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ミスター・ブルーズ 〜目覚めたら誰もいなかった〜  作者: マフィン
美女と野獣とモンスターハンター

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メイジー

 ドラゴンの雄叫びと共に、大きな地面の揺れを感じた。果たして作戦はうまく行っているのだろうか?さらに言えば、我々は作戦の協力をしなくて良いのだろうか?


 確かにこの時代の人間ではないが、ここまで関わってしまったのなら、関係ないと言うのも何か違う気がする。


 だが、この時代の人間ではない我々が片付けなければならない問題がある。


 そう、今目の前に・・・。


 「それで?」


 最初に仕掛けたのはカイの方だった。目の前のカサンドラは不敵な笑みを浮かべている。


 周囲は怪物の雄叫びや地響きで雑踏としているはずなのに、今、我々は気まずい沈黙に包まれている気がした。


 「それはどういうトリック?」


 「あなたのそのおもちゃを使ったらできないの?」


 声はメイジーの声だった。カサンドラの姿から発せられるメイジーの声・・・。なんとも頭が混乱しそうだ。


 「いーや、その必要はない。ただ、僕の仮説が合っているのか答え合わせがしたいだけだ。」


 カイは、いつものように余裕の表情でメイジーと対峙している。


 正直、気まずい。何せ彼女にとどめを刺したのは自分だ。まぁ結果的にはとどめを刺しきれていなかったのだが・・・。


 「正誤を知りたいなら、その仮説とやらを聞かせてもらわないと。」


 メイジーと目が合った。淡い恋の魔法のようなビビッとくる感覚ではなく、怪物に遭遇した時の背筋の凍る恐怖心に近いものを感じた。


 カイはまた得意げに演説を始めるようだ。


 今度は怪物ジキルの低音の響く雄叫びが聞こえた。よほど壮絶な戦いが繰り広げられているに違いない。


 「君が彼の銀の矢によって脇を貫かれた時、君は咄嗟に細胞の改造を試みた。この星の生物のDNAを解析し、銀に耐性を持つ部分を分析し作り替えた。その顔を選んだのは・・・、憧れとかか?でも彼は前の方が良かったと思うよ?」


 自分のことを言われているのは、すぐに分かった。


 「いつから気がついてたの?」


 「彼女たちが銀に弱いと聞いた時点ですぐにさ。そもそも我々は地球外生命体の痕跡を頼りに、一番地球人とは遠いやつを探してたから当然と言えば当然なんだけどね。」


 「本当にそれだけ?」


 果たして、コンビニ店員の彼女の顔と同じであることは、関係あるのだろうか?


 だがこういう時は、好奇心を押し殺して、黙って話を聞いているのが吉だ。


 「そういえば彼、全然話してくれないけど?彼からも話が聞きたいなぁ・・・。」


 この二人は心が読めるのか?


 「どうせ、彼は何も考えてないと思うぞ?何せ盛りのついたウサギのように君を追いかけ回してたんだから。」


 「あら、嬉しいじゃないの?」


 今、歴史上で初めて、地球人が宇宙人に馬鹿にされている瞬間だ。


 「だったら、この顔じゃなくて別の姿の方が良いわね!」


 てっきり彼女の姿がカサンドラから、コンビニ店員の彼女のいわゆる自分が知っているメイジーの姿になるものだと思っていた。


 ところが、いくら経っても不敵な笑みを浮かべたカサンドラがこちらを見ているだけだった。


 またしても、騒音が鳴り響く沈黙空間が出来上がった。


 「どうなってんのよ!」


 「おお、ようやく気がついたか?もう君はその姿から変わることはできないよ。」


 「あんた!どういうつもりよ!」


 なぜか、彼女が焦っている。確かに自分の姿に戻れなくなるのは嫌かもしれないが、それにしてもそれ以上のことが起きている焦り方をしていた。


 「君にはこの事件の後始末をしてもらうよ。もうすぐこの屋敷には、イカレる群衆たちが押し寄せてくるはずだ。それこそ、モンスター映画にはお決まりの展開だね。」


 「なるほど・・・。私が身代わりってことね。」


 「おっしゃる通り!僕は冤罪で処刑される映画が大っ嫌いでね!特にグリー・・・。」


 カイの目に悪魔が見えた。


 「あんたまさか!」


 メイジーの目は見開いていた。


 「そのまさかだ。」


 カイが静かに答えると、明らかにメイジーの様子がおかしくなった。そしてカイに助けをすがるように、膝をついた。


 「何が望みよ!」


 「情報だ。」


 「なんのよ?」


 「すべてだ。」


 メイジーは黙った。すると、カイは彼女の胸ぐらを掴み上げた。


 「貴様は何者だ?あの実験はなんのためだ?」


 すると今度は笑い始めた。彼女の高笑いと共に、屋敷の奥から雄叫びと女性の悲鳴が聞こえてきた。


 「あんた勘違いしてない?自分が優位に立っていると思っているかもしれないけど、私が喋らなかったら、今までのことは全部水の泡じゃない。私が、タイムロックごときを怖がるとでも思っているわけ?」


 メイジーはそう言うと、雄叫びのように笑い声を上げた。


 「それに所詮私が彼女の身代わりになったところで、私が彼女として処刑されることに変わりはない。そうなれば、彼女はさらに生きづらくなるだけじゃない。」


 確かに彼女の言う通りだ。と意見したいところだが、一体これはなんの話をしているのかわからない。話の流れ的に分かったことは、メイジーが宇宙人かもしれないと言うことだけだ。


 「残念だったわね。時の番人さん。どうやらあなたの負けのようね。結局あなたはこの時代に来たのに、何一つ知ることなく終わるの。そして一つの命を奪った罪悪感に悩まされながら、これからこの時を彷徨い続けるがいいさ!」


 そんな話をしていると、東の空がオレンジ色に輝きはじめた。どうやら、時期に夜が明ける。


 カイは黙ってメイジーの悪態を聞いていた。表情ひとつ変えることなく。だが、メイジーの悪態はまだ止まらなかった。

 

 「それに、私があんな下等生物に成り下がった種族に簡単に殺されるわけがないわ。必ず生きて再び君たちの前に現れる。その時はもう、誰も私を止められないわ。」


 屋敷の外の方から、群衆の声が聞こえてきた。メイジーはそのまま屋敷の外へ飛び出した。


 「待て!」


 咄嗟に出てしまった。しかし、メイジーはそのまま姿を消した。


 「追わなくていいのか?」


 「それは君の問題だろ?」


 「いや、そういうことじゃなくて!」


 だが、カイは気にも留めていない様子だった。


 「さーて彼女が囮になってくれている隙に、我々もこの屋敷から脱出しないと、イカれた科学者かなんかのレッテルを貼られて、吊るし首だぞー。」


 そう言うと、カイは屋敷の中へと向かっていった。


 本当に終わったのだろうか?

ここまでいろいろあると何をもって終わったのか分からなくなりますよね。


評価、ブックマーク等もしていただけるとかなり嬉しいです!

よろしくお願いします。


感想も待ってます。


記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1

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