、少しでも気を抜いて休める場所が必要だ。


 急にまた一人になると心細い。今まで5年間も一人で生きてきたと言うのに。確かに、この5年間、一人で心細い時がなかったかと言えば嘘だ。いろんなことがあったし、もちろん試練なんてたくさんあった。だが、そう言う時いつも僕を助けてくれていたのは、映画だったかもしれない。


 今回も、もしかしたら、映画の力を借りれば、ピンチを脱出できるかもしれない。


 確かにさっきも助けてくれた。そして、やはり今回もスピルバーグに感謝しなければならない。いや、スティーブン様。


 そう思いながら、僕は近くに大木を探し、かなり大きなものを見つけると、映画のようにその木を登り始めた。暗くて、手探りではあったが、なんとか登ることができた。


 幼少期によく木に登らされたおかげだ。


 この時代は、酸素濃度のせいなのか、全てのもののスケールが大きい。この大木も例外ではなかった。ある程度登り切ると、これまた一本の木のように太い枝と、大きなテントよりも大きな葉っぱのおかげで、屋外テラスのような空間が広がっていた。


 気温は蒸し暑いが、日が落ちたおかげで、睡眠をとるにはちょうどいい気温だ。そして何よりもテラスからの眺めだ。


 満点の星空と、まん丸と光っている月の明かりが、ぼんやりとジャングルを照らしていた。どうやらこの大木は、ここら辺の木の中では高いようだ。


 ここから見える恐竜は、首が長いブラキオサウルスか、それに似た何かの首しかいなかった。


 まさに映画のような光景に息を飲んだ。


 もうここにいて、何かに襲われたのであればそれはそれでも構わないと思ってしまった。まさか、こんなに高いところまで登ってきていたとわかったのは、その時だった。


 僕は膝から崩れるように、その場に倒れ込んでしまった。だが、そんな僕は大きな葉っぱが受け止めてくれている。


 もうほとんどの体力を木登りに使いきってしまったようだ。


 僕は根っからのインドア派だ。葉脈の匂いや土の匂いはどちらかと言えば苦手だ。だが、今はそんなことは一ミリも思えず、むしろ心地よい匂いとさえ思えてしまった。


 あの時と変わらない星空。いつの時代もこの景色は変わらないのかな?


 そう、家族で最後に行ったキャンプでの光景がフラッシュバックしていた。そう言えば、この時代で僕を助けてくれている映画は、父が大好きだった映画だ。


 木登りは、よく兄弟で競争していた。いつも僕がビリだった。そして、よくガーデニングをしていた母は、いつも葉っぱの葉脈や土の香りがしていた。


 まさか、はるか昔の地球で、こんなに家族のことを感じるとは思わなかった。目から一筋の涙が頬を伝っていった。


 このまま、僕はどうなってしまうのだろうか?これからどうするべきなのだろうか?


 その時、遠くで恐竜の鳴き声が轟いていた。


 恐らくあの首だけ見えているブラキオサウルスの声なのだろう。


 あいつらは何を思っているのだろうか?恐らく、前までは彼らもいろんなことを考え、悩んだりしていたかもしれない。だが、今の彼らはただ、ひたすらに生きている。


 ただ生きているか・・・。


 僕はこの大きな木に守られながら、深い眠りに落ちていた。

よくよく考えたら彼を休ませていないことに気がつきました。


評価、ブックマーク等もしていただけるとかなり嬉しいです!

よろしくお願いします。


感想も待ってます。


記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ