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ミスター・ブルーズ 〜目覚めたら誰もいなかった〜  作者: マフィン
ラジオと嘘と宇宙人

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冷静な判断

 今夜のニュージャージーは、少し風が強い。周りの竹が目に見えて舞い踊っているのが分かるくらいだ。


 だが残念ながらこの風では、装甲車の大砲の弾が運よく逸れるなんて奇跡を期待するだけ無駄だというものだ。


 まぁそもそもこの至近距離なら、どんな強風でも大砲の弾が逸れたところで、当たらないなんていうことはあり得ないが。


 ということは、今から数分か数秒後、大砲の弾が二つ、大きな装甲車から発射されても、我々が生き残るためには、この乗り物が大砲の威力に耐えるか、飛んでくる大砲を打ち落とす、もしくは撃ってくる前に装甲車を破壊するという選択肢になる。


 しかし、さっきの話にもあるように、IGTOやほかの地球外の勢力から身を守ることを考えると、もはやこの乗り物の耐久力に命をゆだねるしかない。


 「大砲が二つ、耐えられるか?」


 カイがケイに尋ねる。


 「分からないよ。さっきの攻撃では何ともなかったけど、それよりはとんでもないやつが来るんだよな?きっと・・・。」


 「ああ!」


 カイが元気に返事をした。


 「じゃあ、わからない。カテリエルを素材に使ったのは、耐久性じゃなくて機動性を重視した結果だから。」


 確かに動きに関しては、乗り物というよりは生き物と言っても問題ないほどだ。


 「相手の武器の成分は?」


 武器の成分を聞かれたのは初めての経験だ。


 「大砲の成分は?」


 カイがそのままこちらに質問を受け渡した。


 「考えたこともないよ?鉄か?いや、銅とか錫かも・・・。」


 焦って知っている金属を羅列してしまった。


 「かたい金属だ!」


 カイは大雑把な答えを出した。


 「わからない・・・。」


 恐らく、どんな成分の大砲が飛んできたとしても、答えは同じだったのかもしれない。


 外に配備されている装甲車の大砲の砲口が二つ、不気味にこちらを見ている。


 「来るぞ!何かにつかまれ!」


 カイが叫んだ。


 ケイと奥さんは防護服越しにアイコンタクトのようなことをすると、奥さんは息子がいる方へと走っていった。


 すると、黒い二つの砲口が赤く光るのが分かった。それから間もなくして、ものすごい破裂音と衝撃が乗り物越しに我々に襲ってきた。外は煙に包まれて、何も見えなくなっている。


 我々が想定をはるかに超える衝撃が、乗り物に襲いかかった。


 「まずい。」


 「船体の60%が損傷してる。次の攻撃に耐えられるか本当に分かんなくなってきた。」


 ケイが操縦席付近にあるモニターを見ながら訴えた。 


 「次の攻撃は何とかしないと!」


 「それはダメだ!」


 カイが反論した。それに対してさらに強い口調でケイは返した。


 「やらなきゃこっちがやられる!」


 防護服越しでも体が震えているのが分かる。恐怖なのか、怒りなのか、感情まではわからない。恐らくどっちもだろうか?


 「家族がいるんだ・・・。」


 確かにその通りだが・・・。

 カイも僕もこれ以上は反論できない。


 「分かった。君に任せる。だが、僕は君の慎重さを最後まで信じるよ。」


 カイはそう言い残すと、操縦盤にしがみつき、外の様子を眺めていた。


 一服しているように、二つの砲口から一筋の煙が上がっていた。恐らく外では次の攻撃の準備に入っているのだろう。様子見にもう一発というやつだろうか?これを耐えられれば良いのだが、確かにケイが考えるように望み薄なのは確かだ。


 ケイは早速操作盤をいじっている。恐らく攻撃の準備をしているのだろう。


 そしてある程度操作をすると、ケイは手を止め、外の様子を伺った。


 どうやらケイは、撃たれた大砲を撃ち落とすつもりなのだろうか?


 ケイは、冷静な判断をしてくれたようだ。


 外では、再び大砲二つが左右に動いている。前方のFBIの車と、後ろには軍隊。随分と異色な組み合わせだ。


 やはり共通の敵には、団結するのは容易いということなのか?


 カイも静かに様子を見ている。正直、二つの大砲を同時に撃ち落とせるとは思えない。どちらかを撃ち落とせたとしても、もう片方はもろに食らうことになるだろう。


 黒い砲口が再び赤く染まった。我々も衝撃に備えた。ケイは操作盤に手をかけ何かのボタンを押したように見えた。


 大砲が何かに当たったような大きな爆発音が外で轟いている。だがどんなに待ってもこちらには、その轟音に見合う衝撃はなかなかこなかった。


 「やったな・・・。」


 カイが呟いた。


 外の様子を見ると、爆発したであろう砂埃と煙が辺りを漂っている。どうやらこちらには二発とも当たらなかったようだ。しかし、なぜだ?


 外の人間たちは、次々と車両から降りて、中にはこちらとは別の場所や上空なども合わせて辺りをみまわしている。


 「バリア?でも確かさっき・・・。」


 僕も中にいてバリアの存在を知っていたはずなのに、頭になかった展開に思わず変な質問の仕方をした。 


 「僕のバリアは完璧だ。再起動しただけだよ。」


 「良いのか?奴らがくるかもしれないぞ?」


 今度はカイが尋ねた。すると、ケイは奥さんと息子がいる方向に視線を向けた。


 「家族を守るためだ。」


 カイはなぜかひょうきんな表情をしていた。多分、こういう空気が苦手なのだと最近思うようになった。


 「ところで、君が作ったこの完璧なバリアって名前とかあるのか?」


 カイが空気を変えるように、質問をし始めた。


 「知らなかったのか?」


 何せ、未来では普通にあるみたいなことを言っていたのに、名前を知らないのは妙な話ではないか。


 「もちろんあるとも!」


 ケイは得意げな顔をしながら続けた。


 「どんなテクノロジーの攻撃からでも守ることができるバリア。アンチテクノロジーシールド!そう!ATシールドだ!」


 どうしてこうエイリアンは微妙にそういうところをついてくるのかねぇ。


 「良いじゃないか!」


 カイは大絶賛だ。


 「それって地球でも使用するつもりかい?」


 「なんだったら、この地球に住むなら、売り込んでも良いかもな。その特許で大金持ちってやつになるのも悪くない。」


 その後著作権の侵害で訴えられて、多額の賠償金を支払う未来まで見えた。


 「だったら、もう少し地球人ウケするような名前の方が良いんじゃないか?」


 外の様子なんて気にもせずに、しょうもない話で盛り上がってしまった。


 「例えば何?」


 「KTシールドは?名前から取ってさ。」


 二人とも渋い顔でこちらを見ていた。


 「何?」


 しかし、二人は何も言わず、この会話から僕を締め出すことに決めたようだ。

 

 「フィールドは?AT・・・。」


 「だめ!絶対!」


 二人が不思議そうな顔をした時、外の景色に違和感を感じた。操作盤のモニターでも何か警告音のようなものが、小さく響いていた。


 「奴らだ・・・。」

正直に言うとずっとフィールドじゃなくてシールドだと思ってました。

評価、ブックマーク等もしていただけるとかなり嬉しいです!

よろしくお願いします。


感想も待ってます。


記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1

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