ケイ
ニュージャージー州の農村地帯の外れにある林の中で、今火星人と地球人とどっかの星のエイリアンが、一触即発の状況にあった。
こんな言い方をされると、張り詰めた緊張感と命のやり取りをする瞬間を想像する。そしてだんだんと防護服のエイリアンが近づいてきたが、奴が持っている銃に見覚えがあった。
「誰だお前ら!このシールドを解除することができるやつは、まだいないはずだ。」
ちゃんと中年男性の日本語で聞こえたその言葉には、少し恐怖の色が伺えた。
「いや、このシールドは残念ながら、数年後に重大な欠陥が見つかり改良され、それこそ、誰も破ることのできない、最強のバリアになるが、今は簡単に破れるバリアだ。」
カイが、またもや意味深なことを言い始めた。
「何を言っているんだ貴様!」
向こうも分かっていないようだ。
「おっと、少し先の未来の話をしてしまったかもしれない。」
「だから、なんの話をしているんだ?貴様らはIGTOの回し者か?」
あれ?逆にIGTOだと思っていた。銃がいかんせんIGTOと戦った時に、彼らが使っていた銃にそっくりだった。それにこいつが乗っている乗り物もIGTOの奴らの乗り物と一緒に見える。
「まぁ、この時代の僕はそうかもしれないけど、今は違うよ。」
え?カイってIGTOにいたのか?だが、その疑問が口から発せられることはなかった。
「だったら、奴らなのか?」
「違うよ!古い友人さ。」
カイがそういうと、防護服の男の向けていた銃の銃口が、少し下に逸れたのがわかった。
「知り合いか?」
「ああ、姿は違うけどな。」
「シェイプシフターということは・・・。」
何かぶつぶつ言っている防護服の男を見て、カイは両手を少し広げ、笑顔を見せた。
「お前カイか?」
「ケイ!」
二人はおそらくお互いの名前を呼び合いながら駆け寄り、そして久しぶりの再会を祝うように、熱い友情のハグを交わした。二人の歓喜の笑い声は、林中に響き渡っていた。
「なんだよ!脅かさないでくれよ。」
そういうとケイは、残りの二人の方を向き直し、手招きをした。
「大丈夫だハニー、出てきていいぞ。」
そういうと、二人の防護服を着たエイリアンも、恐る恐るこちらに向かってきた。
「紹介しよう、僕の妻と息子だ。」
二人とも挨拶をするかのように、手を上に上げていたが、防護服のせいで、どちらが、奥さんでどちらが子供かあまり見分けがつかなかった。
「ハニー、こちら大学のルームメイトのカイだ。」
「どうも!」
カイは軽い感じで挨拶をした。
「そしてこちらが、宇宙の救世主、ミスターブルーズです。」
そろそろ本名名乗ろうかな?毎回、紹介されるたびに少し恥ずかしい。だが今回は幸いにも防護服のおかげで、ミスターブルーズに対する反応はあまり分からなかった。
「まぁ立ち話もなんだし、船においでよ。色々積もる話もあるしさ。」
「ほいじゃ、ちょっとお邪魔しようかな?」
カイがそういうと、三人は足早に金属の球体へと戻っていった。
「あのー、できればバリアを元に戻してはいただけませんかね?」
「ああ、すまんね。」
そう言うとカイは、メガホンレーザーを空中に向けた。辺りの景色が少し揺らいだが、特に変化は見られない。
「これでよし!」
「後でその重要な欠陥について聞かせてもらえないかな?」
「自分で気づきたいくせに。」
「お!よくお分かりで!」
まるで二人は酔っ払いの親友同士のように、大声で楽しそうに会話をしていた。
全員が球体へと入りきると扉が閉まり、真っ白い部屋に閉じ込められた。すると、小さな振動の後に部屋自体がスライドしている感覚になった。
「全く、重力には慣れないなぁ。」
ケイがぼやいた。
すると、今度は謎の熱湯が勢いよくこちらに吹き付けてきた。
「熱!」
だが、防護服の三人は良いとしても、カイまでも全くリアクションをとっていなかった。だが、こちらのリアクションがよほど滑稽だったのであろう。カイはただただ笑っている。
「熱くないの?」
「別に・・・。」
本当に熱くないようだ。
「なんで・・・。」
思わず疑問の声が漏れた。
「多分、君は地球にいる時間が多い分、汚染物質も多いんだよ。だから念入りに消毒してくれているに違いない。」
カイが解説してくれた。
「そういえば、君、地球人だよね?」
「そうですけど・・・。」
表情が見えないから、相手が何を考えているのか分からない。
「汚染物質?」
するとカイが笑いながら、また解説を続けた。
「彼らには、この地球に蔓延っている病原菌やら細菌の抗体を持っていないんだよ。だから、こうやって防護服も着ないと外に出れないし、消毒をしないと死んでしまうんだ。」
今の解説で、細菌の怖さと人間の凄さを改めて実感した。するとケイが、踊るように熱がっている僕に近づいて、防護服の顔を近づけてきた。
「もしよかったら、後で君の血液を採取させて欲しいんだけど良いかなぁ?」
いや怖いでしょ?これは僕が過剰に反応しているだけなのか?
「大丈夫、そんな量取らないから。」
それは、果たして正しい知識を持ち合わせている上でのそんな量取らないなのか?異星間でのコミュニケーションは、こういった認識の差でとんでもないことが起きてしまう。
「実は、あの子に防護服なしでこの地球で生活して欲しいんだ。そのために君の血液で、抗体を作りたくて・・・。」
「わかりました。良いですよ・・・。」
恐る恐る答えた。そんなことを言われたら、断れるわけがなかった。
「ケイ。ここで生活するって、お前何かに巻き込まれてるのか?」
カイの表情は鋭かった。
「ああ、今話すよ。」
そう言うと白い部屋の扉が開き、球体の中身が姿を現したが、ほとんど白い部屋と変わらなかった。
昔健康診断で採血されたらその場でぶっ倒れたことがあります。
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記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1




