恐竜の秘密
この時代の地球は非常に暑い。さらにこの山に囲まれた地形が、気温をさらに引き上げ、暑さが尋常ではない。時々吹く風も温風だ。エアコンという文明の力がとても恋しくなった。
だが、もしかしたら目の前にいるこの眼鏡をかけた恐竜が、エアコンなんてものを簡単に作ってくれるのではないかと思えた。
「それであなたは?なぜジーブスがこんな時代にいるのですか?」
目の前にいるヴェロキラプトルのブルターは、こちらをジロジロ見ている。
「ミスターブルーズといいます。未来から来ました・・・。」
まさか、恐竜に日本語で自己紹介をする日が来るとは、夢にも思っていなかった。しかも、自然とミスターブルーズと名乗っていた。なんかエイリアンとか地球外の人物にはこっちの名前で自己紹介をしている気がする。
「やっぱり、タイムトラベラーなんですね!私もです。」
ブルターははじける笑顔で答えた。だが、そのはじける笑顔の時に見える大きな牙が、少し恐怖心を煽る。
彼女がタイムトラベラーで良かった。とはいえ、未来とは一体どういうことなんだ?まぁこの際そんなことよりも、これで未来に戻る術は確保できそうで何よりだ。
「それであなたはどうやってタイムトラベルをしてきたんですか?」
ブルターの問いに、あの壊れたメガホンレーザーを見せて答えた。
「あちゃ・・・、無惨な姿で・・・。」
「それで、あなたは・・・?」
ブルターの表情を見て、少し嫌な予感が頭をよぎった。だが、一旦そのことは気にせずに、こちらも聞きたいことを質問した。
すると、ブルターはその短い手で、黒い煙が上がっている方角を指さしていた。
「まさか・・・、あの卵?」
ブルターは頷いた。
「ジーブスが、卵と勘違いしているあれは、タイムマシンなんですよ。」
またとんでもない話が始まりそうだ。
「ということは、恐竜はみんなそうだってことですか?」
「ええ、そうなのよ。私たちダイナー星人は、この星の調査のために、未来から来ました。要するにどの時代が監獄惑星として、より適正な環境になっているのかっていう調査ね。」
監獄惑星とは一体なんの話なのかはわからないが、ひとまず話を聞くことにした。
「ところが、先遣チームからの連絡が途絶えて、その次、またその次とチームを派遣しても、みんな連絡が途絶えてしまった。そこで私が自分の目で、彼らに何があったのかを確認するためにここへ赴いたんだけど・・・、まさかこんなことになっていたとは・・・。」
そう言いながら、周りに見える巨大な恐竜たちを眺めた。
「まさか、この恐竜たちが、ダイナー星人なんですか?」
「そういうことよ。この時代は酸素濃度があなたたちがいる時代よりも少し高い。さらにここの草や葉っぱも同じく、酸素をたくさん吸っている。だから、彼らはその影響で脳が退化・・・。いや、厳密に言えば、原始化したみたいなのよ。」
「それは退化とは違うんですか?」
原始的ということは、知能の発達が逆戻りしているというふうに捉えてもよさそうだが、彼女はあえてそれを言い換えていた。するとブルターはまた首を上に上げて、メガネのずれを解消させて、説明を続けた。
「そう、彼らの脳は退化しているのではなく、単純に理性というものがなくなっている、いや、なんらかの理由で働かなくなっている。だから、食欲や性欲、それだけじゃなくて、怠惰になるような欲にまで忠実になってしまっているみたいなの。」
それで彼らはそのまま絶滅し、地球の歴史に名が刻まれてしまったようだ。
「でも、そうだったとしても、二番目のチームが到着した時点で、そのことを報告できたんじゃないんですか?」
するとブルターは上を見上げた。
「私の船と一緒で、大気圏の熱に耐えきれなかったのよ。このままでは、私もいずれああなるわね。」
ブルターが鼻で示した先に、二匹のヴェロキラプトルがこちらを睨んでいた。
明らかにブルターのように話しそうになく、獲物を追い詰めるようにじわじわと距離を詰めてきた。
「これはまずいですね。」
「この施設は幸いにもまだ機能しているから、一旦中へ入ってしまえば、こちらのものよ。」
だが、相手はラプトル二匹。とてもじゃないが、数メートル先にある施設の扉まで、間に合うとは思えない。
「私こう見えて、ミス科学者に選ばれたことがあるから、私が惹きつけるわ。だから、あなたはその隙に中へ走って。」
そう言うとブルターは眼鏡を外し、二匹のラプターの元へと向かった。
だが、ふと考えればブルターの作戦は、どちらもオスだったら通用するものだ。その時、ブルターの声が聞こえた。
「デルにガマ。あなたたちだったのね。」
それは悲しそうな声だった。どうやら知り合いみたいだ。すると今度は、一目散にこちらに向かって走ってきた。
「私、女子ウケ悪かったのよ。逆効果だわ。」
そんな女子ウケが悪い恐竜が、よく局長クラスの役職につけたものだ。もしかして・・・、その美貌を使って・・・?彼女の素性が心配になってきた。
だが、確か彼女はケイと一緒にバンブーネットワークを・・・、それだ!
だが今はそれどころではない。バイクに追いつくくらいの速さで走る恐竜が、こちらに鉤爪を向けながら、向かってくるではないか。
「ちょっと痛かったらごめん。」
ブルターはそう言うと、こちらの服を一噛みし、そのまま僕の体ごと背中に乗せた。
「しっかり捕まってよね。」
ブルターの背中はロデオ並みに揺れた。正直彼女はそんなに巨体ではない。むしろ人間と同じくらいの大きさだ。
だが、そんな僕を担いだまま、やつらに追い付かれることなく、どうにか建物の中へ入った。
そしていかにも非常電源のような、赤いボタンを押した。
期待通り扉は勢いよく、上から下へ降りてきた。熱い鉄板のような素材の扉は、外で体当たりしている二匹のメスのラプトルの体当たりを受け、大きな音を立てている。
「ふう、危なかったわね。」
声は聞こえるが、中は真っ暗になっていた。
「あれ、もしかして見えないの?」
どうやら彼女は見えているようだ。
恐竜ってなんでか人気高いですよね。
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記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1




