留守電
今日は、朝からの出来事を考えると、本当にいろんなことが起きている。
まず、テレビから総理大臣に話しかけられ、外には誰も人がいなくなり、カイというわけわかんない外国人なのか宇宙人なのかと出会い、初めてスークターに乗り、首相官邸にも初めて入った。
そして、何より初めてあざに変化が起きた。
そんないろいろなことが起こった1日も、日が暮れて、静寂な夜が訪れた。いつもよりも近かった太陽光のせいなのか、疲労感が、一気に襲ってきた。
瞼が重くなり、身体全体にかかっていた重力がが、一気に椅子に落ちていくような感覚に襲われた。
カニカマは、話の途中から一生気持ち良く寝ていた。本当なら自分もそうしたい。もしかしたら、話も半分くらいは聞き漏らしていたかもしれない。それくらい意識を飛ばさないようにしているのが一苦労な状態だ。だが今は、その疲れや睡魔がどこかへ消えていった。
スマートフォンは、すぐにワンボックスの中にあるコンピューターと繋がれ、カニカマは一生懸命キーボードを叩いていた。
留守電の中の彼女は、怯えていた。一体何を見たのか?さらに、留守電の最後、彼女の身に一体何があったのか?そして、彼女は無事なのか?
自分を責めた。意気揚々と連絡先を彼女に教え、「何かあったら連絡しろ。」と言っておきながら、いざSOSを出されたにも関わらず、それに応えなかった。
確かに、どちらにしても、連絡が来たところで自分には何もできなかったかもしれない。しかし、今ならカイがいる。彼なら何か指示を彼女に出していたかもしれなかったのに・・・。
「そう自分を責めるなって。」
カニカマもカイと同じように心が読めるのだろうか?
「いや・・・。出てるよ?」
「何が?」
「心の声・・・。」
え?もしかして、無意識にいま、声を発していたのか?
「ああ。」
今度は、カイが答えた。
「すまん・・・。」
カニカマはコンピューターのモニターに吸い込まれそうなくらい、顔近づけてマウスを慎重に動かしている。モニターには音声の波形のようなものが映っている。おそらくさっきの留守電のデータだと思われる。
よほど繊細な作業しているのだろうか、カニカマは終始キーボードをいじって何かしているはずだが、画面上の変化がこちらからは確認できない。
「よーし!これで音声を周波数ごとに分析できるようになった。」
カニカマは、エンターキーをこれでもかと強く叩いた。
「再生してくれ。」
カニカマは、今度は普通にエンターキーを押した。
さっき聞いた留守電が流れた。波形をなぞるように、音声が発せられている。
カイは目を瞑りながら、音を聞いている。おそらく、聞こえてくる音一つ一つを聞き分けているのであろう。
「ストップ!ちょっと戻してくれ。」
カニカマは素早く、キーボードをいじった。音声は数秒前に戻されて、再び再生された。
彼女の声と、恐怖で荒くなった息しか聞こえない。
「もう一回。ここの部分を!」
カイは、モニターに映っている何個もある波形の中から、一つだけ指差した。
音はただの雑音のようにしか聞こえなかった。と思ったが、何回も聞いているうちに、少しだけ足音のような音が聞こえるようになった。
「なんだ?この足音。」
「動きはそこまで速くはない。となるとかなり大きい。よし!候補はかなり絞られてきたぞ。」
「あのバッテン跡を作ったやつか?」
「すまん、今のは撤回する。全く候補が絞れない。」
カイは、左右の側頭部を人差し指でおさえながら、歩き回っている。カニカマは気を利かせてもう一度、同じ部分を流した。
「いやちょっと待て!」
カイは立ち止まり、先程のポーズを保ちながらこちらを振り向いた。
「あのコンビニ付近の地面はコンクリートか?」
「駐車場があったから、土ではなかったと思うけど?」
間違いないはずだ。駐車場に車が2台停まっていた。
「となるとコンクリートの強度的に・・・。」
「いや、駐車場なら基本的に安価な石油アスファルトじゃないか?」
カニカマの知識は一体どこから由来するのだろうか?
「それの強度は?」
「コンクリよりは劣るかな?」
「そうだとしたら、かなり絞れるぞ。続きを。」
ようやく、先に進んだ。次は、彼女が助けを求めるところで再びストップがかかった。
「今の音!」
音声が戻され、また流れた。
何かの声?
「地球の言葉だ!」
カイはそういうが、こちら地球人は、全くわからなかった。おそらくカニカマも分かっていなそうだ。
「なんて言ってるんだ?」
「見つけたぞ。」
「ということは彼女を探していた?」
「彼女を探しているなら、狙いはタガニウムだろうな。」
そして音声はさらに進み、あの雑音と悲鳴が入り混じった部分に差し掛かった。
「ガラスが割れている?」
それは確かに聞こえた。
「奴らは、外から何らかの方法で、彼女を拉致したってことになる。」
多分ガラスを割ったと思う。
「でも、あのおびえ具合だと、レジカウンターから動いていないと思うけど・・・。」
「確かに。入り口からレジカウンターまでの距離的に考えて、何か伸縮できるアーム状のものを使用しているだろう。」
伸縮できるアーム状のもの?ということは生物ではないということか?だとすれば、何か乗り物に乗っているということか?
再度同じ部分が再生されると、カイの眉間のしわが濃くなっている気がした。
「もう一度。」
またもや、悲鳴が混じった雑音が、ワンボックスカーに響き渡る。
「この独特の音。」
もちろん、わからない。
「アテ、カテ、リテ、ラテ、」
カイはぶつぶつ何かを言っている。多分、何かを思い出そうとしているのであろう。
「思い出したぞ!カテリエル」
どちらにしてもわからない物質の名前だ。
「それは何?」
「金属だよ!カテリエル同士が摩擦すると、独特の音を発するんだ!」
カイは嬉しそうに話している。それもそうだった。
「そして、その物質を使っている種族はただ一つだ!」
どうやら、相手を特定することができたようだ。
「諸君、君たちの地球は助かった!」
果たして、本当に喜べる状況なのであろうか?
物質の名前決めるのってめちゃくちゃ時間かかるんですよねー
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記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1




