表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミスター・ブルーズ 〜目覚めたら誰もいなかった〜  作者: マフィン
美女と野獣とモンスターハンター

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/86

勝機

 ドラゴンになったカサンドラが、天井に届きそうなくらいの大きな口を開けると、口の中が太陽のような光を発し始めていた。


 いやな予感しかない。


 「どこかに隠れるわよ!」


 ドリゼㇻの掛け声で皆が何かの後ろに隠れた。しかし、カイだけは慌てることなく、その場に留まっていた。


 「ちょっと、だれかあの色男どうにかしなさいよ。」


 しかし、カミーラもほかの狼人間たちも行きたがらない。


 「そこのお兄さん!早くこっちに来た方がいいわよ!」


 カサンドラの口から熱々の炎が見え始めていた。


 「そんなことをしても、今の彼女の炎だったら、全員丸焦げだな。」


 カイは陽気な口調でまるで酔っ払いのように、千鳥足でがれきの上に登り始めた。


 「お!ちょうどいいところにいいお酒があるじゃないかぁ!」


 カイはワインの瓶を一瓶つかんだ。だんだんとカサンドラの口の炎の熱気が、こちらにも伝わってきた。


 「ちょっと!それは・・・。」


 「そう!君たちの救世主さ!」


 カイはそう言うと、手に持っていたワインの瓶をカサンドラに投げつけ、メガホンレーザーで狙いを定めた。メガホンレーザーの青い光がワインの瓶に当たると、手榴弾のように爆発した。


 カサンドラの叫び声が空気を揺らし、我々の鼓膜に襲い掛かってくる。


 「効いてる!」


 「でも苦しんでるわ!」


 二人の妹は、心配そうに姉を見つめながら、憎悪の視線をカイに向けようとしているのが分かった。


 「大丈夫!よく聞く薬は苦いっていうだろ?」


 だが、カサンドラが口に含んでいた炎は、飲み込むわけにもいかず、勢いよく放たれてしまった。


 「ちょっと待って!」


 カイの情けない一言とともに全員が目を瞑り、灼熱の炎を全身に感じる心構えをしていた。しかし、ある一定の温度まで上がると、その先の熱を感じない。もしかして、もう死んだからなのか?目を開けたら、家族が出迎えてくれるのか?


 だが実際はよくも悪くも、黒い影が迫りくる炎を受け止め、我々を守っていた。よく見ると、炎を明りに照らされ不気味な顔がこちらを見ていた。


 「ジキル爺さん!」


 影の正体は、あのおっさん怪物だった。


 「皆さん、ご無事ですか?」


 聞き慣れない若い女性の声が聞こえてきた。これの正体は、さっき矢で射抜かれた恐らくジキルの娘のエレナだった。狼人間だったころとは打って変わって、小柄で華奢な年ごろの女の子だ。髪の毛が銀髪なのは生まれつきなのか?


 「無事だけど・・・。」


 やはり、みなジキルのことを心配した。だが、ジキルはびくともしていない様子だった。


 「早く娘を外へ逃がしてくれ!」


 どうやら声帯まで大きくなったせいか、ジキルの声が、全身の骨まで震わせ、体の中から彼の声を感じた。


 「そういうわけにはいかない。君たちには手伝ってもらいたい。」


 ジキルはカイをにらみつけた。


 「わかったわ!」


 「おい!エレナ!」


 またもやジキルの声が骨に響いている。重低音のせいで、若干胸が苦しい。


 「ジキル爺さん、少しボリュームを抑えてくれる?これじゃあ、姉さん助けるころには、みんな難聴よ。」


 「すまん、だがしかし・・・。」


 ボリュームが変わらず、皆胸や耳を抑えて苦しんだ。


 「分かってる。でも私、みんなを助けてからって言ったでしょ?だから、ヴァインズさんも助けないと・・・。」


 エレナの言葉にジキルはやるせない表情を浮かべて、すっかり黙ってしまった。その彼の背後にいるカサンドラの叫び声は収まったが、まだ大きく呼吸が乱れている様子だ。


 「で、どうしたらいいの?」


 「そこが問題なんだよ!今のじゃまだ足りないんだ!」


 カイのドリブルモードが始まった。


 「そういえば、何で姉さんにワイン瓶なんか投げたのよ!」


 ドリゼㇻは常に怒鳴っているような口調だ。


 「彼女を落ち着かせるためさ。正確には彼女の身体を?」


 「でも、あれじゃ逆効果じゃない?ほら、苦しんでいるわ!」


 カミーラがカサンドラを指さしながら訴えた。 


 「恐らく急に血圧が変わったかなんかでだろう。今の彼女の皮膚はなんでも吸収してしまう。つまり、いろんな部分がいろんなものの影響を受けやすい。それが逆にチャンスなんだよ。」


 「結局、どうしたらいいのよ!何をしようとしているの?」


 「ドリゼラ様、落ち着いてください。」


 よくエレナはこんな怖い人に物言いができるなと思った。


 「ワインってことはアルコール?」


 「残念ながら、その逆だ。アルコールのせいで完全に沈めることができなかった。」


 「どういう事よ?」


 ドリゼラの一言に、カイの顔が驚きの表情へと様変わりした。


 「気づいてないのか?」


 「何が?」


 「君たちがなぜ血を吸うと、力を得られるのかだよ。」


 「確かに、考えたこともなかったわね!」


 カミーラの能天気な言葉にエレナもうなずいて賛同した。


 「アドレナリンだ。」


 「アドレナリン?」


 「そう、アドレナリンが敏感に体が反応して、身体能力を高めたんだ。恐らくあの魔女のさじ加減で、君たちは怪物・・・いや、生物兵器にさせられていたんだ。」


 血を吸うために人々を追いかけ、そして血を吸う・・・つまり、人殺しをする。確かに、そうだ。


 「だから、素面の連中よりも、酒飲みの貴族の方が力の入り方が全然違ったのかー。」


 カミーラの発言が少し怖かった。


 カイの話はこれだけでは終わらなかった。


 「だが、彼女が用いたその科学の予定では、君たちが自我を保っているのは想定外だった。」


 「やっぱり、私たちも今の姉さんみたいにするつもりだったってこと?」


 「だが、ならなかった。なぜなのか?僕はてっきり、このワインのポリフェノールが、アドレナリンの分泌を抑える働きをしていたと、思ったんだけどなぁ・・・。」


 「じゃあ、狼人間たちは何で私たちの言うことを聞いてくれていたのよ?別にワインなんて飲んでなかったわよ?」


 「確かに私が狼の時、断片的に記憶があるんですよね。でもいつも血まみれなんです。」


 かなり残虐な光景を眼にしていたはずだが、あまりそこに関しては鈍感のようだ。というよりも鈍感になってしまっているのかもしれない。


 「肉にもポリフェノールが多少含まれてるからな。でもそこまで多くないから、潜在意識の中にある主人のために働いていると言う自覚だけが、その結果に結びついたのかもしれないな。」


 「だから、餌をあげないと言うこと聞かなかったのか!」


 「じゃあ、私たちは?」


 カイは考え込んだ。


 「そうだ!ヴァインズさんたちは、ワインを飲んでいないじゃないですか!」


 急にエレナが大きな声を出した。


全然関係ないんですけど肉とポリフェノールって単語が並ぶと高級ステーキが頭に浮かぶのは私だけでしょうか?


評価、ブックマーク等もしていただけるとかなり嬉しいです!

よろしくお願いします。


感想も待ってます。


記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ