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ミスター・ブルーズ 〜目覚めたら誰もいなかった〜  作者: マフィン
ラジオと嘘と宇宙人

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ニュース速報

 10月末のニュージャージーの夜は、半袖だと少し肌寒かった。時折吹くそよ風ですら鳥肌が立ち、体が勝手に小刻みの動き出す。


 この田舎町の静寂を壊すかのようにラジオのニュース速報が鳴り響き、ニュースを読むアナウンサーの声は淡々とニュース原稿を読み始めた。


 「先ほど、シカゴ天文台によると、火星の表面上にて大規模なガス爆発に似た現象が確認されたとの情報が入ってきました。これが我々が住む地球になんらかの影響があるかどうかは、まだ分かっておりません。詳しい情報が入り次第すぐにお伝えいたします。それでは引き続き、ニューヨークプラザホテルからの中継をお楽しみください。」


 ラジオから再びジャズミュージックが流れた。キャブキャロウェイの軽快な掛け声と、ドラムのビートがメガホンレーザーに響いている。


 「なんだ?今のしけたニュースは?何が宇宙人関連のニュースなんだろうかね?」


 カイは相当がっかりしたようで、使う言葉がいつも以上に荒々しかった。


 「もしかしたら、ラジオではすでに他の情報が流れていたのかもしれないし。」


 「それに火星人が地球に来るなんて話、今更驚くことでもない話だけどな。」


 カイは、あたかも当たり前かのような口調だった。


 「それはどう言う意味?」


 こちらの質問にカイは目を丸くして答えた。


 「だって、火星人が地球に初めて来たのは奈良時代の日本だろ?確か竹かなんかを通じて来たんじゃなかったっけ?」


 竹取物語の話をしているのか?だとしてもあれはフィクションである。いや?果たしてそう言い切れるのか?


 どちらにしても、今回の事件に関してはまだ何もわからないままだ。


 「まぁいい。このラジオを聞いていたら、そのうちまた情報が入ってくるかもしれないしな。」


 カイが想定した未来は、割とすぐに実現した。再びあの低く渋い声のアナウンサーの声が、メガホンレーザーから発せられた。


 今度は、大学教授が二入登場して、恐らく何もわからないのに、無理やり結論を出そうと頑張っていた。我々の時代の人間ですら宇宙については、分からないことだらけのはずなのに、90年近く前の人々がなにかわかるはずもない。


 だが、我々の時代の人たちも、宇宙の知識の乏しさがどれほどなのかは、この時代の人たち並みに分かっていないとも思う。


 しばらく、ラジオはこの調子が続いた。なぜ大学教授という人種は、こう話が長い生き物なのか?しかも、もう少しわかりやすく話せそうなものだが、いつも話を難しく表現して、その学問分野を近寄りがたいものにしがちだ。その方が、自分たちの権威を守れるということなのだろうか?


 「なぁ?もうジャズは終わりなのか?だったら、そろそろ町の調査を始めるとするか。」


 カイも恐らくトンチンカンなことしか言わない地球人たちの会話に嫌気がさしたのであろう。メガホンレーザーのスイッチに手を伸ばした。


 だがその時、ラジオ放送に動きがあった。


 「ただいま入った情報によると、多数の隕石が今大気圏を抜け、ニュージャージー州の農村地帯に落下する見込みだとの情報が入りました。」


 アナウンサーはわかりやすいような緊迫した声色だった。


 「お!だんだん面白くなってきたぁ!」


 カイのテンションが上がっている。


 「多数ってどのくらいの規模なんだよ!」


 多数とは2個以上でもう多数と定義できる。つまり、数十個でも数千個でも多数になる。


 「分からん!何せ、こんな現象どの時間でも起きたことがないからなぁ。」


 聞き捨てならない言葉が、カイから発せられた。


 「ちょっと待って!それどういうこと?」


 「そのままの意味だよ。だから、僕も困っているんだよ。メガホンレーザーはこの時代に僕たちを送り込んだ。だけど、この時代に地球と宇宙人の接触は確認されていない。もちろん、宇宙人以外の宇宙からの接触もゼロ・・・。と今さっきまで思ってた・・・。」


 カイが分からないとなればこちらはもっと分からない。それかやはり1938年という年号に感じる違和感はあっているのだろうか?


 カイはまた一人で状況の整理をしている。


 「でも、このメガホンレーザーがこの時代に連れて来たということは何か意図があるはず。それがこのラジオに関係しているのか?」


 「間違いってことはないわけ?」


 そう言いながら、もう一つの違和感に気がついた。


 「こいつに間違いはない。ダイナー星の製品だぞ!」


 「でも、もしその隕石が大気圏を過ぎて、ニュージャージーの農村地帯に落ちるのなら、そろそろ見えても良い頃じゃない?」


 カイは、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして、そのまま上を見上げた。


 空は美しい星空。雲ひとつない天気だ。昔は今ほどネオンやら街灯が少ないおかげで、一層星が綺麗に見える。現代に戻ったら見れない光景だろう。


 だが、そんな綺麗な星空を脅かすような、隕石どころか流れ星ひとつも落ちて来る気配はない。


 「確かに・・・静かだ。」


 その時、再びラジオ放送に動きがあった。


 「たった今、アメリカ政府によりますと、ニュージャージーの農村地帯に複数の隕石が墜落したと情報が入りました。ただいま墜落現場の調査のために、軍を派遣したとのことです。地元住民の方は決して、隕石に近づかないでください。」


 だが、実際のニュージャージーは静寂そのものだ。


 「嘘つき!」


 カイが大声を上げると、その声はどこまでもこだました。

最後の嘘つきは某コメンテーターがモデルです。


評価、ブックマーク等もしていただけるとかなり嬉しいです!

よろしくお願いします。


感想も待ってます。


記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1

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