1938年
この乗り物に操縦席みたいなものがあるのは知らなかった。それこそ、勝手に動いているものだと思っていた。
まぁよくよく考えたら、ならどうやって自分の目的とする場所へと向かえるのかとかいろいろと現実的にありえない考えだということは明白だが・・・。
とはいえこの乗り物も、これといった大掛かりな操作盤は特にはなく、何個かのボタンと、外の景色が見える窓?なのか?窓にしてはまるで肉眼で見ているような鮮明さだ。
外の様子を見ると、なぎ倒された竹の道から、赤、青に光が何個もこちらに向かってきている。
「警察か?」
「いや、FBIもいるぞ。」
「それなんだ?」
ケイはケイで地球の知識はほとんどないようだ。
「IGTOの劣化版。」
「おー、それは厄介だ。」
ちゃんと通じているのかわからないが、多分劣化していればしているほど厄介、つまりFBIを相手にする方が大変だという認識なのだ。
「どうしたらいい?話し合いか?」
「そんなものは通用しない。だったらこのままのこのこ出ていって即拘束の方がまだ良いかもな。」
「なんて野蛮なんだ。」
FBIの車はどんどん増えてきた。まぁ、この時代に宇宙から来た技術の塊が降ってきたとなれば、国が黙ってはいないだろう。
「とにかく逃げた方がいいのか?」
「いや、それは逆効果だ。」
ケイの顔が、どんどん蒼白してきた。
「奴らがなぜ竹をなぎ倒した痕を追ってここまで来たと思う?君がさっき集中砲火で逃げたからだ。」
「だって、攻撃するわけにもいかないじゃないか。」
ケイは口を尖らせた。
「だが逆に舐められているってことなんだよ。彼らは勝てないものに攻撃を仕掛けるほど馬鹿じゃない。」
確かに、かなりの武装はしているとはいえ、勢いから見ても勝てると踏んでいる動きだ。
「まぁ軍が来ないだけマシかもな。」
カイの言葉がフリのように、後ろから軍の装甲車が数台、竹をなぎ倒しながら現れた。
「じゃあ、どうしたらいい?」
今度は僕が質問をした。何せもうケイは質問する気すら起きていないようだ。
「ひとまず、様子を見るのが良いだろう。奴らの野蛮さは知能の低さ故だ。イタズラか何かと勘違いさせれさえすれば、一気に興味を引かなくなる。」
「そもそも僕らみたいに見えてないかもしれないしね。」
「だとしても、サイレンの光がバリアより先に伸びないところから、すぐにバレるだろうけどな。」
カイよ。地球人はそんなに賢くないぞ。
だが残念ながら、その期待を裏切るように彼らは、バリア区域を簡単に通り過ぎ、球体の近くまで車を走らせた。
我々四人は、地球人の様子を伺った。どんどんと軍隊やら役人やらが現れ、車から降りてくる。
「やはり、地球に来るべきじゃなかったのか?」
ケイがうなだれ始めた。
「紛れ込めればこの星は住みやすいぞ。食べ物も美味いし、何も考えてなくても天才の気分を味わえるし。」
2個目の理由こそとても知能が高い種族の言葉とは思えなかった。
「それに今の状況はむしろ好都合かもしれないぞ。」
「好都合?」
それは僕も同じことを考えていたかもしれない。
「こうやって地球人の注目を集めていたら、もし君がいうようにゲルダファやIGTOが君を追ってるとしても、こちらに手を出せなくなる。」
「でもここからどう対処すれば良いのさ?ずっとここで奴らと睨めっこしているわけにもいかないだろ。」
ケイは若干パニック状態になっているような気がした。だが、それもそうだ。僕らよりも大事なものを背負っている。家族だ。家族は地球や宇宙なんかよりも大切だ。
「ミスターブルーズ!」
「なに!?」
急に呼ばれた勢いで、大声で返事をしてしまった。
「この時代の地球人はこういう場合どっちで来ると思うかね?地球人の専門家さん。」
なんかすごいプレッシャーをかけられている気がする。とにかく、この返答で状況が変わる可能性があるなら、一層慎重に答えなければならない。だが、この時代のことはそこまで難しい話ではないと思った。
なぜなら、1938年は世界的に見れば、第二次世界大戦勃発の一年前だ。世界でもドイツが色々と行動を起こしており、世の中的にも戦争が起こる準備をしているような時代。そんな時代だからこそ、融和というよりは、力ずくでも国力を上げるためなら、なんでもやる精神のような気がする。
ドイツなら、簡単だったのになぁ・・・。
「うーん、僕は攻撃的になるんじゃないかなと思うけど。」
「僕も同感だ。」
正解だったのか?それともハズレだったのか?
「で、結局どうするんだよ!」
ケイがとうとう怒鳴った。だが確かにその通りだ。
「攻撃をされるなら、今からでもバリアを起動させてでも良いから、身を隠したほうが安全だ。だが、そうしたら他の地球外の奴らに目をつけられてしまうかもしれない。そのどちらも解決しなければならない場合どうするべきか!」
「どうするんだよ!」
正直焦ったい。
「耐えるのさ!」
いつものものすごいドヤ顔だ。まぁそうなるだろうとは思ったが・・・。
「耐えれるのか?」
前回の地球とIGTOの戦争ではIGTOが惨敗していた。同じ素材の乗り物なら同じ結果は目に見えている。
「奴らも馬鹿じゃない。地球外の技術が欲しいなら、ピストルやら何やらで攻撃したとしても、そう簡単に破壊行為をしてこないはずだ。だから、ある程度の攻撃に、こっちが特に何も反応しなければ、軍の基地かどこかに連れて行かれるだろう?武装が難しいところまで行けば、対話に持って行きやすくなる。何せ、地球人自体は柔だからね。」
やはりカイは賢かった。ケイの望む通りの結末を迎えられそうだ。心配事としたら、ケイたちが拘束されるリスクがあるというところだが、そこは僕とカイでどうにかなるだろう。
だが、そんな良いアイデアだったが、地球人の思考の先を行き過ぎていた。奥で待機していた装甲車が2台こちらに近づいてきた。
2台とも頭頂部に大きな大砲が取り付けられており、不気味に左右に動いていた。
「カイ?」
「ああ、見えてるさ。」
カイも驚きを隠しきれていなかった。
誰もが予測しない事をするのが地球人!
評価、ブックマーク等もしていただけるとかなり嬉しいです!
よろしくお願いします。
感想も待ってます。
記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1




