核ミサイル
日本の本土においてこんなに大きな戦争が行われるのは、太平洋戦争以来だろう。民間人は意図せずして運よく巻き込まれるような場所にはいない。
そんなこの誰もいない世界は、偽りの世界だった。そして、今、その偽りを暴き、現実を取り戻すための戦いが行われている。
その戦いにおいて、核兵器を使ってしまえば、奴らに対抗できても、結局我々の現実奪ってしまうことに変わり無い。それだけはなんとしてでも阻止しなければならない。
だが、残念ながら、核兵器使用の準備が着々と進んでいることが、カニカマから告げられている。さらに、こちらから彼らに語りかける手段がない。
何か阻止する手段はないだろうか?
その時、スマートフォンの通知が鳴り響いた。総理のスマートフォンの通知音だ。
「そうだ!」
「バリアがないから、普通に電波が入ってくるじゃないか!」
単純なことをすっかり忘れていた。すぐにスマートフォンのSNSアプリを起動した。やはりタイムラインは、今のこの状況に関するもので埋め尽くされている。
そしてすでに、アメリカが核兵器を使おうとしていることが、大きな話題に上がっている。しかも、驚くべきことに、アメリカによる核兵器使用については、この戦いに参加している国々の総意でいつの間にか決められていることだった。
もちろん、それに対してSNSでも賛否の声で溢れている。世界共通の敵が現れるとこうも事がとんとん拍子で運ぶものだと、改めて感心してしまう。
すると、今度は奴らもおかしな動きを始めた。
「あいつら、何してんだ?」
「さすがに、戦況が不利っていう自覚はあるだろうからなぁ・・・。」
奴らは、艦隊を後退させている。
「レットストーンだ!」
カイは、叫んだ。
「これがなんだって言うんだよ。」
そういえば、総理はレットストーンのかけらを持っていた。
カイは、助手席からこちらに体を向き直した。
「いいか?奴らは君たち地球人を見下してる。その反面、奴らは君たちを恐れてもいる。」
「どういうこと?」
本当によく分からなかった。
「僕も正直君たちのことが怖いよ。たかが数千年でここまでの技術進化を遂げるなんて!」
褒められているのか?
「君たちがまだ無知で愚かなのも事実。ところが、今日で無知で愚かで高度な生命体ということが、銀河中に証明されてしまった。」
「そうなるとどうなるんだ?」
「保護が受けられない。」
カイの語調的には、非常に由々しき事態であるようだ。しかし、我々は無知すぎてその実感がまだ湧いていない。
「保護って奴らのか?」
総理もだんだんと、こちらの話について来れるようになってきている。
「そうだ!」
「その保護がなくなるとどうなる?」
「天の川銀河は、無法地帯になるだろうね。それこそ、IGTOなんかよりもヤバいやつらが侵略しにくるかもしれないな。」
カイの話は必ず、侵略される話になるような気がする。
「じゃあ、どうなればこの星にとってベストになるんだ?」
総理は真剣に尋ねた。
「保護はもう無理だろう。だが、監視されるくらいだったらまだ望みはあるぞ。」
もちろん、こちら側はまだピンときていない。
「まぁ、それで行くとして、私たちはどうしたらいいんだ?」
カイは、総理を指差した。
「私?」
「違うよ。あんたじゃなくて、あんたが持ってるレットストーン!」
「それをどうするつもり?」
「爆発させる。」
「どうして?」
ワンボックスカーの中は騒然とした。カニカマも持っているポテトチップスを落とした。
「もちろん、ただ花火みたいに爆発させるわけじゃないぞ!」
花火みたいな規模で済めばいいが・・・。
「カニカマ。核爆弾の件は?」
「もう発射準備が、完了してるみたいだ!あとは大統領からの発射命令だけだ。」
「地球代表は、アメリカ大統領ってわけか・・・。」
総理が呟いた。確かに、いとも簡単に日本を犠牲にする決定を、アメリカを筆頭に世界が勝手に下したのだ。同じ日本人として、心穏やかとはいかない。
だが、カイは順調に事が運んでいることを、喜んでいる様子だった。
「発射したら、教えてくれ!」
カイはメガホンレーザーをまたいじっている。すると、今度はこちらに何かを差し出してきた。
「薬?」
「ああ、レットストーンに触ってもらうからな。」
「どうして?」
理由がないなら、触りたくはない。
「そりゃ、君が起爆剤だからだよ。他の起爆方法がわかるまではすまんが、君を利用しなければならない。」
「もしかして、レットストーンで、核爆弾を爆発させるつもり?」
「ちょっと違う。」
でも、大方の予想は当たっているようだ。
「核爆弾を爆発させるには、かなり緻密に核分裂反応を起こさないといけない。つまり、何か計算外のことが起きると、核爆弾というのは爆発しないんだよ。」
「じゃあ、レットストーンを爆発させることで、核爆発を防ぐってわけか?」
「大正解!」
「でもなんのために?」
いつもカイは説明をしている時、何か作業をしている気がする。
「今、ここにいる連中でレットストーンの怖さを目にしているのは?」
「えっと・・・。」
「僕らだけだ!」
なぜカイは、質問するように聞いてきたのか?
「この一撃がうまくいけば、地球人たちは、レットストーンが彼らの攻撃だと思うし、IGTOはレットストーンが地球人の手に渡ったものと錯覚する。」
「ってなれば、尚更、保護は受けられないんじゃないのか?」
「いや!」
今度は総理が反論してきた。
「奴らはレットストーンを回収するために来た。恐らく、奴らはレットストーンを回収できるだけ回収したら、この地球を星ごと破壊する予定だったのかもしれない。あるいは、監視対象から外して、治安ってやつに任せるというか。地球でもよくあることだ。」
総理は戦場での奴らの動きを眺めている。
「ところが我々がこのレットストーンを使いこなせるとなると、話は変わってくる。それなら監視してまた次の機を待つだろう。その間に邪魔が入らないようにね。」
今の話を腑に落とすのは、なかなか難しかった。果たして、そんなに簡単に行くのか?
「カイ!核ミサイルが発射された!」
「いよいよだ!」
良くないことだけど究極のピンチってなると核兵器って出て来がちですよね。
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記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1




