第一次地球防衛戦争
バリアが破れたせいか、空気が美味しく感じる。自然の香りもさっきよりも強く感じるようになり、今まで偽りの世界にいたということを、改めて感じた。
突如現れた地球人側の軍隊により、無数にいる奴らの艦隊を取り囲むような陣形が完成していた。もういつでも攻撃ができるような状況になっている。
「どうやって?」
カイが慌てふためいているように見えた。
「べリングキャットにいる俺のダチに、今起こっている状況を逐一報告してたのさ。そしたらそのダチが、イギリス政府に俺の情報を横流ししてくれて、日本で今起きている状況が世界中に拡散されたわけよ。」
どうやらカニカマはカニカマで、我々が奴らと話をしている間に、いろんなことをしていたようだ。カニカマはさらに話を続けた。
「後のことは、とんとん拍子だ。総理大臣様がばら撒いてたお金のおかげで、ご覧の通りよ!」
カニカマはまるで自分が所有をしている軍隊かのように、両手を大きく広げてここに集まった軍隊を紹介した。
「宇宙人からの接触があった時、万が一彼らが友好的でなかった場合を想定して、世界各国に防衛の協力を要請していたんだ。でも自分自身でも、半ば半信半疑な内容を、彼らが信じるわけもない。」
今度は総理が、事の経緯を説明し始めた。
「それで国民の反対を押し切ってでも、経済的支援をするという事で、数カ国が協力してくれることになった。まさか、本当に来てくれるとは正直思っていなかったがな。」
あんな愚策の裏に、こんな真実が隠されているとは思っても見なかった。本当の本当に歴代最高の総理大臣だと思った。
まぁ、歴代総理大臣の半分は、何をしたどころか、顔も名前も知らないが。
カイは話を聞きながら、空いた口が塞がらない様子だった。
「共通の敵が現れると、君たちはここまでまとまれるのか?」
カイはつぶやいた。
「違う。人間はそんな高度じゃないよ。」
今度はカニカマが言った。なんか、カニカマのキャラがだいぶ変わっている気がした。能ある鷹は爪を隠すようだ。
すると総理は、上空を指差した。
「今この日本の空域を飛び回っている戦闘機は、F-47っていうアメリカ本土から来ている戦闘機だ。だが、アメリカはあの時真っ先に、我々の申し出を突っぱねた。つまり日本にあるアメリカ軍基地から防衛すれば良いだけで、わざわざ本土から日本に軍を送る義理はないはずなんだ。」
しかも、数からしてかなりの厳戒態勢であることがわかる。
「ありがたいことではあるが、残念ながら彼らは、別に日本の脅威を善意で助けるために来たわけじゃない。いずれ訪れるかもしれない、自分たちへの脅威を排除するために来たまでだ。」
「おーい、PM!このままだと、どっかの国がおっ始めちまうぜ!」
カニカマが大きなヘッドホンを付けながら、顔を出した。
「待て!このままだと、ただの殺戮行為になる。奴らと一緒だ!」
総理は慌てた様子で訴えた。
「すまねぇ!こいつは一方通行で聞くことしかできないんだよ。」
どうやら総理には、時間がないようだ。
「すまんカイ、通訳してくれないか?」
「向こうからも、しつこく求められてるよ。」
カイは、呆れた顔で答えると、奴らの方に顔を向け、また総理大臣の方を見た。
「で?なんて言う?降伏ってか?」
「いや、この星を侵略するのなら、受けて立つと伝えてくれ。」
「正気か?ここで戦争を始めたら、この星は無くなっちまうんだぞ?」
カイは小声で説得している。
「奴はなんて言っているのだ?」
奴らの声がした。
「降伏すると・・・。」
カイは平然と嘘をついた。
「こんなに軍隊を呼んでおいて、降伏するなんて信用できるわけがないだろう。」
奴らは、高笑いをあげていた。そりゃそうだ。
「だが、降伏している可能性があるかぎり、君たちは条項によって手を出すことが出来ないはずだ。」
カイは、必死になっていた。
「すでに戦争状態になっている場合の話だ。だが、今はまだなっていない。さらに言えば、我々も戦争をするつもりはない。」
どうやら、両者ともに引き下がるつもりはないようだ。このままでは、本当に戦争が始まってしまいそうだ。
もし、戦争が始まった場合、このままカイの言う通り地球人は、ボロボロにやられてしまうのだろうか?
恐らく総理はその覚悟だろう。確かに、戦わずして侵略されるなら、戦ってわずかな望みにかける方がいいと言うことなのだろうか?
なんとも日本らしい・・・。大和魂というとなんか古臭いが、今の状況に相応しい。
「カイ。奴らはなんて言ってるんだ?」
カイは、言葉に迷っている。もうこうなってしまったら、どうしようもないのかもしれない。
「奴らは、こっちが降伏しようが、攻撃するつもりらしいです。」
カイは、驚いた表情でこちらを見ていた。地球人たちがここまで戦う気なら、たとえ、奴らに歯が立たなかったとしても、同じ地球人として戦わない理由はない。
なんて、心底思えない。でも、なぜかそういう行動をとってしまっている。怖いし出来ればこんなことに関わりたくはない。
家で、くだらないバラエティ番組を見ながら、明日の仕事のことを考えて、憂鬱になっていた方がよっぽど幸せだ。
でも、なぜか自分の命を犠牲にする行為が、美徳だと感じてしまっている自分がいる。
もしかしたら総理も、そうなのか?
「分かった。ただ、少なくともそのレットストーンは下ろした方がいいぞ。」
カイがそう言った途端に、奴らがいる方角からレーザーのようなものが、飛んできた。いよいよ、奴らは総理に攻撃をし始めた。
総理はかろうじて避けた。
「早く、はやぶさ号に!」
カニカマがそう言うと、我々はカニカマのワンボックスカーに乗り込んだ。
「各国の軍に攻撃開始の指令が飛んでるぞ!」
「戦争開始だ!」
待機していた戦車や戦闘機が、一斉にこちらに向かって動き始めた。
一次があるなら二次もある?
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記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1




