はやぶさ号
時刻は14時を過ぎた頃だろうか?色々と話しているうちに、太陽がだんだんと西へと傾き始めていた。そしてさらに気温が高くなっているように感じる。
あいかわらず道の先端は、何もない世界が広がっている。青く透き通った空が、何もかも吸い込んでしまったのかもしれない。そのおかげで、間違いなく眺めは最高のはずだった。
しかし、今、我々が見ている景色は、なんて最悪な光景なのであろう。何せ、自分たちの目の前には、汚いおじさんのおし・・・臀部がさらされている。その大きさと言ったら・・・、いや、これ以上想像させることによる被害者を増やす必要はない。
だが、とにかく確かに彼の臀部には、僕の背中と同じあざがあった。
「な?言っただろ!」
平然とした態度だ。彼には果たして羞恥心というものはあるのだろうか?
「わ・・・わかったから早くズボンを上げてくれるか?」
総理は懇願した。カニカマはようやく自分の醜態を確認すると、なぜか大笑いし始めた。
「いやいや、内閣総理大臣さんよー。そこはまずパンツだろ?」
そこじゃねぇよ!
「だからって、パンツ姿のあなたも見たくはないので・・・。」
思わず言ってしまった・・・。
「ミスターブルーズ・・・お前さんまで・・・・。」
そこまで傷付いてはいないようで安心した。
「あ!確かにさっき言ってなぁ。今ここに残されているのは、あざがあるやつだけだって。」
総理も思い出したようだ。
「なんであざがあるやつが、ここに残されているって知ってるんですか?そもそも、そのあざの情報はどこから?」
総理から質問を引き継いだ。ずっと気になっていたこの大きな背中のあざ。
今までこんなあざは世の中で自分一人だけだと思っていた。しかし、今日だけでも、自分以外に二人も、しかも、さっきは初めてかゆみまで出てきた。
カニカマに至っては、かなりの激痛だったに違いない。もしかしたら、いまその謎が明らかになる時なのかもしれない。
カニカマは、ようやくズボンを所定の位置まで上げた。ようやく薄目から解放されて、目がしょぼしょぼしている。
「あれ?知らないのかい?」
「え?」
カニカマは、総理大臣の方に目を向けた気がした。まだ、出会ってからほんの数分しか経っていないが、恐らく普段は、そんな目つきをしないであろうと思うくらい、彼に似合わない鋭い目つきだった。
「知らないなら俺が教えてやるから来な!このままここにいたら、丸こげになっちまう。」
カニカマは手招きしながら、道の外れに密かに置かれていたワンボックスカーの扉に手をかけた。
というより、今の今まで車が背後に来ていたなんて、気がつきもしなかった。しかも、その車ときたら、屋根には小さなパラボナアンテナみたいな円形のものが3つくらい、前方、後方、斜め左に向いており、後方側面の左右のバンパーとトランク付近には、戦闘機の羽のような意味不明な飾りがついており、ドアのところにひらがなで「はやぶさ」と書かれていた。
正直、乗りたくはない。
「我々にも車があるから、それでついて行くよ。」
総理も同じ気持ちのようだ。しかし、またカニカマが、あの目をしていた。
「いや、あんたには言ってないよ、P.M」
口調も今までのカニカマではない。
「あんたは俺にカニカマをくれたか?ん?」
言ってる内容は、カニカマ本人のセリフみたいだ。
「ミスターブルーズは俺にカニカマをくれた。俺の腹を、幸福で満たしてくれた。だから、特別に俺のはやぶさ号に乗せてやるってわけさ。」
もちろん、嬉しくはないし、むしろ総理が羨ましい。
「それにあんたは信用できない。」
「それはなぜ?」
「政治家だから!」
この上なくレンスポンスが早かった。まるでその聞き返されるのを予想していたかのようだ。
「明快なご回答で・・・。」
総理は、それ以上何かを言おうとも思わなかったようだ。
「わかった。私はここで待ってるから、思う存分彼に話すといい。」
そういうと、総理はセンチュリーに乗り込み、エンジンをかけた。
いよいよ、二人っきりになってしまった。ここまで時間、こちらの意見は全く無視だ。
確かに、カニカマが知っている情報が欲しいのは事実。だが、かといって彼を信じているわけではない。思いがけずこちらの信用は得たものの、今から入るこのワンボックスカーには何があるのか?
「なんだ?怒ったのか?こりゃ、なんか隠してるって自白したようなもんだな!」
カニカマの言う通り、確かに総理も少し様子がおかしい気がした。
「まぁいっか!ほら、行こうぜ!」
無邪気な笑顔のギャップが、逆に怖い。どうやら彼のこの「はやぶさ号」の後ろに入るようだ。
果たして、このままワンボックスの後ろに入って大丈夫なのだろうか?もし、彼がサイコキラーやパラフィリアだったら?それこそ、そのどっちもの可能性もある。そうなれば、このワンボックスの中で・・・。
ワンボックスの扉が、着々と近くなっていく。もしかしたら、もうこの太陽の光を浴びるのも最後かもしれない。太陽の光にしばしの別れを告げ、車に乗り込んだ。
「やぁ!遅かったじゃねぇか!」
「はぁ?カイ?」
ワンボックスカーの中は、映画でよく見る小さな司令室みたいな空間になっていた。上の方にはモニターが数台、レーダーのような装置や、やけに点滅している装置、それにキーボードやゲームセンターのアーケードゲームのレバーやボタンみたいなのが、所狭しと置かれていた。
その空間を支配しているかのように、見知った顔が、ニヤけ顔でこちらを見ている。
だが、それよりも、モニターの一つに映ってい、異様な光景に気を取られた。
この光景は果たして現実なのだろうか?
こういうやつ結構憧れちゃう厨二病です。
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記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1




