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ミスター・ブルーズ 〜目覚めたら誰もいなかった〜  作者: マフィン
美女と野獣とモンスターハンター

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59/90

身代わり

 なぜカイはメイジーを止めろと言ったのか?怪物から襲われているこの状況においては、メイジーの行動は正しいはず。


 そんなことを考えている間にも、矢は勢いを逃がさず、怪物に向かって一心不乱に近づいていた。


 怪物も銀の矢を視認しているようだったが、もう何が何でもどうすることもできない状況だ。


 このまま、怪物の胸に矢が直撃すると誰もが思ったその時、怪物と銀の矢の前を毛むくじゃらの何かが横切った。


 もうこの時代に来てから、何度も遭遇した姿ですぐに何が通り過ぎたかは分かった。


 矢は狼人間の脇を貫いていた。


 「どういうこと?狼人間が他人をかばったわ・・・。」


 カミーラは、驚きを隠せない表情で銀の矢が刺さり倒れこんでいる狼人間を眺めていた。


 狼人間は体は次第に小さくなり、やがて一人の小柄な女性に姿を変えた。先ほどまでの強靭な狼人間の体とは裏腹に、細い手足に華奢な肩幅のそよ風ですら耐えられず吹き飛んでしまいそうな少女だった。


 「エレナ!」


 カサンドラが叫んだ。さっき、狼人間に連れ去られる直前に、おっさんが口にしていた名前だ。


 カサンドラの隣にいたドリゼラとカミーラも、すぐに少女の元へと駆け寄り、ワインで汚れたテーブルクロスで彼女をくるもうとしたが、すぐに後ずさりした。


 「ちょっと、あんたたち!」


 恐らく我々のことだろう。


 「銀の矢を抜いてちょうだい?私たちは触れないから。」


 なぜかカイの顔は明らかに渋っている。だが、すぐに後ろにいた怪物が彼女に近づいてきた。


 「エレナがかばったってことは、あんたもしかして・・・。」


 「ジキルじいさん?」


 ドリゼラとカミーラの問いかけに対して、怪物は一瞥するだけでそれ以上答えらしいアクションはなかった。


 怪物はエレナのわきに刺さった銀の矢を引き抜こうと手を触れた瞬間、手から肉が焼けるような香ばしい臭いとジューシーな音が聞こえてきた。

 

 怪物は苦悶の声を上げながら、何とか矢を引き抜いた。


 すぐにドリゼラとカミーラがテーブルクロスで体をくるみ、傷口の手当てを始めた。


 「ジキル!なるほど!」


 カイがいきなり大声を上げ、怪物はメイジーをにらみつけている。おそらく復讐をしようとしているのだろう。


 メイジーの恐怖にかられた顔が、こちらに近づいてきた。


 「ここはまずい!逃げるよ!」


 「おっとー、そうはさせないよ、お嬢さん!」


 僕らの間に入ってきたのはカイだった。


 「ちょっと何考えてるのよ!ここは敵だらけなのよ!」


 怪物とヴァインズ三姉妹が、こちらをにらみつけている。


 「それは僕たち次第だよ。何せ彼らの本当の狙いは僕たちじゃない。君なんだから!」


 メイジーの目が一瞬変わった気がした。


 「何が言いたいのよ。」


 メイジーも強気の姿勢で対峙してきた。だが、カイの言葉は容赦ない。


 「単刀直入に行こう!君は魔女だ。」


 「え・・・?」


 聞き返したと言うより、言葉を失っている。


 「バカじゃないの?さっきも言ったけど私は、バチカンから派遣されたモンスターハンターよ。」


 「君こそ、なぜバチカンという名前を出して信じてもらえると思うんだい?この時代にアジア人の女性がそんな仕事をさせてもらえるわけがないだろ!だからこそ、世界中の女性たちは今後何十年何百年とかけて平等を求めて行動するんだから。」


 確かに、何もおかしいと思わなかった。それこそ先人の女性たちの起こした行動の成果だ。


 メイジーは時々こちらに助けを求めるような表情を向ける。


 「でも、彼女はヴァインズ三姉妹に捕まっていたじゃないか。」


 あの顔に負けてしまった。メイジーは嬉しそうに何度も頷いた。そんな彼女が本当に魔女なら、相当な悪女だと思う。


 「そりゃ彼女たちを怪物に変えてたんだ。復讐を企てられても仕方がないだろう。」


 カイの言葉を聞いて一番驚いていたのは、ヴァインズ三姉妹だった。


 「どういうわけか彼女たちは怪物化しても自我を失わなかった。理性を保ったまま獣の力を手に入れた彼女たちには、さすがの君でも敵わず囚われの身となっていた。その後に僕らに会ったのだろう?」


 「そうよ!」


 今度はカサンドラが険しい顔で話し出した。


 「私たちだけじゃないわ。この屋敷に仕えてくれていた者たちまで、獣の姿に変えられてしまった。」


 今度はドリゼラが少し前に出て、話し始めた。


 「だから、復讐の準備を邪魔されないためにワインセラーに閉じ込めていたのよ。」


 「あの催し・・・。」


 今度はカミーラがひょこひょこと飛び跳ねながら出てきた。


 「私が考えたのよ。私たちの力を最大に引き出すには血が必要だったから、町で悪いことばっかりしてる人たちを集めて、その人たちの血をいただくって言う作戦!」


 「この町には表立って悪いことをする人たちと、裏で人を使って人を騙したり、金の力を使って思い通りにしてきているこのパーティーの招待客のような成金がわんさかいるからねぇ。」


 今度はドリゼラが恨みったらしく言い放った。


 「あなたも刑務所にいたからてっきりそうだと思ってた。」


 カミーラが純粋な眼差しを送ってきている。ウェイターに抜擢された連中は、彼女らにとってはいわゆる表立って悪いことをしている人たちのようだ。

 

 「でもあそこなら入口は銀の扉だし、裏口もとっくの昔に封鎖したはずだったのに、あんたたちはどうやって逃げ出したのか・・・。」


 ドリゼラは、頭を抱えていた。


 「すまん、それは僕の責任だ。」


 カイが気まずそうに答えた。


 「じゃあ、あの炎も?」


 「恐らく呪いか何かか?」


 メイジーはだんだんと必死な表情になっていた。


 「違うわよ!だってあそこはワインセラーよ?アルコールいっぱいだし、死体に溜まってるガスとかいろいろあるじゃない?」


 正直、カサンドラたちが嘘をついているとも思えなくなってきた。だが、一つだけ気になることがある。


 「彼女は銀の矢を装備してるボウガンを持ってたよね?」


 「そうよ!あの時あなたたちもその銀の矢を見て、味方だと思ったんでしょ?」


 その一層声のボリュームが上がったところが、逆に疑わしく感じ始めた。


 するとカイが無表情でこちらを見た。


 「ミスターブルーズ、彼女の矢をとってくれ。」


 さっき怪物のジキルのおっさんが投げ捨てた銀の矢が地面で光っていた。


 「これがもし君のなら、彼から手渡しで受け取れるはずだろ?」


 カイはニヤリとした表情を向けた。


 確かに受け取れるか否かが、決定的な答えだ。銀の矢を拾うとそのままメイジーの元へと向かった。

メイジーはなんとも言えない表情でこちらを見ていた。


 彼女は本当に魔女なのか?出来れば何事もなくこの矢を受け取ってほしいが・・・。


 銀の矢は、ほんのり熱を持っている。

銀の矢って実際作ったらいくらかかるんだろう?


評価、ブックマーク等もしていただけるとかなり嬉しいです!

よろしくお願いします。


感想も待ってます。


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