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ミスター・ブルーズ 〜命運を握る背中のあざ〜  作者: マフィン
地球と日本と総理大臣

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宣戦布告

 今朝起きてから、24時間が過ぎようとしていた。この一日、おかしなビームに晒されたり、初めてスクーターに乗ったり、変な物質のアレルギー反応が出たり、爆発で吹っ飛ばされもした。


 そんな今までの人生で一度も体験したことがないくらいの濃い一日だが、あれから睡眠を摂っていない。そろそろ体の限界をむかえている。


 そのはずだが、なぜか眠くもなければ、むしろ寝ろと言われても、今は寝れる気がしない。


 まぁ、地球上どこを探しても、武装した宇宙人の大群が目の前に押し寄せている状況で、眠たくなる人はいないだろう。


 しかも、対峙している我々は、ほぼ丸腰の地球人三人と、よく分からない宇宙人一人だ。戦力になるとしても、宇宙人のカイだけだ。


 宇宙人の大群は、こちらに標準を定めているようだ。逆にこんな丸腰に、そんな武装して恥ずかしくないのか?と問い詰めたいくらいだ。


 全ての艦隊が地上に現れると、しばらくの間、沈黙が続いた。


 「カイ、どうすればいい?」


 小声で聞いてみた。だが、奴らに真っ直ぐ視線を向けているだけで、返答はない。


 奴らも奴らで、こちらの様子を伺っているだけで、攻撃をするわけでも、何か言ってくるわけでもなかった。


 もしかして・・・。


 「カイ・・・。ガム・・・。」


 通じるわけもない。すると今度は、足元で何かが転がってくる音が聞こえた。


 音のする方に視線を向けると、白くて歯ぐらいの大きさの何かが転がっている。


 まさか?


 「ミスターブルーズ。」


 ひそひそ声が聞こえる。カニカマの声だ。


 「それ、食え。」


 この際なぜカニカマが、ガムを持っているのかは、考えないことにしよう。


 すぐにガムを拾うと、口の中に放り込んだ。


 「なぜ、貴様がこの問題に首を突っ込む。」


 聞いたこともない声が聞こえて来た。


 「君たちはこの星の人々のことを何にも分かっちゃいない。」


 今度はカイの声だ。どうやら知らないうちに、すでに会話が始まっていたようだ。


 「分かっていないのは、貴様の方だ。奴らは罪人なんだぞ。」


 「ああ、それに賢かった。この銀河、いや宇宙で一番だった。」


 「だが、今は我々に守られるに耐えないほど、落ちぶれている。」


 一体、なんの話をしているのか分からなかった。


 「だが、進化もしている。この星と共に成長しているんだよ!」


 「なら、なおさら、この銀河から消えてもらった方が良いではないか!」


 「この時間はなんなんだ?」


 総理が叫んでいる。恐らく、総理の世界ではまだ沈黙が流れているのであろう。


 奴らには気づかれていないのか?


 そもそも彼らは、何か言葉を発するとかそういうわけではないのか?意思を伝えるということ自体の概念が違う・・・。


 考えれば考えるほど頭がおかしくなりそうだ。


 とにかく、総理の言葉は気づかれていないということは、両者の会話が続いているという理由で、確信できた。


 「君たち、まだ気づいてないのか?」


 カイの語気が強くなった。


 「今回の事件の裏には、絶対何かがある。このままここで戦争を始めたら・・・。」


 「戦争ではない。」


 「ではなんだ?」


 「浄化とでも言うべきか?」


 奴らとの会話は、不気味に響き渡っている。


 「報復したい気持ちは分かる。だが、その矛先は彼らではない。」


 「だが、彼らによって議長は命を落とされた。」


 「それは彼らも同じだ。」


 果たして、本当にそうだろうか?彼女のあの行動もまた、報復だと思う。


 「規模が違う。彼らはたかが一人。こちらは一つの艦隊を丸々失った。」


 二人の言い争いは、もはや戦争が始まっていると言っても、過言ではない。


 「だから、言ってるじゃないか!それがもう誰かの思惑通りなんだって。」


 カイは、なぜここまで必死に地球を守ろうとしているのだろうか?


 「なら聞こう。貴様の言うその誰かとは誰だ。」


 カイは、一度落ち着きを取り戻すと、奴らを睨みつけるように視線を送った。


 「ゲルダファ。」


 またもや沈黙が流れた。ガムの効果が切れたのかと思ったが、奴らの笑い声が聞こえ、効果はまだ続いているということが分かった。


 「貴様は我々を笑い死にさせるつもりか?」


 不気味な笑い声は、愉快だった。


 「ゲルダファは、とうの昔に滅んでいる。」


 「ならあの大陸を浮かせたのは、君たちなのか?残念ながら、この星にそんな技術はないぞ。」


 「それは分からん。彼らが隠しているかもしれない。」


 だったら、このタイミングで披露するわけがない。


 「なら君たちは、事前にこの星と連絡を取り、訪問のアポを取ったのか?君たちの条項だと、違反項目だったよな?」


 「だからと言って、ゲルダファとは限らない。」


 どの世界にも、頑固な石頭がいるようだ。恐らくカイも呆れている。


 「良いですか?この際、ゲルダファかどうかなんて、どうでも良いことなんですよ。問題は、この件を裏で糸を引いている何かがいるってことなんです。」


 「それが、あの男だとは思わないのかね?いかにも、我々に宣戦布告をしているようにしか見えんが?」


 カイは自分の背後を見た。


 「あのバカ!」


 「確かあれが、新しい物質だったなぁ。」


 総理の手には、赤く光るものが握られていた。だから、ずっと背中の痒みが治らなかったみたいだ。


 「レットストーンだ。」


 「いかにも地球人のネーミングセンスだな。」


 「だから言わんこっちゃない。」


 カイは、果たして何に対して言ったのか分からなかった。


  「ちょっと、彼と話してくるから、良い子にしててくれ。」


 カイは、急いで総理の元へ向かった。


 「あんた何してんだよ!」


 「あんたに言われた通り、一国のリーダーとして、決断を下したんだよ。」


 総理は、毅然とした態度を貫いている。もはや服装は、親父狩りにあったサラリーマンのように、ワイシャツは土埃で変色し、襟元がなぜか破れていたが。


 「敵うわけがないだろ?こっちで話しつけてんだから邪魔しないでくれ!」


 カイは、ひそひそ声だったが、明らかに怒鳴っている口調だった。


 「カイ。」


 総理は、奴らを見据えている。


 「ここまでの事は、感謝してる。だが、この後のことは、我々地球人で対処する。」

 

 そう言うと、総理はカニカマに合図を送った。


 「了解。」


 いつの間にか二人の連携が生まれている。


 カニカマがキーボードをいじると、全体を覆っていたシールドが無くなり、偽りの仮面が剥がれた上空には、無数の戦闘機が飛び回り、地平線には無数の戦車と装甲車がこちらに近づいて来るのが見える。


 「一体これは?」


 「べリングキャットの力と、総理の外交力の力さ。」


 総理は、まだ敵の方を見ていた。

そう考えると実際の外交ってすごいですね!


評価、ブックマーク等もしていただけるとかなり嬉しいです!

よろしくお願いします。


感想も待ってます。


記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1

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