調査とストーカー
コンビニへと入っていく彼女をただただ眺めていた。彼女がこのコンビニの店員と言うことは、ここは自分の家の近くのコンビニだ。つまり、あの女性店員の手首には、あざがあるはず。
そして5年後、エイリアンとの抗争に巻き込まれ、命を落とす。
そしてやっぱり、改めて見てもどこからどう見ても、メイジーに見える。いや、メイジーがあのコンビニ店員にそっくりだというべきなのか?
「気になってるねぇ野獣さん!」
カイは、明らかに茶化している。
「そりゃそうだろ!」
「ふーん・・・!だったら・・・。」
カイはにやにやしながらこちらに近づいてきた。
「だったら、君は彼女の身辺を調査してくれ。その間僕は、この子の家を探す。」
なぜカイは急にそんな提案をしてきたのだろうか?もしかしたら、何か重要なことがあるのかもしれない。
しかし、カイのくちもとが緩んだ嫌らしい表情を見ると、そうでもなく、ただこちらをからかっているだけなのかもしれないとも思ってしまう。
確かに、彼女には興味しかない。なにせ、彼女はあの時代にいただけではなく、現代でも自分と同じあざを持つ、数少ない人物の一人である。それに、いまそのうちの一人がエイリアンであることが、分かったばかりだ。これは、彼女に興味を持たない理由なんてなかった。決してそれ以外の理由はない。
「分かった。でもどうしたらいい?」
「デートにでも誘ってみたらどうだ?」
もうカイの言うことは気にしないようにした。だが、コンビニへ向かう自分の肩をカイはがっしりと掴んだ。
「くれぐれも、余計なことはするなよ?特に歴史を変えるようなことは厳禁だ。そして、過去にとらわれないことだ。君は振られたし、死んだ者は生き返らない。以上!がんばれ!」
カイのオンオフスイッチが欲しくなるくらい、情緒が不安定な話し方で釘を刺された。
どこかカイに心を見透かされている気がしながら、二人の後姿を見送ってから、再びコンビニへと入った。
中へ入ると、さっきレジ打ちをしていた店員が、私服姿で裏口から出ていくのが見えた。どうやら彼女と交代だったのであろう。
あれ・・・?きもくね?
ふと自分がストーカーに見えた。だが、これはあくまでも身辺調査。決してやましいことはない。だが、身辺調査って言い方を変えれば・・・?ストーカー。
もう考えるのはよそう。
あの対応の仕方・・・、どうやら彼女はこちらを認識しているようにも見えた。だが、ただの常連客だからなのか?それとも結構普通に世間話をするくらいの仲なのか?
だが、こちらの記憶では、あの時・・・、あざを見つけて気まずい会話をしたのが、彼女との初めての会話だったはずだ。
これも歴史が変わっているという弊害なのか?とにかく、彼女と接触しなければならない。とりあえず、要りもしないガムを手に取ると、レジへと向かった。
すると裏から彼女が出てきた。
「あ!もう帰っちゃったのかと思いました。」
笑顔で出てきた彼女は、ノールックでガムを手に取ると、すぐにレジを打ち終え、レジの画面に金額が表示された。
やばい、このままでは、彼女に接触できたとしても、それ以上のことは期待できない。そしてまた、自分の言い方に気持ち悪さを感じた。
すると、彼女はガムの金額を言う前に、コンビニの外を眺めだした。
「誰もいないですねぇ。」
「フぇ?」
急な出来事だったせいで、変な声を上げてしまった。すると彼女は、少し驚いた表情をして、すぐに笑い始めた。
「ごめんなさい。つい・・・。えっと140円です。っていうか最近ガム高いですよね?」
今、彼女は自分に話しかけているのか?周りに誰もいないんだから、そりゃそうだが、それにしてもよくしゃべる店員さんだ。そんな店員さんを人生で一度も見たことがない。
「そうですね。昔は100円切ってたのに。」
ぎこちない感じになったが、何とかして会話を続けた。
「ほんとそうですよね!」
なんと会話が続いた。
「しかも、またコロナなんかになっちゃったら、また景気が下がって物価が上がっちゃいますよね。」
謎の世間話が始まってしまった。だが、この会話の目的はあくまで調査。彼女を詳しく調べて、何か怪しい部分がないかを探る。今のこの会話だけではだめだ。もう少し、深いところまで踏み込んでいかなければならない。だが、どうすればいい?
「そういえば、最近お母さまがお見えになってないですけど、どうかなさったんですか?」
なに?母親まで把握している?さすがにそんな事実はない。
「なんで、母のことを知っているんですか?」
すると、彼女は少し気まずそうな顔をしながら、すぐに笑顔を取り繕った。
「ごめんなさい。そうですよね・・・。実は私が変なお客さんに絡まれてた時に、ちょうど明美さんが来店されていて、助けてくれたんですよ。それから、明美さんがいらっしゃると、いつも軽く世間話をしてくれて、何なら、明美さんも私と話すために、人があまり来ない時間に来てくれるようになったんです。まぁ、そのせいで今度は店長に怒られたんですけどね。」
確かに、母の名前は明美だった。それに母はそうやって困っている人を見捨てられない人だったし、良くこのコンビニの弁当が夕食になることも多かった。そしてたまに、なかなか帰ってこなくて、コンビニの店員と話し込んでいたなんてこともあったかもしれないと思えてきた。
「ごめんなさい。母が迷惑をかけたようで・・・。」
彼女は笑顔で首を横に振りながら、何かを言おうとしていたが、彼女の言葉に母の話をかぶせた。
「母はコロナで入院しています。」
彼女は言葉を失っているようだった。
コロナ禍でこんな喋るやつはすぐに怒られましたよね!
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記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1




