IGTOの疑惑
こんな話をしている暇はあるのだろうか?我々にはないのはもちろんだが、彼らにとってのタイムリミットも近づいていることになるはずだ。
それにカイの話によれば、彼らは直射日光に弱い。多分あと数時間もすれば、日の出を迎える点を考えても、やはり少しばかり悠長な時間の使い方をしていると思う。
果たして彼らは、それをわかっているのだろうか?もし、それが理解している上での行動ならば、なぜこんなに悠長な時間稼ぎのような事をしているのだろうか?
そんな中、カイは高笑いをあげている。
「こんな大それた技術が必要な事象の原因が、あなたたちじゃないとおっしゃるのですか?それを僕が信じるとでも?」
カイは、まだ彼らを疑っているようだ。
「先ほども言いましたが、我々がこんな野蛮なことをする理由がありません。」
「では質問を変えて、逆にこのような所業を行わずして、一体どうやってタガニウムの捜索をしようとお考えになったのですか?」
「そのような行為を行ないわないために、我々はジー・・・、地球人を完璧に模倣し、潜伏する計画を立てていただけに、このような状況になっていることに驚きはしました。ですが悲惨な状況だったとはいえ、我々の目的達成には好機であると考え、計画を続行させたまでです。」
議長は相変わらず、食い気味に淡々と答えた。もし、彼女の言葉に感情のかけらがあれば、もしかしたら、あそこまで怒ることはなかったかもしれない。
「ちょっと待ってください。こんな状況になっていたのに、放置したんですか?」
思わず話に入ってしまった。
「我々の最優先事項ですから。」
「この状況を放置することが?」
「いえ、タガニウムを安全にこの惑星から回収することがです。」
「そんなことを優先して、この惨状を放置?」
話せば話すほど怒りが込み上げてきた。
「それが、全銀河の最高指導者みたいな組織がすることなんですか?」
自分ではそこまで強く怒ったつもりはなかったが、気まずい沈黙が流れた。
「なぜここにあると知っていた?」
カイが沈黙を破った。少しカイの様子がおかしい気がした。
「なぜタガニウムがこの地域にあると分かったんですか?議長さん。」
「それは、タガニウムの痕跡を、この地域で探知したからに決まっているじゃないか!」
ずんぐりむっくりは、議長が答えるまでもないと言わんばかりに、回答を勝手でた。
「いいや!僕は、タガニウムがこの地球の奥深くに眠っているというところだけでも突き止めるまでに何年もかかった。その間あなた方は、一回でもこの星の捜索をしたんですか?」
カイの敬語には、敬意のかけらも感じなかった。
それよりも、カイがそんなに前からこの星に潜伏しているのは初耳だ。
「いーや!ただの一度もこの星に僕以外の部外者が入ってきたことはない。」
奴らに有無を言わさず、気持ちいいくらいに言い切って見せた。
「我々のような大きな組織が動くとなると、それだけ時間がかかるんです。時間がかかっているからこそ、迅速な対応をするために、わざわざこんな監獄惑星なのにも関わらず、議長である私が、直々に回収に出向いてるんです。」
議長に少し感情なるものを感じた。
「違う!回収に至ったのは別の理由だ。」
そう言った後すぐ、カイの目が見開いた。
「そうか!分かったぞ!それが原因だったのか!」
議長含め、カイの話を聞いている人間が、一斉に訝しげな表情を浮かべた。
「他に狙っている奴らがいるのか・・・。」
「何を言いたいのか分かりませんが?」
議長はまた、あの冷淡な物言いに戻っていた。
「言わなくてもいいさ!もう分かっちゃったから。」
「ちょっと待ってくれ!どう言うことか説明してくれよ。」
当事者である地球人として、今、置かれている状況を把握する必要がある。
いや、単なる探究心だ。それをくすぐるような話し方をカイはしてくるから、困りものだ。
すると、カイは奴ら全員を睨みつけながら説明を始めた。
「隠蔽だよ!」
「隠蔽?」
どこでも組織というのは、そういうことをするのものだ。
「こいつらは、失態を隠すためにここへ来た。何せ2011年3月11日にタガニウムを地球に落としちまったのは、こいつらなんだからなぁ!」
「何を言い出すんですか?」
「その日付って・・・。」
「ああ、そうだ!君たちの人生を変えちまったあの大災害さ!」
奴らは、平然を装っているが、明らかに気持ちがざわついていると分かる。
「証拠でもあるのですか?」
「ああ、何せこの場には証人が、二人もいるんだからなぁ!」
カイがこちらに近づいてきた。
「覚えてるか?あの時、最初の揺れの後、すぐにまた大きな揺れが来なかったか?」
確かにきていた。ニュースでは、大きな地震が影響して、別の歪みが大きな揺れに変えてしまったと言っていたもののことだろう。
何も言わずに、黙って頷くことにした。すると、我々がいる場所と反対側にいる、あの店員の彼女も同じく頷いていた。
あの時の記憶はさっさと消し去りたい。だが、残念ながら、今も脳の中で頑固にこびりついてしまっている。
「そう、つまりタガニウムが地球に着水した時と、海底のさらに下まで落ちた後、プレートに食い込み、大爆発を起こした。」
「その時の揺れが2回目の大きな揺れの正体・・・。」
「それと、我々が関係しているという根拠をどうう結びつけるのですか?タガニウムは、比較的に爆発しやすい物質であることは、あなたも知っているでしょう?」
議長は、呆れた物言いだ。しかし、カイは別に誤魔化していたわけではないようだった。
「そう!そこなんですよ。問題は!」
議長たちはだんだんと、今度は顔を顰め始めた。
「爆発したまでだったら、不慮の事故でした。で終わるはずだったのに、その後のあなた方の行動が不味かったんですよ!」
カイはまるで、名探偵の推理ショーのクライマックスかのように、語気が強くなっていた。
その時、ふと何か赤い光が一瞬だけチラついた気がした。気がしただけなのだろうか?だが、そんなことよりも今は、カイの話を聞きたかった。
災害というのは、自然現象だ。だからこそ、やり場のない怒りに苦しめられながらも、前へ進まなきゃいけない。そう言い聞かせて今日まで生きてきた。
だが、この話の進み方によっては、そんなふうに片付けてはいけないのかもしれない。
こういう大きい組織ってすぐ疑惑が浮上しますよね
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記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1




