道の断面
総理と二人で車から降りると、予期せず現れた道の終わりを眺めた。
高速道路なのに道がなくなっているという現象を、頭で処理をして理解するのに、かなり時間がかかった。そして、眼前に広がる確かな光景に、これから自分たちがどうするべきなのかという疑問がついて回った。
恐らく総理も悩んでいるに違いない。
「この下はどうなっているのかなぁ?」
総理は奈落の先を覗き込んでいた。
下は特に何もなかった。というより何も見えなかった。そう、土も水も光もない。ただ、真っ暗な先の見えない世界が広がっていた。
「それよりもこの先の道は、どこに行ったんでしょうか?」
なにせ道が途切れただけでなく、途切れた道の少し先にも道はない。真っ青な空のような空間が広がっているだけだった。
「これじゃあ、どうやって宇宙センターまで行ったらいいのか・・・。」
それ以前に、そもそもこのセンチュリーの隠し機能か何かで、空を飛んで消えた道の先へ進めたとしても、この先に広がる何もない空間に、果たして目的地があるのか?
ただ、もしなかったとしても、あの信号は、どこからの発信だったのか?という疑問が残る。
総理は確かに、宇宙センターから発信が来ていると言っていたが、それが間違いだったということになるのか?
間違い?本当にそうなのか?そもそもその発信はどこか別のところから・・・いや、そもそもそんな発信なんてなかったのか?
考えれば考えるほど、疑念が浮かんでくる。
ふと総理の様子を見てみても、奈落の先を上に下にとキョロキョロしているだけで、普通と見れば普通だし、疑念を持って見れば、怪しい行動にしか見えない。
この疑念もあいつ・・・カイのせいだ。だが、自分はいつから奴の言うことを信じてしまっているのか?そもそも信じているのか?
結局考えても、何もわからない。本当は、シャーロック・ホームズみたいに、今、起きている状況だけで、瞬時に答えを導き出したいところだが、自分には到底難しい妙技のようだ。
「もしかして・・・。」
総理が何か言っている。
「どうしたんですか?」
総理に近づいた。
「いや・・・。分かんないんだけど・・・。絶対違うとは思うんだけど・・・。」
総理は自分で自分を疑うように、首を傾げながらも、自分の見解をまとめて話してくれた。
「あの車がオーバーヒートしていること・・・。なんならガス爆発が起きていることに今、車から出て気づいたこの焼きつくような暑さ。なんかおかしくないか?」
確かに朝から少し感じていたこの違和感。総理も同じことを思っていたようだ。
「確かに、太陽がいつもより近く感じますね。」
「そう!そうなんだよ!」
総理が急に上げた大きな声は、やまびこのように、辺りの空気を振動させ遠くへと響かせていた。
「でもそれがどうしたんですか?」
「奈落の側面を見てみてくれ。」
言われるがまま、奈落に少し顔を落とした。正直後ろから落とされる可能性もあったが、今は総理を信じることにしている。
見ると、道の断面が見える。
「これがなんだって言うんですか?」
これで何かが結論づけられる気がしなかった。
「よくみて!」
よく見た。
わからない・・・。
「断面が削れているところが見えるか?」
「断面が削れてる・・・?」
確かによく見ると、ところどころが砂利になっていたり、少し白くなっているようにも見えた。
「もし何か魔法のような力でパッと道が消えているのなら、こんな削れた後もなく、綺麗なコンクリートの断面になるはず。」
総理は皮肉っぽく言った。
「だがこれは違う。まるで大きな力によって引きちぎられている・・・。」
「いや、どちらかといえば、引き上げられているのではないでしょうか?」
「引き上げられている?」
見ていて気がついたことがあった。断面の下の方に、恐らく摩擦によってできたであろう、コンクリートの砂利が集まっているところがあった。
「ええ、この先の道が魔法で消えてしまっていないのであれば、必ずどこかに先の道があるはず。それは、この場所の上か下か左か右か。左右であれば、奈落や視認できないということの説明ができない。となると、上か下になります。もし茨城県から北の日本が、この奈落へと落ちていってしまったのなら、落下する時の力でこちら側の面が力を受けて削れていたり、ダメージが多いはず。ところがこちらの断面を見る限りそのような痕跡がない。つまり、この場所は、なんらかの力により、上に上昇している。」
こんな理論、理系の人が聞けばおかしい話になるであろう。
「そう、そうなれば太陽の件とも辻褄が合う。」
総理も同じ意見だったようだ。
「我々が今いる場所が、上に上昇していたとしたら、太陽が近くなる。」
「直射日光が近くなって気温が上がり、車のエンジンを過度に熱してしまい、オーバーヒートや爆発を起こしてしまったと言うことですね。」
「だが、もしそうなら気圧の影響で、気温が下がるはずだが?」
聞き覚えのない声に、心拍数が異常なほど上がっているのを感じた。我々は声のする方に勢いよく顔を向けると同時に、体が少し身構えていた。
そこに立っていたのは、こんなに暑いのに、全身を白い防護服で身を包み、顔まで隠れている一人の人間?だった。よくエイリアンモノの映画に出てきそうなやつだ。
確かに、彼の言っていることは正しい。だがそれ以上に怪しい格好すぎて、自分たちの身を案ずるのが先だった。
「あんたは誰だ。」
総理は警戒した状態で、謎の男に尋ねた。
もしかして宇宙人?いや、カイと関係があるのか?
初めて、カイと関係があって欲しいと思った。
要するにとんでもないことが起きてるみたいです!
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記念すべき第一話はこちら!https://ncode.syosetu.com/n3719ku/1




